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目にすると、何故だかとてもシアワセな気持ちになる、黄色いハンカチならぬ、黄色い玉子をはさんだ〈玉子サンド〉。ごくごく平凡を装ったこのメニューは、見るたび、思い出すたび、妙~~に(無性に)食べたくなる、魔性の味なのです。文/門上武司、マッキー牧元 撮影/鵜澤昭彦(東)、ツジノワタル(西)

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今回のお題【玉子サンド】

【東】マッキー牧元 玉子サンド 喫茶YOUの「オムレツサンド(ドリンクセット)」

 門上さん、玉子サンドといえば、京都がメッカですよね。ネット検索で「玉子サンド」と入れれば、即刻「玉子サンド 京都」と、出てくるほどです。僕も京都で何軒か食べて、心つかまれました。
 しかし後塵を拝していた東京も、いまや玉子サンドが盛んなのです。通常のスクランブルエッグ系だけでなく、目玉焼きにゆで卵、出し巻き玉子にスフレと、百花繚乱です。そのなかで今回は、オムレツを選びました。オムライスで有名な喫茶店『YOU』の「オムレツサンド」です。
 ふわりと仕上げた紡錘形の美しいオムレツを、温めたパンの間にそっと挟む。僕はこの食感を損なわないよう、パンを上下からは掴みません。これ以上の圧力をかけてはいけない。だからパンを左右に配置して食べるのです。こうして食べると、まず唇に、ふんわりとオムレツがキスをする。次にむむっと舌に玉子の甘みが広がります。パンにはうっすらマーガリンとマヨネーズが塗られていますが、味わいはこの上なくオムレツに肩入れしたサンドなのです。
 僕は後半になって、ちょっとだけ塩をかけてみます。すると甘みが膨らんで、玉子が笑う。そこで一緒に頼んだコーヒーを、ひとすすりします。
 この幸せは、なにものにも変えられません。門上さん、幸福を共有しませんか。

ふわふわオムレツは 初恋の味のごとき イケナイ食感。 あぁ、うっとり……

▲オムレツサンド(ドリンクセット) 1100円
サンドを「齧る」ということが不可能なほどフワフワのオムレツ。
「この玉子サンドを食べるときは、あくまでもそっと優しく。食べ終えたあと、思わず“ほぅ”っと吐息が漏れる味わいなんだな」(牧)

[住所]東京都中央区銀座4-13-17 高野ビル1F・2F
[TEL]03-6226-0482 10時~21時(20時LO)※食事の販売は11時半~
[休日]無休(年末年始を除く)
[席]1F:14席、2F:34席/計48席 カード不可/予約可(土・日・祝を除く)/サなし
[交通アクセス]地下鉄日比谷線東銀座駅3番出口から徒歩1分
※オムレツサンドは750円+箱代50円でテイクアウト可。
ほか、サンドイッチ、オムライスなどもテイクアウトOK。

【西】門上武司 グリル グリーンの「タマゴサンド」

 関西には数年前に惜しまれながら店を閉じた洋食店があり、そこの玉子サンドは名物でありました。オムレツを焼き、それを三つ折りにしてパンに挟む。確実に玉子がパンの量を凌駕しているのです。そのレシピを再現する喫茶店も登場し、ファンはホッと胸をなでおろしたのでした。
 多分に漏れず僕もその一人だったのですが、実はもう一軒、大好きな玉子サンドを供するコーヒー店がありました。ところがそちらは、姿を消したままになっていたのです。すると友人から、「あのグリーンが祇園で復活した」という朗報が。なんとコーヒー店から、カウンターの洋食店に変身したのです。
 かつては厨房で作られていた玉子サンド。今度は調理の様子が見えるのです。驚いたことに、主の足立浩行さんはフランパンに溶き玉子を入れ、なんとフライパンをゆっくり回しながら、玉子を四角形に焼き上げてゆくのです。つまり食パンのサイズに合わせ焼くということになります。
 味付けはバターと塩、コショウのみ。折り畳むことがないので、厚焼き玉子はびっしりパンと接地しています。ふんわりというより、詰まった感じが食べ応えに繋がります。圧倒的な玉子の存在感には、これぞ玉子サンドという矜持すら感じるのです。
 牧元さん、祇園の洋食屋にぜひどうぞ!

見よ、この堂々たる姿。その圧倒的な存在感に、思わず襟を正したくなるような“ザ・玉子サンド”

見るからに凝縮&重量感のある玉子焼きが、圧巻。
「現在は洋食屋なのでステーキなども素晴らしいのですが、締めは迷うことなくこの玉子サンドとカレーライスというセットをおすすめします」(門)

[住所]京都府京都市東山区祇園町北側347-28 Fビル1F
[TEL]075-525-3117
[営業時間]18時~翌1時
[休日]日・祝
[席]カウンターのみ8席 カード可/予約可/サあり(別途10%)
[交通アクセス]京阪四条駅から徒歩7分
[HP]https://www.facebook.com/coffee.green.kyoto/
※アラカルトのほかコース(ステーキ8000円〜、おまかせ10000円~、
いずれも税サ別)もあり。

プロフィール

マッキー牧元/タベアルキストを自称して早30年、ひたすら美味しいものを食べ歩き、それを生業とすべく、各誌への寄稿に励むコラムニスト。東の食雑誌『味の手帖』編集主幹でもある。
門上武司/小誌でもおなじみの、あらゆる食情報に精通している西のグルメ王。食関連の執筆・編集を中心に、各メディアに露出多数。関西の食雑誌『あまから手帖』の編集顧問も務める。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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admin-gurume
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