まず食べてほしい! 自慢の3品
お恥ずかしながら銀王未食の筆者に、田畑さんがおすすめしてくれたのは3品。
まずは「銀王のお刺身」(770円)。すべて同じ部位ではなく、(写真左から)背中、尻尾に近い腹、頭に近い腹の3つの部位が味わえる。細やかなサービスに感動したものの、正直なところ生鮭の濃厚な脂のりが苦手で内心ドキドキ。
おすすめどおり岩塩とワサビを添えてと……あれ、くどくない。口の中でサラッと脂が溶け、ワサビの清涼感とも調和している。しっとりとした身の間に感じる岩塩のジャリジャリ感も楽しい。
「食感を演出したくて、店内で挽いた岩塩を使っています」。
次に出てきたのは、断面が美しい「銀王のレアカツ」(858円)。生で食べられる銀王に薄く衣をつけ、30秒ほど揚げた贅沢なひと皿だ。こちらは藻塩とワサビでいただく。
衣の下にある火の通ったほんの数ミリの銀王がホクホクほぐれていくと、厚く切り出された生の銀王に到達。油との相性もよく、タルタルソースにたっぷりのワサビを添えても美味だ。
最後は宮城の郷土料理をインスパイアさせた、オリジナルの「生はらこ飯」(1650円)。はらこ飯は県南地域の郷土料理なので、県北出身の筆者には目新しい。その上本場は炊き込む調理法が主流なため、ツヤツヤの刺身で仕上げた“生”バージョンはお初だ。
「せっかく鮮度のいい銀王があるので、本場の作り方を踏襲しつつうちだけの味を考えました」。
銀王を調理する過程で出た切れ端や筋の多い部位を醤油などで煮込み、その煮汁で炊いたご飯の上に銀王の刺身とイクラをあしらう。もはや土台のご飯は見えないほど!
茶色く色づいたご飯と銀王、イクラを一緒に頬張ると、まず芳しい醤油がフワッと香る。そこには銀王の旨みもしっかりと感じられ、弾けるイクラもいいアクセントだ。
「ご飯が薄味なので、銀王の刺身にはご飯を炊く時の煮汁で軽く下味をつけています」。
「簡単なヅケってことか。ダシをかけてもおいしいだろうなぁ」と思わず口にすると、すかさずこう返された。
「裏メニューでダシも用意しています。サラサラッとお茶漬けのように食べるのもおすすめですよ」。
おみそれしました。さすがはプロ。
アツアツのダシを回しかけると表面が白くなり、キュッと締まる銀王の刺身……。美味しいに決まってる! あぁ、再訪して確かめなければ。
女性客やリピーターが多く、全国から鮭好きが集うというこちらの店は姉妹店も人気だ。
同じビルの1階にある『鮭cafe&bar 銀結び』では、カルパッチョやニョッキといった洋風寄りのメニューで昼から銀王が味わえる。また、仙台朝市商店街にて2021年11月にオープンした『銀結び 仙台朝市店」では、銀王を使ったお弁当や加工品を販売。
時間帯や用途に応じて使い分け、宮城のブランド銀鮭を味わいたい。
■『宮城ゴチ酒場 銀結び』
[住所]宮城県仙台市青葉区国分町2-13-28 ニュー若竹ビル2階
[電話番号]022-302-3354
[営業時間]18時~23時(22時LO)
[定休日]月(祝日の場合、翌休)
[交通]仙台市営地下鉄南北線勾当台公園駅南出口3から徒歩6分、JR東北本線仙台駅ほか北出口6から徒歩25分
取材・撮影/阿部真奈美
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。