×

気になるキーワードを入力してください

SNSで最新情報をチェック

icon-gallery

名古屋『朝日屋』先代が考案した「焼肉のたれ」で味わう夏のイチ推し麺

味噌かつや手羽先、ひつまぶし、きしめん……。
これら名古屋めしの共通点は茶色いこと。
一度食べたらクセになるほど旨いのだが、栄養のバランスが偏っているのは否めない。
要するに野菜を使っていないのである。
名古屋めしばかり食べているからなのか、愛知県民の野菜摂取量は全国最下位。
これは由々しき事態である。

「じゃ、野菜たっぷりのメニューを作ろう!」
立ち上がったのが名古屋市中村区則武1丁目にある麺類食堂『朝日屋』の堀場剛さん・美香さん夫妻だ。
※写真左端は、堀場さんの母親、敬子さん。

ここは、炒めた幅広のきしめんを熱々の鉄板でいただく創作きしめん「焼き太きしめん」(720円)が名物。
人気の秘密は、食べたら後を引く味付け。
巷の焼きうどんなら味付けは醤油やだしと相場は決まっているが、この「焼き太きしめん」は先代店主で、亡くなった堀場さんの父親が作った自家製の焼肉のたれを使っている。
そのため、醤油やだしでは出せない複雑な味わいが楽しめるのだ。
「『焼き太きしめん』の味付けをどうするか試行錯誤していたときに、家で焼肉を食べていたんです。
ものは試しにと使ってみたら、とても美味しかったんです。
父は職人気質で焼肉のたれは家での焼肉専用に作ったものでした。
店のメニューに使ったと知ったら激怒しますよ(笑)」

おっと、話が逸れてしまった。
野菜たっぷりのメニューに話を戻そう。
たっぷりのレタスとニンジン、トマト。
そして、ビタミンKやビタミンAなどの栄養盛りだくさんのオカヒジキを、幅広の太きしめんと合わせることまではイメージしていたという。
「味のベースも自家製の胡麻マヨドレッシングと決めていました。
しかし、このままでは甘すぎるので、もうひと味と思って、つゆに使うかえしを合わせてみましたが、水っぽくなってしまって……。
いろいろ試しましたが、納得のいくものができなかったんです。
諦めかけていたときに、焼き太きしめんに使っている焼肉のたれをくわえたところ、理想の味が完成しました」

さらに、これまた焼肉のたれで味付けした豚ロースの焼肉をのせて、「スタミナサラダ太きしめん」(1000円)と名付けた。
まず、驚くのは野菜のボリューム。
これだけの量を一度に食べられるのは、野菜不足を実感している私にとってはありがたい。

そして、焼肉のたれと合わせた胡麻マヨドレッシングの旨いこと!
とくにオカヒジキのシャキシャキ感と太きしめんのもっちり感がたまらない。
これまで名古屋にある数多くの店がサラダきしめんを作ってきたが、どれも今ひとつだった。
どうしても、タレの甘みや酸味が食べているうちに飽きてくるのだ。
しかし、この「スタミナサラダ太きしめん」は、豚ロースの焼肉もアクセントになっていて、最後まで美味しく食べられる。

「本当に、焼肉のたれを作ってくれた先代には感謝しています。もう一つ、焼肉のたれを隠し味に使ったメニューがあるんです。
これも今の時季にはオススメですよ」と、堀場さんが出してくれたのは、カレー風味の「インディアン焼き太きしめん」(820円)。

カレーうどんのように、カレーを前面に出しているのではない。
炒めた肉と野菜、そして焼肉のたれの複雑な旨みの中にカレーの味と香りがふわっと広がる感じ。
それが絶妙なのだ。
これなら辛いものが苦手な人や子どもも楽しめると思う。
先代はすばらしい財産を残してくれたものだ。

朝日屋
[住所]愛知県名古屋市中村区則武1-18-16
[TEL]052-451-5930
[営業時間]11時~15時、17時~20時
[定休日]日曜

永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

icon-gallery
関連記事
あなたにおすすめ

関連キーワード

この記事のライター

永谷正樹
永谷正樹

永谷正樹

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。11月15日発売の12月号は「町中華」を大特集…