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2025年夏、鹿児島のいたるところに「ハト」が出没します!この「ハト」とは、椋鳩十(むくはとじゅう)のこと。今年は鹿児島に縁の深い児童文学作家・椋鳩十の生誕120年にあたります。この記念の年に、名前をもじって8月10日を「ハトの日かごしま」と名づけよう。そして8月10日を中心にした夏休み期間中、椋鳩十にちなんだイベントを鹿児島のあちこちで行おう。こんな取り組みが今年から始まりました。初めての今年、鹿児島県内35団体ほどが参加します。

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日本の動物児童文学の父が生きた時代

代表作「大造じいさんとガン」は現在まで70年以上、小学校の国語の教科書に掲載され続けています。椋鳩十は日本で最も長く教科書に掲載されている作家の一人なのです。

椋鳩十。昭和59年頃 書斎にて

鹿児島で作家デビューした椋鳩十。そのスタートは、ちょうど日本が戦争へ突き進んでいくときでした。戦って死ぬことは名誉と「死」が賛美される時代。人間の物語としては言論統制で書けないが、野生動物の姿をかりることで、命の尊さを、愛情の美しさを、偏らない考えの大切さを子どもたちに伝えよう。椋が「生」へのメッセージをこめ書いたこれら動物物語は、日本で初めての本格的動物児童文学となりました。椋鳩十が確立した日本の動物児童文学のジャンル。鹿児島はその誕生地といえるのです。

戦後は鹿児島県立図書館長として、敗戦で混乱する人びとの心に芸術・文化の灯を点し、本の力で復興を支えました。離島含めた鹿児島県全土に本が行き届くように配本システムを整えるなど、鹿児島の文化、芸術、教育全般の活性化に貢献。中でも本を親子の心の架け橋にと始めた「母と子の20分間読書運動」は全国に広まります。

県立図書館の中庭に刻まれた「感動は人生の窓を開く」の椋自身の体験から生まれた言葉は、本との出会い、とくに子ども時代、読書による感動体験がどんなに大切かを伝えています。

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椋鳩十に迫る「本を聴くひととき」
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