丼の中には、たっぷりおツユに浮かんだ冬の食材。牡蠣か鴨か、はたまたニシンか。それらを絡めて啜る蕎麦がまぁおいしいわけで。そんなごちそう蕎麦、どうぞ召し上がれ。
石神井公園『石神井 こねり庵』
にしん蕎麦といえば、かけそばにニシンがごろんと寝ているのが定番。しかしここでは別添えだ。これ、なんと5日もかけて炊いた渾身の作で、火を入れたり、冷ましたりを繰り返してゆっくり煮上げている。だから箸を入れるとほろりと崩れ、食べればジュワンと滋味が沁みる。
かけそばもニシンもまずはそのままを味わい、次にニシンを乗せてツユに溶けた旨みを味わう、と一杯で2度おいしい。一緒に炊いた昆布も添えられているが、これまたニシンのエキスを吸って酒がすすむアテなのだ。このほかにも中華風あり、洋風ありと、蕎麦屋らしからぬつまみが充実で楽しませてくれる。