酒の造り手だって、そりゃ酒を飲む。誰よりもその酒のことを知り、我が子のように愛する醸造のプロ「杜氏」は、一体どのように呑んでいるのか?今回の杜氏の晩酌は、長野県とコラボレート。自然派ワインを造る気鋭の若手醸造家をご紹介。さらに、それらが送料無料で買えるサイトも紹介します。長野だからこその味、ご堪能あれ。
長野県『ツイヂラボ』
【須賀貴大氏】
1989年東京都生まれ。渡仏し、ワイン雑誌のカメラマンとして活動するうちに、ワインの世界に。インポーターを経て、国内外の醸造所でワイン造りを学ぶ。2020年「ツイヂラボ」醸造責任者に就任。日豪2拠点で醸造中。
味のイメージを脳内で映画化する
「はじめはビールかレモンサワーが多いかな。それからワインへ。ゆったり時間をかけてボトルを1本酌む」と杜氏は言った。ワイナリー「ツイヂラボ」の醸造責任者・須賀貴大さんだ。彼の型破りな経歴を紹介しよう。
ジャーナリストを志した須賀さんは、大学卒業後に渡仏し、パリコレの撮影の仕事を得た。その後、ワイン雑誌のカメラマンとして銘醸地を巡ることになり、ワインの魅力に開眼した。
「超高級なワインをガブガブ飲ませてもらえたんです。それをよく分からず旨いっす、楽しいっすって。帰国後、ワインを飲める仕事をしたいと思いが高まっていき、転職することに」
ワインの輸入販売会社で小売を担当するようになったが、醸造現場のことを知らないまま商品を売ることに疑問を感じ、休日になると各地のワイナリーを訪ねるようになった。そして、誘われるがままに東京にある「フジマル醸造所」のワイン造りを手伝うようになり、午前は醸造、午後は販売というダブルワークで醸造の基本を学んだ。
ぶどうの個性や醸造技術で多彩に変化するワイン造りに魅せられて醸造側に転身。ニュージーランド、ドイツ、北海道などで研修を重ねた。そして、良質なぶどうが穫れる豪州アデレードヒルズにワイナリーを開設。
加えて日本では「ツイヂラボ」の立ち上げから醸造責任者として参加し、日豪の2拠点で、1年2回のワイン造りを行っている。
秋は東御市で、春つまり南半球の秋は豪州で醸造に取り組み、他の時期は東京・築地にあるワインの店『酒美土場』を手伝いながら、東京と長野を行ったり来たりの日々を過ごしている。
店主のきなきょうへい氏と一緒に、客とグラスを交わすのが、須賀さんのお気に入りの晩酌だ。
「うちのシャルドネはミネラリーで酸が特徴。この程よい塩気の昆布なんかよく合いますね。青みある香りをあえてわずかに残したメルローの方はナポリタンと相性がいいと思いますよ」
須賀さんはボトル1本をじっくり飲みながら、その味から実在の俳優が出演するオムニバス映画を創作(妄想)し、言語化する。
「若き南 沙良演じる女子高生は、なぜか教室で居眠りばかり。それもそのはず、まだ小さな弟ふたりの面倒をみるのも専ら彼女の役目。自宅に帰れば……(以下割愛)」
青髪に両腕にタトゥーの偉丈夫は、とことん繊細な夢想家だった。
『ツイヂラボ』@長野県
2016年、ワイン用ぶどう栽培を開始。2019年、ヴィラデストワイナリーに委託醸造し、シャルドネを初リリース。2020年に自社ワイナリーを開設し、自社畑ぶどうと仕入れぶどうのワイン、シードルを醸造している。
【くるみん(メルロー)】
【momo one(シャルドネ)】
『酒美土場』
[住所]東京都中央区築地4-14-18 1階
[電話]03-3541-1295
[営業時間]10時〜20時
[休日]不定休
[交通]地下鉄日比谷線築地駅1番出口から徒歩4分
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撮影/松村隆史、取材/渡辺高
※2023年11月号発売時点の情報です。
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