茨城県のアンテナショップ「IBARAKI sense」(イバラキセンス)には、多くの種類の納豆が販売されています。その中で気になったのが、通常とは異なる食感の「そぼろ納豆」。茨城県外では、あまりなじみのない名産を味わってみました。
画像ギャラリー切り干し大根が入った味付き納豆 もともとは保存食
そぼろ納豆は、塩漬けなどした切り干し大根と納豆を合わせた茨城の郷土料理。「秋に収穫した大豆で納豆をつくり、近所やお寺等に配る際、余った納豆を長い間食べられるように工夫をこらした」(農林水産省のホームページより)。昔から、農家など各家庭で作られてきた保存食だったといいます。
トップクラスの人気を誇る金加食品
IBARAKI senseで販売されている数十種類の納豆の中でも、トップクラスの人気を誇るのが、金加(かねか)食品(ひたちなか市)のそぼろ納豆(店頭価格で税込み216円)です。大内章一社長によると、先代の父親が昭和25年に売り出してから、商品はそぼろ納豆だけ。商品パッケージに「保存料・甘味料着色料は添加しておりません」と赤字で記載されているように、保存料を使わずに塩加減で調整する製法で、熱心なファンを獲得してきました。
「夏は多少、しょっぱくなる」
保存料不使用でも、10度以下の冷蔵保存で約2週間はもつとのこと。「塩で日持ちさせています。保存料を入れて甘くしようと思ったこともありますが、『保存料が入っていないほうがいい、このままでいい』とお客さんたちが言ってくれるので、無添加を貫いています」(大内社長)。塩加減を調整するため、暑くなる夏場は、冬場に比べて多少しょっぱくなるのだといいます。
作り方は、切り干し大根を1カ月ほど塩で漬け込み、納豆と合わせます。その際、醤油と調味料も入れて混ぜ合わせることで完成です。
金加食品では、材料の切り干し大根が自家製です。「自分のところで、大根を干しています。大根は、冬場のからっ風じゃないと乾かないので、(干す作業は)冬場限定です」(大内社長)
昔は、干し大根を冷凍保存する技術がなかったこともあって、夏場はそぼろ納豆を作っていませんでしたが、今では年間を通して提供できるようになったそうです。
あったかいご飯にのせて
無添加にこだわったその自慢の逸品を、味わいます。温かいご飯にのせて、ほおばりました。納豆はしっかり味が付いていて、白いご飯によく合います。うん、うまい!!
大内社長が言うように、少ししょっぱめに思う人もいるでしょうが、ご飯の量で塩味を加減できるので、特に気になりませんでした。ご飯が進みます。
切り干し大根は、ポリポリして歯応えがあります。そこに、納豆のネバッとした異なる味わいが重なります。硬さとやわらかさが同居したおもしろい組み合わせです。
通常の納豆はかき混ぜてネバネバを増やしてから醤油などを加えて食べますが、このそぼろ納豆はそのまま食べます。このため、糸はあまり引かず、粘りも通常のものよりは少ないのが特徴です。
「パスタに合わせたり、チャーハンの具材にしたりという食べ方をお客さんから聞きます。お茶漬けも美味しいです。でも、あったかいご飯にのせるのが一番」。そう大内社長が言うように、温かいご飯が最も適していると思いますが、いろんな味わい方が楽しめそうです。
この1年で1.5倍に
コロナの巣籠り需要も手伝って、金加食品では、この1年で販売量が1.5倍にもなったそうです。地元以外では店頭で見かけることはほとんどない商品ですが、東京都内ではIBARAKI senseに置かれていますし、各種通販サイトでも購入が可能です。多くの人にぜひ試してもらいたい、後を引くような新食感です。
「IBARAKI sense」の店舗情報
ショップには、旬の果物、食品やお酒、工芸品など約1000種類の特産品が並んでいます。
[住所] 東京都中央区銀座1-2-1紺屋ビル1F
[電話]03-5524-0818
[営業時間]11時~19時(ショップ・カフェ) ※営業時間は異なる場合があります
[休日]年末年始
[交通] JR有楽町駅京橋口から徒歩約3分、地下鉄有楽町線銀座一丁目駅から徒歩約1分、地下鉄銀座線京橋駅から徒歩約4分、地下鉄日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩約6分
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