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『志そ鳥』@西荻窪

冴え渡った王道を行く焼きのセンスと技 旨さの本命ここにあり

焼き上がったばかりの串を見た瞬間、直感的に旨さを確信した。皮目は余分な脂を落として張りがあり、その下にひそむ身はパンパンに膨らんでいる。

かぷりとやれば、サクッと音がなるほど心地良い食感から、熱々の肉汁が弾けるように飛び出してきた。なんとも惚れ惚れする火入れだ。

6串コース2000円

6串コース2000円
この日は、皮はパリッ身はしっとりのムネ肉に、肉汁あふれるモモのねぎま、半熟でタレを染み込ませたウズラの卵、砂肝、つくね。野菜串はジャンボマッシュルーム「六甲シャンピニオン」だ。

さらに店主の志津さんは香りにも細やかに気を配る。表面が真っ白に完全燃焼した紀州備長炭の上で炙ることで、立ち上る煙をできるだけ抑え、串にまとわせる燻香はあくまで穏やかに。鶏が持つ風味をストレートに表現しているのだ。

奥久慈軍鶏や水郷赤鶏といった力のある素材もさることながら、焼き手の技と感性が抜きん出る。王道をまっすぐに突き進む骨太な旨さの虜になる。

『志そ鳥』

[住所]東京都杉並区西荻北3-14-4
[電話]03-5311-5077
[営業時間]18時~23時
[休日]日
[交通]JR中央線ほか西荻窪駅北口から徒歩3分

『ヨシモリ』@東銀座

味わいの緩急が楽しい 洗練されたコース仕立て

東銀座の路地。真っ白い暖簾が真摯な姿勢を表すかのように清々しくはためいている。端っこに小さく「ヨシモリ」。と、ここでピンときた人はさすが焼鳥好き。そう、惜しまれつつ閉店した名店「たて森」の味を受け継ぐ店である。

コース仕立てで供するスタイルは今も変わらず。タレや調味料など要の部分は「たて森」の精神を守りつつ、現大将の技を随所に散りばめている。

大事にするのはひと串をひとつの料理とイメージして仕上げること。肉の水分を閉じ込めるよう表面を鶏油でコーティングしたり、内臓系は香辛料入りの酒を塗ってクセを和らげたり。

お任せセット〈 焼き物七種 〉5400円(内容は随時変わる)

お任せセット〈 焼き物七種 〉5400円(内容は随時変わる)より、手前からハツ、うずら玉子、もも、レバー
うずら玉子は半熟とろとろで、仕込みにも焼きにも繊細な配慮が必要。レバーは濃厚な旨み。タレは「たて森」の味を継ぎ足しで守っている

串の合間に旬の小鉢を織り交ぜる洗練された構成の緩急にもため息。わかってくれてるよなあ。最後まで唸るばかりだ。

『ヨシモリ』

[住所]東京都中央区銀座2-14-8伊藤ビル1階
[電話]03-6278-7759
[営業時間]18時~22時(21時LO)※政府の要請で変更あり 
[休日]日・月
[交通]地下鉄日比谷線ほか東銀座駅3番出口から徒歩5分

『新田裏 とり辰』@新宿

黄金色の美しい焼き色と絶妙な火入れ納得の旨さに唸る

棚からボタ餅じゃないけれど素通りしそうなビルの2階でイイ店みっけ。和食出身の店主がここ新田裏に店を構えて12年、知る人ぞ知る名店だ。

焼き鳥各350円

焼き鳥各350円、左から、皮、せせり、もも、ひざ、手羽先

何が違うって焼きの技。団扇で勢いよく仰ぎながら強火を操る店も多いが、こちらはあえてそれを封印。ガンガンに火を熾さず、静か~な火力でじっくりと火入れする。

なぜかと聞けば「焦がさないよう均一に焼くため」なんだそう。仕上がりを見て納得、味わえば驚愕。外側はパリリと香ばしいのに、いわゆる低温調理的な効果があるのか中はふっくら、旨みの密度がハンパない。

さすが板前歴30年、料亭仕込みのつまみも抜群だ。通って常連になりたいな。

『新田裏 とり辰』

[住所]東京都新宿区新宿6-27-17カノープス新宿2階
[電話]03-3202-8999
[営業時間]17時半~22時(21時半LO)※政府の要請で変更あり
[休日]日・祝
[交通]地下鉄副都心線ほか新宿三丁目駅E1出口から徒歩3分

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おとなの週末Web編集部
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