古今東西、美味しいグルメを追い続けてきた、東の食のジャーナリストのマッキー牧元(まきもと)さんと、西のグルメ王の門上武司(かどかみ・たけし)さんが互いに「オススメの一皿」を持ち寄って紹介します。食の達人たちが織りなす“おいしい往復書簡”をどうぞお楽しみください。今回のお題は、寒さで冷えた身体に沁みる「味噌ラーメン」です。
味噌汁を彷彿とさせる!沁みます
〈味噌ラーメン〉ってやつは、ほかのラーメンとはちょっと違う立ち位置と言いますか。やっぱり味噌だけに、母の作った味噌汁を彷彿させるものがあり、じんわりきますね。今回はまさに、東西ともにそんなイメージを思い切り体現させてくれる2軒。東は、店主自身がリアルお母さんで、作っている背中を見るだけであったまります。西は、当主のお母さんから受け継いだ秘伝の味噌ダレが決め手とか。いずれも、沁みますな~。
どこまでもまぁるく包み込んでくれる陽だまりの味わい『らぁめん 一福』@東京・初台
【東の味噌ラーメン】
「素朴な見た目でやさしいタッチながら骨太さもあるスープがたまりません。酒粕と豆乳入りバージョンの『囲炉裏麺』1280円。こちらは焼きねぎ仕様で、寒さが堪える時期にぜひ」(牧)
味噌らぁめん980円(※価格改定の予定あり)
門上さん、冬が近づくと、味噌ラーメンが恋しくなりますね。生まれて初めて食べた、極寒の札幌での思い出が蘇り、無性に食べたくなります。
東京にも多くの味噌ラーメン屋がありますが、昔から僕のお気に入りはこの店です。なぜなら、ここでいただくと、陽だまりの味を感じて、心を丸く抱きしめられるからです。厨房では、物静かな女主人がひとりで、ラーメンを作られています。
運ばれてくると甘い香りがふわりと立ち、思わず微笑みます。まずスープをひと口飲む。するとそのたおやかな味わいに、体の力が抜けていく。「ゆっくり寛ぎなさい」。そう言われたかのような気分を運んでくる。
ねぎは、存在感の強い小口切りではなく、四角いあられ切りにされ、チャーシューは分厚くしっとりとした仕上がり、シナチクは太く柔らかで、やさしいスープと馴染むように考えられ、アクセントに秘密のカリカリしたものが浮かべられる。すべてが計算されているが、尖っていない。
長年作り続けたおばあちゃんの味噌汁のように、地平線の彼方まで丸い。普段ラーメンのスープは、塩分過多を考えて残すが、この店の味噌スープだけは飲み干してしまう。さらには穏やかな余韻がいつまでも残り、2、3日経つとまた食べたくなるのです。
門上さん、そんな味噌ラーメンを食べ、温泉に浸かったような気分になりませんか。
[店名]『らぁめん 一福』
[住所]東京都渋谷区本町2-17-14小泉ビル1階
[電話]03-5388-9333
[営業時間]11時半~14時 ※なくなり次第終了
[休日]月・火・金
[交通]京王新線初台駅から徒歩12分
マッキー牧元
自腹タベアルキストであり、コラムニスト。『味の手帖』主幹。また、東京・虎ノ門ヒルズにある飲食店街〈虎ノ門横丁〉のプロデュースを務めるなど、ますます多彩に活躍。







