酒の造り手だって、そりゃ酒を飲む。誰よりもその酒のことを知り、我が子のように愛する醸造のプロ「杜氏」は、一体どのように呑んでいるのか?今回の杜氏の晩酌は、長野県とコラボレート。世界に認められた日本酒を醸す杜氏をご紹介。さらに、それらが送料無料で買えるサイトも紹介します。長野だからこその味、ご堪能あれ。
長野県『湯川酒造店』
【湯川慎一氏】
1967年長野県生まれ。東京での会社員を経て、地元伊那谷の日本酒蔵「仙醸」に配送係として就職。その後、営業職、酒造りへシフト。2012年に湯川酒造店の湯川尚子氏と結婚し、同蔵の取締役に。2013年杜氏に就任。
料理に合わせた1本を、ぐい呑みで
「献立を引き立てる1本を選んで、料理に合わせた温度で酌む」と杜氏は言った。「木曽路」や「十六代九郎右衛門」を醸す湯川酒造店の杜氏・湯川慎一さんだ。
長野の他の蔵で杜氏を務めていた同氏は、湯川酒造店の尚子さんと結婚し、湯川姓に。いつも決まって、結婚のお祝いにもらった夫婦(めおと)のぐい呑みで2〜3杯やるという。その晩、食卓に上がったのは大阪出身のお義母さん特製のお好み焼き。
「長野の家庭では珍しく、月に何度もお好み焼きが登場します。湯川家の味といって真っ先に浮かぶのが、大和芋をたっぷり入れて作るこのお好み焼きですね」
お供に選んだのは、加水せずに原酒でアルコール度数13度台に抑えた低アルコール原酒「十六代九郎右衛門 生酛純米 火入れ」だ。
「熱々のお好み焼きには、よく冷やしたこれが相性抜群。ベリー系の香りと甘み、低アルとは思えない深い飲み応えがあって、ソースの香ばしさ、濃厚さにマッチします。余韻にほのかな苦味が残るようにしていて、もうひと口、もうひと口と飲みたくなる酒なんです」
慎一さんは「レンジ(範囲)を広げ過ぎ」と自覚するほど、多種多様なタイプの酒を醸している。6年ほど前からは生もと造りへ大きく舵を切り、確かな手応えを感じている。
厳冬期にはマイナス18℃まで冷え込む当地は、酒造りに適しているとは言えない。しかし、手間がかかるが低温でこそ安定して発酵させられる伝統的な生もと造りを採り入れることで、環境のハンディを強みに変えるのが狙いだ。
現在、生もと造りの割合は全体の40%に及ぶ。その成果が今年、思わぬ形で証明された。世界最大規模の酒品評会「インターナショナルワインチャレンジ(IWC)」のSAKE純米吟醸酒部門で342点の中で最高位を獲得。さらに最高位9銘柄からの最優秀賞「チャンピオン・サケ」に輝いたのだ。
「どんな酒を目指しているか? 究極的には自分が本当に飲みたい酒ですね。低アル原酒も、酒が弱い自分でもちゃんとした味わいのものたくさん飲みたいという願いから生み出したもの。これは……杜氏の役得ですね」と笑う。ぐい呑みは、また空になった。
『湯川酒造店』@長野県
1650年創業。木曽路の藪原宿にて寒さに強い酒造技術で醸す。代表銘柄は「木曽路」と、特約店のみに卸す「十六代九郎右衛門」。「十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦」は世界最大級の酒品評会IWCで日本酒の最高賞に輝いた。
【十六代九郎右衛門 生酛純米 雄町13】
【十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦】
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撮影/松村隆史、取材/渡辺高
※2023年11月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。