イカよ、家族になってくれ
私は、イカが好きだ。
淡白であり、かつ甘い濃厚な味は他に類を見ない。
この世にそんな食べ物がイカ以外あるだろうか。
いや、存在しない。
対抗馬として蛸が挙げられるが、あれは全くの別物。蛸の方が柔らかい肉質、加熱をすればプリプリになるけれど、あのイカのような粘度のある甘みは感じられない。
唯一無二なり。
生で良し、乾燥させて良し、揚げて良し、煮て良しの究極の食材。
それがイカ。
生は尚良い。
私は刺身にして生姜醤油につけて食べるのが好きだ。家にいる時に、どうしてもイカが食べたくなってしまった時のために、1杯以上は常に冷凍庫にストックしていて、いつでも解凍して捌ける状態にしている。
どんな時でも側にいて欲しいのだ。きっと、これが愛なのだろう。家族にしたいくらいだよ。
月に一度は口にしないと禁断症状が起きるまでになってしまった。
寿司を相方と食べに行ったら、注文した寿司が皿に乗って出てきた時に、私の頼んだイカの割合が高すぎて、「しっろ」と皿の上に乗る大量のイカ寿司に対して、相方が驚愕していたことがある。
けれど、他人に驚かれたり引かれたとしても、旨いものなのだから仕方がない。
このイカの白さは純白の白。
少しでも白いものを体内に摂取して心の汚れを白で塗り潰そうと本能的に感じていて、脳が美味しく感じるようになってしまっているのかもしれない。
ここまでイカを愛していると、より新鮮なものを食べたいと思ってしまうのが、欲深い人間という生き物。
いつかは函館に行って、活イカを食すのが今の目標である。おそらく冷たい海を生き抜いているイカは身が締まっていて日本で一番美味しいに違いない。