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スープと同じくラーメンの味を左右する麺。自家製麺の店も増えているが、今回は業界を代表する 3つの製麺所に注目。『おとなの週末』ライター肥田木が取材しました。それぞれの麺作りの姿勢は……いやあ、こうも奥深いものとは。感動を呼ぶ(?)麺物語。今回は浅草開化楼!

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『浅草開化楼』

麺業界の革命児が発信する手作り麺の圧巻の旨さ

麺作りに情熱を注ぐ 下町製麺所の底力

ラーメンを語る時、スープと麺のどちらに重きを置くだろうか。いや正確に言えば旨さとはバランスで、スープがいかに素晴らしくても麺がハマってなければ至極の1杯は完成しない。

だが私自身、取材時にスープのこだわりは深堀りしても麺の存在は「寄り添う」や「受け止める」とかどこか黒子的に見ていた。今まで”ご麺なさい”。

ならば宣言しよう。この記事は麺が主役である!

日本のラーメンブームは麺の進化もあってこそ、だ。ある意味、職人が追求する味の理想と、それを形にし続ける製麺のプロの”二人三脚”の足跡でもある。それは麺に人生を掛ける男たちのロマンでもあったのだ。

さて物語は下町の小さな町工場から始めよう。名は言わずと知れた『浅草開化楼』。それまで裏方だった製麺所を表舞台の”ブランド”にした立役者がカリスマ製麺師の不死鳥カラスさん。

■不死鳥カラスさん
元フリープロレスラー。この道20年の製麺師。09年につけ麺用小麦粉「傾奇者」を日清製粉と共同開発。
ブームを支えた麺業界の革命児だ。スピーディな対応と的確な提案は店から絶大な信頼を得る。現在全国約800店に卸す

まだブーム全盛前からつけ麺用の商品を手掛け、麺だけ食べても旨いモチモチとした食感を小麦粉の配合で実現させた。

それを名店「六厘舎」が使用したことで開化楼の名を全国に知らしめたのだ。以来、オーダーメイドで開発する麺が増え、関わる店が次々ヒット。有名店を輩出してきた。

工場を訪ねて驚いたのは想像以上の狭さと手作業工程の多さだ。こんな小さな場で全国から注文が殺到する麺を作っているのか。唖然とする私にカラスさんは言った。

「この設備でやれることは限りがある。出来る役目を考えた時、強みは手作りだった。人の手の温もりが入ることで目に見えない旨さになる」

麺を玉状に丸める仕上げも、パック作業の工程も、人の手で。男たちが粉まみれになって賢明に働いている。ふと壮大な昭和の映画を観ているような錯覚に陥るのは、私だけだろうか。

同社では現在、国内外の約20種の小麦粉を厳選し、10種ほどの配合パターンで麺を作っている。絶対的な指標、それは質感の良さに加え、小麦の甘みを感じるかどうか

「食感を良くするためデンプンや卵白を加えたり”魔法の粉”的な材料を使うのは技じゃない。小麦粉の組み合わせで味わいを作るんです」

ひとつの麺を作る時、粉の配合は多くても3種。例えばベースとなる粉を5、後は3対2というように強弱をつけることで個性を出す。同じ麺の生地でも縮れやストレートなど形状や切り刃が違うと食感も味わいも全く変わる。奥深き麺の世界。

最近はパスタ開発にも力を入れている。理由を聞くと

「下町の小さな町工場からフロムジャパンのパスタを発信というのも面白いじゃないですか」

男のロマンは続くのだ!

浅草開化楼の麺を堪能できるラーメン店

『ラーメン大至』@御茶ノ水

ラーメン(780円)

旨いもんは旨い! を証明した 麺とスープの組み合わせ

つけ麺にはモチモチの麺、あっさりラーメンは細麺が定番だ。だが旨ければどちらでもいいじゃないかを、見事に証明するのがここ。

鶏ガラベースに魚介系を加えた清湯のラーメンに合わせるのはつけ麺用の中太麺。素材の複雑な旨みで構築されるスープに負けない存在感を放っている。

逆につけ麺には縮れの細麺。ほぐれやすく、のど越しの良さも秀逸だ

不死鳥カラスさん
「昔ながらの醤油味にハマる中太麺。しっかり茹でた麺の旨さが伸びることなく最後まで続きます」

店主:柳崎一紀さん
「ひと口食べた瞬間に小麦の甘みが広がる麺と、カラスさんのスピーディーな対応に使用を即決です」

[住所]東京都文京区湯島2-1-2・1階
[電話]03-3813-1080
[営業時間]11時~15時、17時~21時(20時45分LO)、土11時~15時
[休日]日・祝
[交通]JR中央線御茶ノ水駅聖橋口から徒歩6分

『つけそば 神田 勝本』@神保町

改良を重ねた特製麺が至高のスープと一体化する

一流の向上心は尽きない。無論、麺に対しても然り。

実は以前は清湯そばの麺に看板のつけそばに使う平打ちを合わせていた。だが2年前に改良。それは茹でてナチュラルに膨らむ麺。

ひと口目からなめらかで柔らかい弾力が持続し、鶏、節、煮干しが折り重なるスープに小麦の甘みが溶け出し一体化する。

その奥深さは体験あるのみ。口福を約束する。

不死鳥カラスさん
「女性も好むように改良した麺。強い歯応えではなくなめらかで柔らかな膨らみが特徴です」

店主:松村康史さん
「ちゅるんとのど越しもいいストレート麺が、自慢のスープを最後まで吸い上げてくれます」

[住所]東京都千代田区神田猿楽町1-2-4
[電話]03-5281-6801
[営業時間]11時~17時
[休日]日
[交通]地下鉄半蔵門線ほか神保町駅A5出口から徒歩5分

撮影/瀧澤晃一 取材/肥田木奈々
※店のデータは、2021年2月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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