旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■香りを楽しむ
正解:レモングラス
難易度:★★★★☆
エスニックフードには欠かせません
レモングラスは熱帯アジア原産のイネ科の多年草で、インドやスリランカ、タイなどを中心に広く自生しています。これらの地域の料理や伝統医療に古くから利用されてきました。
見た目はススキやのようで、茎の根元は白く太く、上に向かって葉が伸びています。草丈は1~1.5mほどにまで成長します。
日本では6月~10月頃が旬とされています。とくに夏に収穫されるものは香りが強く、やわらかな葉が収穫できる時期です。
生のものは市場にはあまり出回らないため、流通しているものの多くは乾燥品や冷凍カット済みのものです。
香りの正体はレモンの皮にも含まれている「シトラール」と呼ばれる精油成分。柑橘に似た爽やかさに若草のような香りが加わり、心身を落ち着けてくれるような清涼感を持つ成分です。
料理に使われるレモングラスは、おもに根元に近い白い茎の部分と、葉の部分のふたつに分かれますが、使い方に少し違いがあります。
茎の部分は香りが強く、スープや煮込み料理に入れることで料理全体に芳香を広げてくれます。ただし、繊維が多く硬いのでそのまま食べることはなく、包丁で軽く叩いて繊維をほぐしてから鍋に加え、香りを移した後で取り除くのが一般的です。
いっぽう、葉の部分は乾燥させてハーブティーにしたり、スープに結んで入れたりと、より軽やかでやさしい香りを加える用途に向いています。ただし、こちらも繊維が硬く、そのまま食べるのには適していません。
レモングラスを使った料理でもっとも有名なのは、タイの代表的なスープ「トムヤムクン」でしょう。レモングラスの茎を叩いて潰し、ほかのハーブや香辛料とともに煮込むことで、あの独特の香りと酸味、辛味が融合した複雑な味わいが生まれます。
ほかにも、カレー(グリーンカレーやマッサマンカレー)、ベトナムのフォーのスープ、レモングラスの茎に巻きつけて焼いた豚ひき肉のつくね串(ネムルイ)などが有名です。