世界3団体統一王者の井上尚弥選手(29)が日本人初の主要4団体(WBA、WBC、IBF、WBO) 統一に向けて、準備を進めています。日本ボクシング界に数々の快挙をもたらし、10月2日でプロデビュー10周年を迎えた最強ボクサーに、グルメをメインテーマとする「おとなの週末Web」も注目。体作りの基礎となる食の観点から井上選手の強さに迫ります。
ボクシング世界3団体統一王者・井上尚弥の食の秘密(1)
「モンスター」の異名 井上尚弥選手とは
バンタム級(リミットは53.5キロ)で活躍する井上選手は、世界で最も権威ある米ボクシング誌「ザ・リング」が選出するP.F.P(パウンドフォーパウンド、全階級で体重差が無いという想定のもとで選ぶ最強選手の称号)の1位にも日本人で初めて選ばれました(現在は2位)。中・重量級で活躍するワシル・ロマチェンコ選手(ウクライナ)やサウル・アルバレス選手(メキシコ)など世界のトップボクサーを抑えての快挙です。
「ボクシングに関わる全てのことに妥協がない。とにかく地道な努力を欠かしません」こう話すのは大手食品会社「明治」の管理栄養士の村野あずささんです。2014年から井上選手を担当し、2022年6月に行われたノニト・ドネア選手(フィリピン)との試合など、数々の名勝負をサポートしてきました。
井上選手は2012年に大橋ボクシングジムからライトフライ級(48.9キロ)でプロデビュー。幼少期よりボクシングを指導してきた父・真吾さんとの父子鷹で23戦23勝と無敗で連勝街道を歩んでいます。
2013年、4戦目に同階級国内王者の田口良一選手(現在は引退)を判定で下し、日本王座を獲得、2014年に6戦目でWBC王者のアドリアン・エルナンデス選手(メキシコ)を倒し、世界王座に就きました。村野さんが井上選手を担当するようになったのは2014年7月から。所属する大橋ボクシングジムの大橋秀行会長からオファーを受けたのがきっかけです。
井上陣営が王座を獲得する前から、井上選手自身が減量に難しさを感じていたことや、エルナンデス戦での体調管理がうまく行かなかったことが背景にあります。それだけでなく、体重だけなく強靭な肉体を手にするため、栄養面の強化の重要性も感じていました。