周囲の評価に迎合しない、根菜芸人の意地
かつては、新宿の小さいライブ会場でお客さん1人に向かって(しかもそれは私の友達)8人ぐらいの芸人が2時間近くトークをするような痩せこけた土地で育ってきたとはいえ、紛れもなく野菜であるのにも関わらず、今となっては野菜とはジャンル分けされない食べ物になってしまっている。
ハンバーガーのサイドメニューとされることは別にいいけれど、みんなから「何馬鹿なこと言ってるんだよ、あれは野菜な訳ない」だなんて言われたくない。
マッシュポテトもフライドポテトも野菜でしょう。
え、違う?
私は、自分に野菜としての自覚があるし、野菜として認識してもらうべく頑張りたいと思っている。
ふざけんな!俺は野菜だ!いや、芸人だ!今に見てろ!なんて熱を上げていたら、ある日先輩から「メニューに載せてもらってるだけでありがたいと思わなあかんよ」と言われた。
そんな先輩は、誰が見ても間違いなく野菜だった。
青々しい葉野菜。
緑黄色野菜に、この根菜の気持ちが分かる訳ねぇだろ!と思ったけれど、こう見えて今年30歳になるので、思ったことを全て口にするのではなくグッと堪えた。
昔だったら、包み隠さずにガンガン喋っていたけれど、少しは大人になれたのかもしれない。
ただ、本当の大人であれば、周囲の評価に寛容になって、野菜と思われなくても別にいい、と思える日が来るのかもしれない。