コシのある細麺と冷ややかで淡麗なるスープからなる冷麺。夏に涼を運ぶ逸品として人気だ。ここでは単品としてはもちろん、焼肉の〆としても抜群のものを紹介。冷やし中華とは違った涼しさをご堪能あれ!
画像ギャラリー『平壌冷麺 食道園』@蒲田
・平壌冷麺(860円)
牛ダシに醤油や酢で味を調えたスープは丁寧に脂抜きするため透き通っている。よく混ぜて食べるのが流儀
冷麺ひと筋の店主が飽くなき研究で完成させた渾身の一杯
計算された具の構成、味わい、店の佇まいまで、これほど潔い冷麺ひと筋の店を他に知らない。
濁りない澄んだスープはハッとするほどシンプルだが、10時間ほど煮出した牛スネ肉の穏やかなダシの旨みは唯一無二。
馬鈴薯のデンプンと小麦粉を使う麺は注文を受けて練る自家製で、コシが強く、滑り落ちるようなのど越しだ。
カクテキの辛み・酸味が涼を誘う。
「冷麺はスープ、麺、カクテキの三位一体が大事」とは岩手出身の店主、上田さん。
盛岡冷麺の元祖とされる地元店と縁があり、ルーツの平壌冷麺を学び、長年研究してこの一杯を極めた。一滴残らず完飲する客も多い。
・平壌ビビン冷麺(960円)
自家製麺をコチュジャンベースのタレで合えた甘辛味
・春雨(860円)
牛スネ肉入り
[電話]03-3734-8951
[営業時間]11時~23時、日11時~22時
[休日]火
[交通]JR京浜東北線ほか蒲田駅西口から徒歩4分
『韓灯』@月島
・冷麺(1680円)
しっとりした豚バラ肉の薄切りと、酢漬け大根の食感も楽しい。丸鶏ならではの滋味が溶け出したスープとよく合う。鶏ではなく風味豊かな牛骨スープの日もあり
新鮮な丸鶏のダシがじっくり溶け出した、贅沢なタッカンマリスープ
韓国料理専門店が珍しかった時代から、小倉で17年、東京に出て15年と続く実力店。
化学調味料は一切使わずに、昔ながらのやさしいお母さん(オモニ)の味を提供している。
食事の〆としても人気が高い冷麺は、スープに特徴がある。あっさりしつつもコクを感じる風味は、丸鶏を長時間煮込んだ水炊き(タッカンマリ)の裏ごしスープを使っているため。
そば粉入りの細麺に冷たい鶏ダシがなじみ、のど越しが心地いい。肉の脂や甘辛いキムチをたくさん食した後でも、不思議とすいすいと入ってしまう。
〆どころか、ここからまた食欲が復活しそうな味わいである。
・山のチヂミ(小)(1360円)
黒毛和牛のミンチ入りのチヂミ。サクっと軽い食べ心地で、チヂミの概念が変わるはず
・シマ腸、ミノ(各1500円)
新鮮なぷりぷりホルモンも必食!
[電話]03-3536-6635
[営業時間]17時半~23時半(23時LO)
[休日]月
[交通]地下鉄有楽町線ほか月島駅3番または9番出口より徒歩1分
『冷麺ダイニング つるしこ 渋谷店』@渋谷
・東京冷麺 トマトバジル冷麺(1180円)
クリーミーでスッキリしたコク。麺は馬鈴薯デンプンと岩手の地粉で作る。こだわりスープに使う野菜ダシは風味を損なわないよう蒸気鍋で優しく火入れ。ビーガン対応も多い
岩手のソウルフードが進化を遂げた!世界に羽ばたけ「東京冷麺」
真っ白いスープに赤と緑のイタリアンカラー。君は本当に冷麺か?未知の味との遭遇に心も高まる。
ひと口すすればあら不思議。野菜ダシの豆乳スープが滋味深く、麺はもっちり歯切れ良い。
トマトの酸味も加わってまさに新感覚だ。
実はこれ、盛岡冷麺の魅力を世界に発信すべく東京で進化させた「東京冷麺」。名水百選で名高い岩手・岩泉町「龍泉洞」の近くに工房を構え、清らかな水と厳選素材でスープと麺作りに挑んでいる。
味の種類も豊富で、全て無化調。
岩手のソウルフード×自由な発想の東京の食材×ヘルシー=トリプルパワーで世界デビューも夢じゃない!
・盛岡冷麺(980円)
牛骨やスジのダシと本鰹のWスープは奥深い旨み
・卵かけ玄米ごはん(300円)
牛ほぐし肉と卵黄がのる
[電話]090-7321-7527
[営業時間]11時半~16時(15時半LO)17時半~21時(20時半LO)
[休日]月
[交通]JR山手線ほか渋谷駅新南口から徒歩5分
『コサム冷麺専門店 日本本店』@新大久保
・ビビン冷麺(880円)
唐辛子と8種以上の果実や野菜で作ったタレと後追いスープが織りなす味も絶品
極細麺にしっかりなじむタレとスープは自家製尽くしの一杯
韓国料理の激戦地・新大久保で、雰囲気も値段もカジュアルながら自家製の味にこだわる人気店。
サツマイモのでんぷんで作る極細の麺は、注文ごとに製麺機で作られる。たった3秒で茹であがるがコシが強く、延びにくい。大きな器に入った量に驚くも、麺の弾力は最後まで心地よく続く。
ビビン麺を頼んだら、一緒に付いてくる自家製の冷たい牛骨スープを後で足すのも忘れずに。まずは甘辛いタレをよくかき混ぜて「汁なし」を堪能。それからスープを加えると、一度の注文で水冷麺も味わえるという趣向だ。
麺以外の料理も豊富で、気兼ねなく食事をしたいときにオススメ!
奥から、
・つくば美豚 炭火焼肉付き(1180円)
・水冷麺(880円)
屋号の「コサム」とは、「肉で包む」の意。炭火焼きの「つくば美豚」と麺を一緒に食べるとさらに美味!
・自家製肉餃子6個(500円)
餃子も店で手包み。ほんのり甘い韓国風の味付け
[電話]03-6233-7081
[営業時間]11時~24時(フード23時LO)
[休日]無休
[交通]JR山手線新大久保駅より徒歩7分
ひんやり麺だからこそ、熱い思いを語ります
この夏食べるべき冷麺はどれだ?雨にも風にもトホホ店にも負けず、『おとなの週末』ライター赤谷&肥田木&編集武内が食べて食べて食べてひと回り大きくなった体と心で振り返ります。新ブームの予想も?
赤谷「冷麺は韓国や北朝鮮では冬に食べるものなんですって。暑~~い室内ですするのが本場流。日本で言うコタツでアイスって感じかも」
武内「なるほど。でも日本では冷麺って焼肉の〆のイメージだから、それだけの食事と考えると判断が難しかった。淡麗スープは脂っこい味を食べた後はいいけど僕的に物足りなくて」
赤谷「私も苦戦した。序盤はトホホ店を結構引いちゃって。ゴムみたいに硬い麺とか(泣)」
肥田木「あらま。私は個人的に韓国冷麺系より盛岡冷麺系が好きだからそっちがヒット。『つるしこ』のイタリアン風にアレンジした東京冷麺は斬新!」
武内「やりようで新ブームになる気もする。」
赤谷「季節限定の店も多いから存分に夏を感じてほしいです!」
取材/肥田木奈々(食道園、つるしこ)、赤谷まりえ(韓灯、コサム冷麺)
※店のデータは、2020年8月号発売時点の情報です。
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