みなさま、お野菜を食べてますか? 野菜大好きライターの市村です。農家さんと料理人さん、プロフェッショナルたちにお伺いして、身近な野菜の魅力をお伝えします。今回は栄養たっぷりなニンジンのお話後編です!
画像ギャラリーリピーター続出のニンジン料理とは
和洋中、どんな料理でも大活躍するニンジンは、常備しておきたい野菜のひとつ。料理に加えると色合いが鮮やかになるし、カロテンなどの栄養もたっぷり。このカロテンは油分と一緒に摂ると吸収率がアップする。
なお、ニンジンにはアスコルビナーゼという、ビタミンCを破壊する酵素が入っているため、熱を加えたり、酢やレモン汁を使うことでその働きを抑えることができる。
今回も、埼玉県行田市『PAZZO-DI-PIZZA GYODA(パッツォ・ディ・ピッツァ・ギョーダ)』のオーナーシェフ・岡田英明さんと、埼玉県羽生市で『Bonz farm(ボンズファーム)』を経営する農家・大貫伸弘さんと一緒に身近な根菜である、ニンジンについてお話ししました。
――ボンズさんのニンジンは、どんな料理で出されていますか?
岡田:冬ニンジンのシーズンのみ提供(2022年分は4月時点で終了)している、窯焼きの「まるごと! にんじん石窯焼き」(600円)です。勇気を出して頼んでくださった方が続々とリピーターになってくださってます。シンプルに焼いただけですが圧倒的に美味しすぎて、これを超えるものがなかなかできないのが悩みです(苦笑)。
大貫:皮ごと焼いてくれているのがいいですよね。
岡田:焼くなら皮ごとが一番です。身と皮の間が美味しいと思うんです。
大貫:畑に来てくれた方と生のニンジンを皮ありと皮なしで食べ比べることがあります。
最初は皮を剥いたニンジンをそのまま食べてもらうんです。もちろんそれでも甘くてさっぱりしていて美味しいんです。
そのあとに泥を拭いただけの皮付きのニンジンを食べてもらうと、鼻腔を弾けるように抜ける香りが桁違いなんです。基本的に皮のところに旨みと香りが詰まっています。
――実際にカロテンは表皮の下にいちばん含まれているそうです。なので、皮ごと食べるのは理に適っています。
岡田:ラペとかは皮が入っていると黒くなるので剥きますが、ソース系を作るときなどは皮のまま、まるごと入れちゃいます。
――ということで、人気メニューの「焼き人参」をいただきます!
岡田:上と下で味が違います。上のほうが甘いです。味も季節を追うごとに変わっていきます。
――ではまず下のほうから。甘〜い! 味が濃厚で美味しい! これは最高ですね。
大貫:焼き方のおかげです!
岡田:本当は30分くらいかけてじっくりと焼きたいのですが、ひとりで調理しているので時間がかかりすぎてしまいます。なので、4分ほどレンジアップして、アルミホイルに包んで10分程度窯で焼き上げています。
大貫:下は甘くて味が濃いのですが、上はそれに加えて、ニンジンの華やかな香りがより濃縮されていますね。
岡田:これを食べて、ニンジン嫌いだった子どもも大人もみんなニンジンが食べられるようになっています。
――ニンジン好きになるのが納得できる美味しさです! 残念ながらシーズンオフになりましたので、またの機会をお楽しみに。
おうちで簡単、キャロットラペの作り方
――ということで、岡田さん、続いてはご家庭で簡単に作れるお料理を教えていただけますか。
岡田:お店の「キャロットラペ」(430円)は、ソースの甘みをレーズンから取っていて甘みを出すのにひと晩かけているため、できあがりに2~3日かかります。ご家庭で簡単に作るときは、ハチミツなどを使ってもらえば問題ないと思います。
【材料】
ニンジン:1本(皮をむいて200g程度)
塩:小さじ2弱
100%オレンジジュース:大さじ3
米酢:小さじ1(なければ、手持ちの酢でOK)
ハチミツ:大さじ1
オリーブオイル:大さじ2g
クミンシード:小さじ1~2g
【作り方】
1.ニンジンの皮を剥いてスライサーなどで千切りにし、軽く塩もみして10分程度置き、ニンジンの水分を出す。
2.オリーブオイルとクミンシード以外の調味料をすべて混ぜ、水分を絞った1と合わせてしばらく置いておく。
3.食べる直前にオリーブオイルとクミンシードを加えて和えれば出来上がり。
――お店ではどう作っているのですか?
岡田:ニンジンに軽く塩をし、水分を出しておきます。
生オレンジ果汁と100%のオレンジジュース、ブラッドオレンジジュース、フランボワーズビネガーを合わせたものに、上記の通りレーズンをあわせてひと晩置いてソースを作ります。翌日、ニンジンの水分を絞って、ソースと合わせます。
大貫:ニンジンの水分はひと晩目に絞らないんですね?
岡田:そうです。お店では大量に作るので、ニンジンから出た水分くらい、ソースをニンジンに吸わせるイメージです。汁っぽくないのが特徴で、オイルとクミンシードは最後に和えて、オレンジの皮をすりおろして入れています。
大貫:自宅でキャロットラペを作る時、水分量が多いのか、水っぽくなります。
岡田:それは作ってすぐに食べるからかも。軽く塩もみをして10分くらい経ってから絞るとそこまで水分は出ていないので、ソースをニンジンに戻しやすいと思います。もしくはソースと和えてひと晩置くと、ニンジンがソースを吸ってくれるのでいいですよ。
ちなみにこのレシピは(お店のメニューも)オレンジなどが入っていることもあり、春ニンジンのほうが香りが爽やかで美味しいとのこと。ぜひ『パッツォ ディ ピッツァ ギョーダ』で春と冬、両方のニンジンを体験してみてほしい。
※『パッツォ ディ ピッツァ ギョーダ』のお料理のニンジンは、必ず『ボンズファーム』のものが使われているとは限りません。なお、2022年の『ボンズファーム』の春ニンジンの入荷は5月頃を予定しています。
■『PAZZO-DI-PIZZA GYODA(パッツォ ディ ピッツァ ギョ−ダ)』
国産ピザ窯を備え、シンプルな中にもヒネリのきいた料理が魅力のピッツァ&窯焼き料理の店。
大貫さんの『Bonz farm』だけでなく、『秩父やまなみチーズ工房』や「米豚」を養豚する『ハッピーズ合同会社』など生産者と積極的につながり、こだわりの逸品を提供している。
地元・行田市の農家と共に、オリジナルの小麦の生産に取り組む。2022年の収穫を目指しており、完成した暁にはピッツァ生地などに使用される予定だ。
https://www.instagram.com/p.d.p_gyoda/?hl=ja
[住所]埼玉県行田市佐間2-14-16
[電話番号]048-507-5917
[営業時間]11時~15時LO、18時~21時LO
[休日]水
[交通]JR高崎線ほか吹上駅よりバスで約12分、「佐間団地」下車徒歩3分
■『Bonz farm(ボンズファーム)』
米作りが盛んな羽生市で数少ない野菜農家。
飲食にまつわる仕事に従事したのち、味がしっかりかつ日持ちすると料理人から絶賛を受ける茨城県の「久松農園」で修業し、2015年に独立。露地栽培・無農薬で「旬であること」「鮮度が良いこと」「美味しい品種を育てること」をモットーに、少量多品目で50品目100種類以上を生産。受注収穫で都内や埼玉県内などの様々なジャンルのレストランに卸している。
いずれは野菜がメインの飲食店を開くのが大貫さんの夢。
※農場での直販は行っていません
https://ja-jp.facebook.com/pages/category/Agricultural-Cooperative/Bonz-farm-909476659074224/
取材・撮影/市村幸妙
参考文献:『からだにおいしい 野菜の便利帳』(板木利隆 監修/高橋書店)、『そだててあそぼう ネギの絵本』(こじま あきお・あんどう としお へん/みねぎし とおる え/農文協)、ぷれ宮夢みやぎ(https://premiya.pref.miyagi.jp/lineup/01/index.html)
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