仁和寺の裏山で八十八ヶ所霊場を巡る
プチトレイルが楽しめるスポットとして世界遺産の『仁和寺』の裏山・成就山に広がる『御室八十八ヶ所霊場(おむろはちじゅうはちかしょれいじょう)』もおすすめです。四国のお遍路の写し霊場で、標高約230m、88の札所が約3kmの道中に収められ、1周2時間ほどの巡礼路に仕立てられています。
1827(文政10)年、仁和寺第29世門跡・済仁法親王(さいにんほっしんのう)の発願によって、四国八十八ヶ所霊場の砂を持ち帰り、山道沿いに88のお堂を建立したのがはじまり。
仁和寺の西門を出て正面に進むと一番札所「霊山寺」が。ここは有人の札所で納経所(御朱印授与所)です。ここで簡易マップをいただいた際には、足元がスニーカー以上か声をかけられました。短時間で周れる気軽もさもあってか、軽装で入り怪我をする人がちらほらいるらしく、サンダルやスカートでの入山は危険なためおすすめしていませんとのこと。
お堂はそれぞれ四国の札所と同じ名前と共にご本尊も祀られています。お堂の間隔は一定ではなく、杉の木立の中を歩いていくと御堂が現れて。30番を過ぎると時おり視界が開け、気持ちの良い見晴らしも楽しめます。
特徴的な六角のお堂をもつ41番札所「龍光寺」を進み、山頂にあたる48番札所「西林寺」を過ぎたあたりからは京都市街を見渡す絶景ポイントも。下りは途中で岩が露出した鎖場などもあってスリル満点ですが、大丈夫。回避ルートも設けられています。
結願の88番札所「大窪寺」は大きなお堂。池や草花が美しく、お堂の裏手には六地蔵も立っているので、こちらも忘れずにお参りを。
『仁和寺』の拝観課・鳥越乗聖さんによると「近年は台風など自然災害による被害や、経年劣化、山道への不法投棄などが問題です」とのこと。世界文化遺産として広大な敷地に数多くの文化財を持つ古刹だけに、その維持にも苦労があるようです。
現在は、開山200年にあたる2027年に向けて治山・治水も含めた整備事業に着手。「近隣住民の方々にも協力を得て整備を続けています」とのこと。毎月25日にはボランティアを募集し、お堂の清掃をひとつひとつ丁寧に行っているそうです。また、「OMURO88」と銘打ち、護摩祈祷や写経などの伝統的な勧進事業に加え、環境整備も兼ねた参拝(プチトレイル)や、スタンプラリー「OMURO88ウォーク」(毎月第一日曜開催)、さらに88の御堂を擬人化し、声優とコラボしたキャラクターコンテンツ「御室ムスメ」という新事業も企画。国内外の若者にも積極的にアピールしています。
“季節の色を感じる”、そんな京都の自然をありがたく体感する京都のお詣ハイキング。心地のよい疲労感と心地のよい達成感。それに合わせてご利益までいただいて。ぜひ秋の京都をアクティブにお楽しみください!
総本宮 京都 愛宕神社
住所/京都府京都市右京区嵯峨愛宕町1
電話/075-861-0658
真言宗御室派総本山仁和寺
住所/京都府京都市右京区御室大内33
電話/075-461-1155
ホームページ/https://ninnaji.jp
備考/御室八十八ヶ所霊場は通年自由参拝が可能、無料。
「仁和寺 成就山八十八ヶ所ウォーク」参加費 高校生以上500円、小中学生300円、未就学児無料
編集/エディトリアルストア
取材・執筆/成田孝男、渡辺美帆
写真/児玉晴希
※情報は令和4年10月3日現在のものです。