1924年創業の『トリイソース』(静岡県浜松市)で、年に1回「究極のソース」が発売されている。今年2021年でなんと10年目。その節目となる今回のテーマは、昨年同様「焼そばソース」だ。何が“究極”なのか。昨年とどう違うのか。実際に購入し、焼きそばを作って食べてみた。
画像ギャラリー昔ながらの木桶熟成で、素材の旨みを凝縮!
『トリイソース』は、生の野菜をカットして低温で煮込み、スパイスや自家醸造酢などと配合する無添加ソース。創業以来使われている木桶で1ヶ月以上熟成させ、素材の旨みが詰まっている。
私、ライター・市村も愛用者で、むしろこのソースを使いたいがために揚げ物を食べているのではないかと思うほど、我が家では欠かせない調味料のひとつとなっている。
同社は「Sauceとしての分をわきまえ、わが社独自の価値を付加して、Sauceなりに人々を幸せにする」を経営理念のひとつに置いている。これは、ソースは料理を引き立てる脇役である、という考え方だ。
そんな謙虚な姿勢でソースへのこだわりを追求している同社が、「年に1回だけはソースを主役に見立てた、美味しいソースづくりをしたい」と、毎年1テーマで究極のソースを発表している。
2021年のテーマは2020年に引き続き「焼そばソース」。その名も「the Sauce 2021」(150ml・2800円)。11月24日に250本限定でリリースされた。
バージョンアップした「焼そばソース」と相性抜群の麺
2020年版の「焼そばソース」は、麺や具材との混ざりやすさに加え、酸味が特長の液体タイプと、塩味や香り、野菜から出る水分コントロールに長けた粉末タイプの2種のソースから作られていた。
2021年版の「the Sauce 2021」は、独自の木桶熟成製法は継承しながら、地元産の次郎柿や牡蠣など新たな食材、香味油の使用に加え、メイラード反応を用いた製法を駆使した。
焼きそばの試食は実に100皿超。前回の液体ソースに足りなかった要素を補完し、納得のいく焼きそばソースを完成させた。
この「焼そばソース」の風味を最大限に活かすパートナーとして選ばれたのが、1926年創業の『大磯屋製麺所』(愛知県碧南市)の「焼そば」。それがセットになった数量限定品「the Sauce 2021 & 究極の焼そば麺」5袋セット(4500円)をオーダーした。
旨みの宝庫「the Sauce 2021」で究極の焼きそば作りに挑戦!
「the Sauce 2021」をそのまま舐めてみると、ダシ的な旨みがギュッと詰まっているのを感じる。
旨み成分は、天然真昆布と浜名湖産牡蠣から取った「グルタミン酸」、「イノシン酸」として枕崎の『宮下鰹節店』の1本釣りカツオの本枯節、さらに脂身の少ない真鯖節とイカの塩辛で補強。「グアニル酸」は、地元春野町産の干し椎茸と県内産のマッシュルームと、なんとも贅沢な材料で揃えている。
甘みはメイラード反応させた「次郎柿」がメインで、酸味は自家製醸造酢に加え、レモンと赤ワインでキリッとアクセントをつけ、甘・酸のバランスを重視。
また、麺へのコーティング力を増すために、水ではなく国産の菜種油を使用。この油に各種香辛料の香りを移して、麺と合わせたとき表面にスパイスが吸着するように作られている。
確かにここまでのこだわりっぷりは究極といえる。
さあ、いよいよオススメの作り方に則って調理してみよう。
と、その前に、ソース自体はかなり濃密なので、しっかり振って混ぜないと、瓶から出てこないので注意されたし。
あふれ出す旨みに驚愕! 満足度高し
作り方動画には、「ノーマルバージョン」と「香ばしバージョン」があった。
「ノーマルバージョン」は、誰でも簡単に美味しくできる、一般的な作り方。
「香ばしバージョン」は、香ばしい味付けに仕上げられるので、いつもとちょっと違う味にしたいときにオススメ。
それぞれを作って完成させた。では、いざ実食。
「旨い!」と感動しながら食べていたら、あっという間に平らげてしまった。
何がいいって、塩分は控えめなのにソースの味わいが濃い。それなのに、お肉と野菜の甘さが際立っていて、旨みがしっかり。ソースの味でごまかすことがなく、すべての食材の味をきちんと感じられるところがとても気に入った。
麺は小麦の風味が豊かで、どっしりとしつつもモチモチとした食感で食べ応えあり。ソースの味や油が麺に絡んでいるのに、しつこさがないのもうれしい。
「香ばしバージョン」は、ソースの風味というよりも、コクが強くなった印象。鼻に抜ける香ばしさが増し、濃厚な旨みがたまらない。
甲乙つけがたい美味しさだったが、ソースの味を堪能するなら、「ノーマルバージョン」のほうがわかりやすいと私は感じた。
食後もしばらく続く旨みの余韻にうっとりしてしまった。「究極のソース」は年に一度の贅沢として、毎年恒例になりそうだなぁ。
その他の調味料もオススメなので、ぜひお試しください。
取材・撮影/市村幸妙
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