クッキングパパの読んで美味しいレシピの話

缶詰のホワイトが生食で再脚光? 身体も喜ぶ「クッパパ」荒岩流アスパラグラタンと旬食材アスパラガスの意外な歴史

週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。 著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返…

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週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。

著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本欄では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。

長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第14回目は、「アスパラガス」です。

栄養ドリンクCMでもおなじみ! 疲労回復&スタミナ増強に効果絶大なアスパラガス

新年度が始まって2か月。緊張しながら駆け抜ける日々のなかで、気づかぬうちに蓄積された疲れがとれにくい時期でもあります。そこでおススメする旬の野菜が、露地栽培で収穫期を迎えた「アスパラガス」です。

この時期のアスパラガスには、疲労回復やスタミナ増強に効果のあるアミノ酸の一種、アスパラギン酸が豊富に含まれています。元々アスパラガスから発見されたので、このように呼ばれているとか。

栄養ドリンクの成分でもあり、その昔、テレビCMで筋骨隆々なおかっぱ頭の外国人が「1本いっとく?」と呼びかける姿がキャッチーな見た目やフレーズとともに、「疲労回復=アスパラ」として広く知られるようになりました。ほかにも、代謝を上げてむくみを解消し、痩せやすい体に改善してくれるダイエット効果も期待できるとか。

クッキングパパ流! 栄養丸ごと取り込める絶品アスパラグラタン

クッキングパパ「COOK.129 政(まさ)さんのアスパラガス」で披露された荒岩流アスパラグラタン。お腹も身体も喜ぶデカ盛り感が堪らない!

クッキングパパ「COOK.129 政(まさ)さんのアスパラガス」では、アスパラガスをふだん食卓に彩りを与えてくれるつけ合わせとして、トマトとともにグラタンにして主役としていただくことで、栄養素を丸ごと体に取りこめる絶品レシピ。

まずは、アスパラガスの下処理から。根元の固い部分は切り落とします。筋っぽいところがあればさらにピーラーで皮を向きましょう。

はかまと呼ばれる三角部分は、口当たりが気になるようでしたら取り除き、鮮やかな緑色になるまで2~3分茹でます。トマトも湯むきします。先にオーブンを220℃~230℃に予熱しておくのもお忘れなく。

耐熱皿に生地がくっつかないよう薄くバターを塗ったら、一番下にアスパラガスを敷きます。そのうえに、マヨネーズにしょう油少々を加えて味にアクセントをつけたソースをたっぷり塗って、トマトをのせます。

実は、アスパラガスに含まれ、生活習慣病の予防やアンチエイジング成分でポリフェノールの一種、ルチンやβカロチン(ビタミンA)は、油脂と一緒に摂取すると吸収率がアップします。

これは、トマトに豊富に含まれ、強い抗酸化作用のあるリコピンでも同じこと。ともすれば、ダイエットや美容で敵視される油脂ですが、適切な使い方をすれば味方になってくれる頼もしい存在なのです。

グラタンの仕上げとしていつもと同じように、一番上にチーズをたっぷりのせ、パン粉をパラパラ振りかけて焼き上げます。

ただ、一般的なグラタンと違って、ホワイトソースを作ってかけたりする手間はありません。あともうひと品欲しいとき、忙しい朝でも簡単に作れて栄養満点!レモンをギュッと絞れば、アスパラガスのほのかな甘さと苦さの絶妙なバランスが引き立ち、箸が止まらなくなることでしょう。

欧米に輸出されていた“ホワイト” 需要増で再び“北海道の大地の宝”へ

ホワイト=缶詰、生食=グリーンというイメージが強かったアスパラガスだが、近年では生食用でもホワイトアスパラに脚光の機運(Photo/karepa-Stock.Adobe.com)

ところで、アスパラガスには主にグリーンとホワイトがありますが、生食より瓶詰で見かけることの多いホワイトは、遮光して育てられます。したがって、太陽光に当てて合成されるルチンやβカロチンはほとんど含まれず、替わりに免疫力をアップさせるサポニンの含有量が多く、柔らかく強い甘みがあります。

欧米ではホワイトが主流ですが、日本では大正時代、北海道開拓使によって冷害に強い作物として導入されたのが、食用としてのアスパラガスの始まりです。試行錯誤の栽培の末、主に瓶詰加工されたホワイトアスパラガスは欧米に輸出され、飛躍的に生産が増加。当時、グリーンはほとんど出回っていなかったそうです。意外にも!? グリーンよりホワイトが先に食されていたのです。

しかし、昭和50年以降、中国でホワイトアスパラガスが大量生産されるや否や大きな打撃を受け、輸出は激減。ホワイトに比べ、栽培に手間のかからないグリーンに移りました。それでも近年、生食用のホワイトアスパラガスの需要を受け、再び“北海道の大地の宝”を復活させる機運が高まっています。

最後に、アスパラガスの原産地は南ヨーロッパからウクライナにかけてと言われています。どんな天候であろうと、誇らしく大地に踏ん張るアスパラガスのように、いまを勇ましく生きるウクライナの人々が、再び笑って食卓を囲む日常が一刻も早く訪れることを切に願ってやみません。

※現在は当時の状況と異なる場合があります。

文/中島幸恵、漫画/うえやまとち、メイン画像/HLPhoto-Stock.Adobe.com

◆『クッキングパパ』とは?

福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中に数ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。

週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年5月現在、単行本は161巻。

※「おとなの週末Web」の記事では本稿紹介の漫画、クッキングパパ 「COOK.129 政(まさ)さんのアスパラガス」を一話丸ごと読むことができます。

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