カリッ、サクッ。もちっ、ふわっ。「はぁ、おいしい。」そんな言葉が洩れるほど、食べるとあったかい気持ちになれる。そんな“癒やし系”トーストにスポットライトをあてました。牡蠣に海苔、オムレツや玉ねぎ。トーストと掛け合わせ生まれた各喫茶店のオリジナルな味をご紹介!
【トースト×オイスター】『珈琲店トップ 道玄坂店』 @渋谷
トーストに牡蠣!老舗が生んだ最先端の味
オレンジの灯に照らされた店内でコーヒーカップを傾ける客たち。『珈琲店トップ』は渋谷で70年以上愛される老舗だ。名物は「オイスタートースト」。耳が落とされたパンの上に牡蠣のオイル漬けがオン。
奇抜な組み合わせだが、生まれたのは40年以上も前。同店を運営する輸入食料品店の商品を生かそうと先代社長が考案したそうな。
オイスタートースト 780円、レモンジュース 750円
「“売れるのか?”と思った」と当時を知る店長は振り返る。ところが食べてみると、辛子マヨネーズと青ネギの香味が見事に味をまとめ上げてくれている。さすが渋谷、最先端IT企業の街になった今も昔も時代の先をゆく街らしい。
[住所]東京都渋谷区道玄坂2-29-7 道玄坂センタービル地下1階
[電話]03-3461-1624
[営業時間]11時〜20時
[休日]無休
[交通]JR山手線ほか渋谷駅ハチ公口から徒歩4分
【トースト×のり】『珈琲専門店エース』 @神田
炭水化物がススむススむ のり弁的トースト
長く続く店にはやっぱり理由があった。名物「のりトースト」は醤油と海苔を挟みこんがり焼いたトーストで、バターをサンドした一品。
のり弁をヒントにしたそうで、磯の風味にバターのコクが加わり不思議とパンがススむ味になっている。しかも値段がすごい。なんと220円。
元祖のりトースト 220円
ほぼ原価では!?と驚くが、店主は「みなさんに食べてほしいから」と言う。宣伝のために値段を抑えているらしい。
のりトーストを食べた客に旗をプレゼントするのもその一環。手作りのかわいらしい旗は喫茶店好きの間でのりトーストと共に話題になっている。店の歴史はまだまだ続いていく。
[住所]東京都千代田区内神田3-10-6
[電話]03-3256-3941
[営業時間]7時〜18時 ※土は〜14時
[休日]日・祝・月
[交通]JR山手線ほか神田駅西口から徒歩2分
【トースト×オムレツ】『レンガ』 @築地
ふわふわパンの上でとろけるオムレツ&チーズ
すべてが名物と言っていいくらい、ここはなんでもおいしい。サイフォンで入れるコーヒーに、ナポリタン、そして「オムレッチトースト」。取材してみてその味の秘密がわかった。単純に手をかけて作っているからだ。
オムレッチトーストセット 1000円
オムレッチトーストに使うのは柔らかな山型パン。何度も返してムラなく焼いたら、上にバター、少し焼いた岩手県産ソーセージ、できたての半熟オムレツをのせる。マヨネーズとケチャップ、チーズをトッピングしたら、とろけるまで焼いて完成だ。
かぶりつくとふわっとしたパンに卵とチーズが合わさりやさしい味わい。今の時代、この手間暇がしみじみうれしい。
[住所]東京都中央区築地2-15-15
[電話]03-3545-474
[営業時間]11時〜17時(16時LO)
[休日]水・日・祝
[交通]地下鉄日比谷線築地駅2番出口から徒歩2分
【トースト×オニオン】『珈琲アロマ』 @浅草
自家製マヨネーズがシンプルなのに旨いのワケ
銀座に読売新聞本社があった頃、その裏手の喫茶店で出されていたのが「オニオントースト」だった。当時そこで修業していた店主は後に地元浅草で自分の店をオープン。
元祖オニオントーストに自分なりのアレンジを加えて『珈琲アロマ』の名物に据えた。その名の通り、具材はごくシンプルに生の玉ねぎとピクルスだけ。なのにやたらと旨いのだ。
オニオントースト 330円、ブレンドコーヒー 400円
秘密はふわっと柔らかい自家製のマスタードマヨ。角のとれた辛みがパンの自然な甘みを引き立ててくれる。
でも店主は「あくまでトーストはコーヒーの脇役」とのこと。主役級な脇役とアロマ香るコーヒーを一緒に楽しむ。贅沢な時間だ。
[住所]東京都台東区浅草1-24-5
[電話]03-3841-9002
[営業時間]8時〜18時
[休日]土・日・祝
[交通]地下鉄銀座線田原町駅ほか3番出口から徒歩4分
撮影/西崎進也(珈琲店トップ、珈琲専門店エース)、沼沢善将(レンガ、珈琲アロマ)、取材/藤沢緑彩
※2024年3月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。