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仕上げに味噌ではなく、途中で加えて具材に味を染み込ませるために軽く煮込む「とん汁」。都内の定食屋を駆け巡って見つけた、これぞ! の一杯を紹介します。

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ふわっと白味噌ベースで豚バラのコクが生きる 煮込み過ぎない家庭の味

『まるけん食堂』@吉祥寺

とん汁(200円)
湯気をあげる味噌汁の大鍋から小鍋に移し、手際よく仕立てられたとん汁。
豚バラの甘み、野菜にシャキッと感が残ってるのもいい

昭和35年創業というから60年近く続く、なんとも気取りがない定食屋の味を、ご主人・山岸さんが守っている。

そのとん汁がまた、家庭的とも言えるほっとする旨さ。定食用に作られた味噌汁がベースで、とん汁は注文が入ってから小鍋でさっと仕上げられる。大根、ニンジン、玉ネギに絹豆腐。クタッとし過ぎずにイキイキした感じがいい。

甘過ぎない白味噌ベースの仕立て。コクを加えているのは、ご主人が「火の通りが早いからね」という薄切りの豚バラ肉だ。良心的過ぎる価格でこんな定食。足繁く通いたくなるなあ。

焼きサバ定食(480円 とん汁に変更で630円)
サバ焼きは一品で頼めばなんと270円。脂がのり、こんがり焼けていてご飯が進む

上・レバニラ炒め(250円) 下・ヤキメシ(480円)
玉子を入れず、ちゃんとご飯が焼けてるのがいい、懐かしのヤキメシ。
レバニラの火の通り加減も絶妙だ

[住所]東京都武蔵野市吉祥寺東町1-6-14
[電話]0422-22-4250
[営業時間]11時~15時
[休日]17時~21時
[交通]JR中央線ほか吉祥寺駅北口から徒歩9分

とろとろに煮込まれた玉ネギと豚肉の甘みに 合わせ味噌の風味が生きる

『味噌汁専門店 味噌元 KITTE GRANCHE店』@丸ノ内

美噌元の豚汁単品(680円)
玉ネギ、大根、ニンジン、里芋、白菜、豆腐、コンニャク、豚バラ、水菜と実に具沢山。
隠し味に酒粕と八丁味噌も入って、まろやかながら少しだけ酸味も利いて美味しい

週に一度はお椀を前にほっこりと。具沢山の味噌汁を主役にした食事で体のリセットを――そんな思いからできたという味噌汁専門店だ。

いずれの味噌汁もヘルシーかつ具沢山だが、大きなお椀にたっぷり入ったとん汁はまさしく主役級だ。まずは大量の玉ネギと豚肉をとろとろに煮込むという味わいは、いい甘みが出ていてとてもやさしい。玉コンニャクや里芋もいい仕事をしている。

煮込んだ具材から出たダシに、信州赤味噌と信州白味噌を合わせた自慢の決め味噌の風味が香る。なんとも満足度の高いまろやかな一杯だ。

特製炙り豚付きセット(1180円)
セットメニューのご飯はヘルシーな五穀米。低温調理した炙り豚に、味噌のソース付き

美噌汁最中(6個箱 1728円)
合わせ味噌の味わいのイメージが顔になって描かれた「美噌汁最中」や、おかず味噌、スティック味噌汁など、店頭では物販も

[住所]東京都千代田区丸の内2-7-2(KITTE GRANCHE内)
[電話]03-6256-0831
[営業時間]10時~21時(日・祝は~20時、食事はそれぞれ30分前にLO)
[休日]KITTEに準ずる
[交通]JR中央線ほか東京駅丸の内地下南口から徒歩1分

豚肉のダシもいい塩梅 具材の旨みがほっこりとひとつに溶け込んだ旨さ

『巣鴨ときわ食堂 大塚駅前店』@大塚

とん汁(390円)
ゴボウや大根、ニンジンなどの根菜、ジャガイモ、玉ネギ、ネギ、コンニャクや豆腐、そして豚肉。
その旨みがひとつにまとまって深みのあるコクが

手間ひまや食材の鮮度など、美味しさへのこだわりには定評ありの『巣鴨ときわ食堂』。野菜たっぷりの伝承の味、とん汁にももちろんこだわりが。

ロースカツ同様、林SPFを使う豚の肉質もだが、手順もそう。最初に豚肉とジャガイモ、野菜を炒めるのだが、「ジャガイモの外側が薄く透明になるくらいに」という炒め加減が大事。
これで汁と具材に深みのある一体感が出るのだという。

熱々で供されてくるとん汁は、確かにほっこりやさしく、旨みがやわらか。野菜からも豚からもいいダシが出てる。ふーふー言いながら味わいたい。

刺身盛り合わせ定食(1030円 とん汁に変更で1360円)
サザエなどの貝類、マグロ、青魚。魚は毎朝市場から仕入れている

エビフライ(760円)
20㎝以上はあろうかというサイズで、えび本来の旨みが味わえる人気メニュー

[住所]東京都豊島区南大塚3-43-12
[電話]03-6914-2029
[営業時間]10時~23時
[休日]日
[交通]JR山手線ほか大塚駅南口から徒歩3分

ルーツも具材も各種 好みのとん汁はいかに?

今回、われわれ『おと週』とん汁調査隊は、けっこうな量のとん汁を食べ歩いた。で、つくづく思ったのは「やっぱとん汁うめ~」ってことと、とはいえ「いろんなとん汁あんなあ」ってことであった!

そもそもとん汁なのか、ぶた汁なのかで揉めそうだが(西日本はぶた汁優勢らしい。広辞苑はぶた汁→とん汁)、味噌のバリエーション、具材のバリエーション、作り方もいろいろあるって発見。
広辞苑の定義は「豚肉に野菜などを加えて味噌仕立てにした汁物」ってシンプルだから、それでいいのだ!

で、勝手に自分のイメージを広げると、やっぱフウフウあったまるのがいいやね。豚肉の脂がいい塩梅に溶けてて冷めにくいし、なんか元気が出る。

そしてやっぱり、湯気と一緒にほわ~っとあがってくる香りだ。白味噌仕立てかちょい赤味噌寄りか好みはあれど、味噌の香り。それでもって個人的には根菜の、ゴボウの香りも一緒にあがってくるとまたそそる。

でもって、ずずっとやったときのいいダシっていうか旨みというか。カツオや昆布のダシは入れる派、不要派あるらしいが、ここはやはり具沢山の勝利!
野菜や豚肉、煮込んだ素材からダシが出てるのがうめ~ってわけだよ。豚の脂の甘みなのか野菜の甘みなのか。く~。

具材のバリエーションは、これまた好みで論争が起きるかもしれない。豚バラを基本に(でも炒めたベーコンもあったし)、大根、ニンジン、ネギ(玉ネギ)あたりはポピュラー。ゴボウ、コンニャク、豆腐(揚げがいいって人もいる)。
そして問題はイモだね。ジャガイモなのか里芋なのか、はたまたサツマイモなのか!(入れない派もいる)。

サツマイモで思い出したが、とん汁のルーツは薩摩汁説が有力だ。薩摩汁はもともと鶏肉だったのが琉球から豚が伝わって云々。
でも、海軍カレーのカレー粉代わりに味噌を入れた説もあったりして、この説なんかけっこうお気に入りだ。レシピは明治の「陸軍炊事マニュアル」なんかにも出ているらしい。

いずれにしても少しワイルド、野外でもあったまるからねえ。そういえば、キャンプとかスキー場でも食べたなあ。うあ~、また食べたくなってきた!

撮影/鵜澤昭彦(まるけん食堂、味噌元)、瀧澤晃一(巣鴨ときわ食堂) 取材/池田一郎
※店のデータは、2019年3月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

この記事のライター

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