覆面取材でわかった!今、通いたい居酒屋はこんな店!(居酒屋/東京)

三ツ星の居酒屋を担当したライター菜々山いく子(以下・菜)と編集・武内(以下・武)。酔いつつ、舌鼓を打ちつつ取材を進める中で、今の居酒屋はこれまでになかった魅力に溢れている店が多いことに気がつきました。それは……

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新しい酒の楽しみ方、急増中です!

「今月は、都内にある何十軒もの居酒屋を巡ってもらいましたが、ここ最近の傾向や流行はありました?」
「それこそひと昔前の居酒屋っていうと、つまみは刺身と焼き鳥でお銚子もう1本! みたいなイメージだったけど、今は料理も、揃える酒も個性的な店が増えているよ」
「確かに、日本酒=和食にこだわらなくてもいいんだって思いました」

「そうそう、例えば『SUGAR』は、中華も出すし、取材拒否だった『S』は、ハーブやスパイスを使ったエスニックテイストの料理も多かったもん。それに『MiwaMiya』はビストロ料理。料理のボーダレス化がすすんでいるみたい。日本酒ってこんなにも色んな料理に合うんだって目からウロコ!」

SUGAR

羊肉水餃子 750円

MiwaMiya

自家製豚バラ肉の燻製 1300円

「日本酒の造り手も、それぞれに米や酵母、製法に工夫をこらして、今までなかったような新感覚の酒の研究をしていますし、日本酒とひと口に言っても、その味わいは多様ですからね」
「酒屋さん主導の仕入れじゃなく、店主もちゃんと自分のトコの料理に合う酒を置いているんだよね。30代の若い店主の店が台頭してきているのもここ最近の傾向かな。皆さん、日本酒についてすごく知識豊富だから、飲みながら話しを訊くのも楽しかったし、酒のすすめ方も的確なんだ」

「あと、ほとんどの店で1合単位じゃなく、5勺とかグラスで少量ずつ注文できましたよね。ひとりでも、料理ごとに酒を合わせられるのが嬉しいです」
「居酒屋って、酒飲んで酔っぱらうトコじゃないんだなあってつくづく思った。料理と日本酒のペアリングを楽しむところなんだって」
「でも、酔っぱらってましたよね?」
「酔っぱらってましたとも! そりゃ酒飲めば酔っぱらうでしょう。ペアリングも大事だけど、堅苦しく考えすぎないで、楽しく飲むってのも居酒屋の醍醐味でしょ!」

「ハイハイ。ところで、先ほど料理のボーダレス化の話しがでましたが、和食を合わせる店がもちろん主流ですよね」
「もちろん。でもそのレベルがかなり高くなっていると思うんだ。ちゃんと和食で修業と経験をつんだ職人さんが作る料理って、やっぱり見た目も味もすごく洗練されているよね」
「池袋の『KOU』『UOK』は、どの料理も完成度の高さに驚きますよね。しかもほとんどが500円以下っていうのもコスパ高すぎ!」
「うんうん、その2軒は、もはや高いお金払って割烹に行く必要ないなって思ったくらいのレベルだった」

【閉店】KOU

合鴨のロース煮 432円

UOK

黒鯛のおくら蒸し梅肉餡がけ 540円

「それと、中目黒の『ひぐらし』の料理もいい。中目黒って実はオトナがちゃんと楽しめる居酒屋って少ないんですよ。ここは料理も酒も雰囲気も文句なし!」

ひぐらし

新サンマ塩焼き 810円

「『ひぐらし』の料理は季節ごとに変わるメニューが特に良いね! これからの時期は、丸々太った塩焼きサンマに、“ひやおろし”。くぅ〜、たまらん。ベタだけど日本人に生まれてホント良かった」
「あとね、ちょっと前まで日本酒と言えば冷酒ばかりがもてはやされていたじゃないですか。燗酒推しの店が増えているのも、ここ最近かと」

「今回取材した中では、人形町の『炉端ぺし』が特に力を入れているよ」

和醸良酒 ぺし(旧店名:日本酒バル 炉端ぺし)

海鮮酒粕グラタン 951円

「ボクは燗酒好きなので、この傾向はうれしいです。温めると甘みや香りも増すし、食事との相性が広がるんですよね。ただ、なんでもかんでもお燗すればいいってワケじゃないし、ヘタすると味を損なうだけだから、店の技量とセンスが試されますけどね」
「うんうん。今回の覆面取材でも煮切りかっ! ってくらいアッチアチの酒を出してきた店があった(笑)」
「それにしても、今回紹介したような個性あふれる店が数年の間に続々とオープンして、居酒屋業界はますます面白くなってきましたね」
「酒蔵も頑張っているし、日本酒をとり巻く世界は今後早いペースで変わっていくと思う」
「ますます目が離せない! 随時、覆面取材を敢行する必要がありそうですね」

今回の記事の店舗情報

SUGAR(最寄駅:阿佐ヶ谷駅)

2016年5月にオープンし、はやくも注目を集める店だ。日本酒には和食という既存の概念をくつがえし、パンチのある中華や、スパイスをふんだんに使用したエスニックからのアプローチも打ち出している。

MiwaMiya(最寄駅:阿佐ヶ谷駅)

 酒は瓶ビールと日本酒のみ。料理は、定番の塩辛や漬物の他に、鶏レバームースやパテをはじめとした本格的なビストロ料理も数多く揃える。

KOU(最寄駅:池袋駅)

 駅から離れた住宅街にひっそりと佇むカウンター7席のみの小さな店。アトランタの日本総領事館でも腕をふるった経験を持つ、腕利きの料理人、店主・三村さんが作るのは、見た目も味も洗練された正統派の和食。

UOK(裏KOU)(最寄駅:池袋駅)

KOUの2号店としてオープンした。こちらもカウンターのみのこぢんまりとした店で、本店に勝るとも劣らない上質なつまみでもてなしてくれる。 ※ランチタイム有

ひぐらし(最寄駅:中目黒駅)

 駅前の喧噪から少し離れた静かな路地にひっそりと暖簾を出し、今年で3年目を迎えた。広々としたカウンター席を中心とした店内は、大人がくつろげる上質な空間。

和醸良酒 ぺし(旧店名:日本酒バル 炉端ぺし)(最寄駅:人形町駅)

 唎酒師の資格を持つ店長・中村典嗣さんがとりわけ力を入れるのは燗酒だ。それぞれの酒に適した温度で丁寧に燗をつけることで、米の旨みや香りが一段と華開く。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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