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どの中落ちが好き? 生マグロ仲卸の質問にタジタジ

豊洲市場に到着
豊洲市場に到着

朝、店の仕事がひと段落した時間帯に『石司』に顔を出した俺は、貴さんを見つけて「今度マグロの中落ちの撮影があるんです。なかなか厳しい撮影で良い中落ちが必要なんです。申し訳ありませんが、撮影当日の朝に中落ちを分けてもらえませんか?」と言った。

「ヘ〜え、撮影かい」。「よし、身質の良い中落ちをとっとくから安心しなよ

見事な手さばきの浅沼さん
見事な手さばきを見せる若社長の貴さん

豊洲の男らしいきっぷの良さで貴さんは答えてくれた。「ダァ〜!!! よかった〜」。これでひと安心とホッとしている俺に彼はさらりと言った。

「ところでさ、ちょっと聞くけど、鵜澤さんはどのへんの中落ちが好きよ?

「どのへんって? どのへんですか????」。あっけにとられた俺は「……………意味がわかりません」と首を振った。

貴さんはにやにや笑いながら「勉強が足りないな〜! もう少し、真剣にマグロを食べないと」。

「すみません。飲み込みが悪くて」 。普通の人よりマグロ食べてると思うけどなぁ〜、しょんぼり。「そしたら、もうすぐあっちで中落ち取り始めるから、浅沼さんに説明してもらって」。

浅沼さ〜ん!! 飲み込みの悪い俺に真実を教えてくださ〜い。

もともと和食の職人だった浅沼さんはカナダ、バンクーバーの和食店で働いていた人で、ひょんなことから市場で働くことになったのだが、その話はブラックコーヒーよりも濃いのでまた今度。

とにかく石司の社員で中落ちを取らせたら彼の右に出る者はいない。彼は本当に旨そうな手つきで巧みに血合いを避けて、手早く冷静に「中落ち」を集める作業をするのだ。準備を始めていた浅沼さんが俺の方を見てにやにやと笑って出迎えてくれた。

このように中落ちを削ぎ落としていく
このように中落ちを削ぎ落としていく

「今聞いてたよ! 意外と単純なことだからね!」。「マジか〜」。俺はぶっきらぼうに言った。

「そうしたらうーちゃん、はいはい、頭の中でイメージトレーニングね。マグロの部位を考えてみよ〜う。マグロは左頭で考えてね〜」「うーちゃんの頭の中には何が見えますか?」。浅沼さんは子どもに諭すように言った。

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マグロなのにキンメの香りと味がする!?...
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鵜澤 昭彦
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