プロの絵描きらが指導
帰国後、改めて調べてみると、すでに日本でも複数の企業がこの新しい業態を展開していることがわかった。そのうちの一つで、東京・原宿、代官山、横浜・元町に店舗を構えるArtBar Tokyoのビジネスリレーションマネージャー、佐藤桃実さんに話を聞いた。
──いつ、どのような経緯でArtBarが立ち上がったのですか?
「6年前に東京でスタートしました。現在の共同オーナーの一人がアメリカでペイント・アンド・シップを体験したことがきっかけです。アメリカには100店舗以上があるようです」
──日本ではどのような人が来店されるのですか?
「老若男女さまざまな方に来ていただいていますが、テーマによって、例えば『モネの睡蓮』『ゴッホのひまわり』などポピュラーなものをテーマにすると、年配の方も見え、流行りの抽象画をテーマにすると、若い女性が多くなるようです。一人で参加される方もいらっしゃいますが、グループでのご利用が圧倒的に多いです。今までと違った飲み会の形を求めている方よりは、絵を描くことを気軽に楽しみたいという方が多いようです」
──インストラクターはどのような方が?
「プロの絵描き、美術学校の卒業生がほとんどです。独自の研修を受けてもらって、クリアした人がインストラクターを務めています」
──お客さんの反応は?
「楽しい、リラックスできると好評をいただいています。描いた絵は各自で持ち帰っていただいているのですが、それを自宅で飾ったところを写真に撮ってSNSに投稿する方が多いですね」
絵を極めたいわけではなく、絵を描くという体験を気軽にやってみたいというわけか。そこにワインがあれば、なおさらハードルは下がると。ちなみに、所要時間は1セッションにつき2時間、料金は題材によって異なり、5500円〜9350円(いずれも税込)、画材はほとんどの場合がアクリル絵の具だが、他の画材を使うこともあるとのこと。画材等はすべて会場側が用意するので、客は手ぶらで参加することができる。
グループでの貸切やチーム・ビルディング(組織作り)のための利用も多いと佐藤さん。「リモートが解除になって久しぶりに対面で仕事をすることになったから、それを機にとか、新入社員との親睦のためにというオーダーは多いです」
チーム・ビルディングの一環として絵を描きながらワインを飲むという発想は面白い。ただの飲み会を開くのとは違う効果がありそうだ。