週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。 著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返…
画像ギャラリー週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。
著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本稿では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。
長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第34回は「まつたけ丼」です。
人工栽培困難!? まつたけが高級品のワケとは?
秋の味覚の王様、まつたけは、主にアカマツの林に自生しています。しいたけやまいたけのように人工栽培が難しいため、収穫量が限られ、非常に高価なきのことして珍重されています。
また、「香りまつたけ、味しめじ」と言われるように、独特の芳香と弾力に富んだ歯ごたえが特徴で、人々を魅了してきました。
時には奮発して、クッキングパパ第10巻「COOK.99 まつたけや ああ まつたけや まつたけ丼」で、贅沢な味わいを楽しみましょう。
荒岩流「まつたけ丼」は甘辛く煮たまつたけの卵とじで、ごはんがすすむ!
まつたけは、かさを上にして、優しく扱いましょう。鉛筆を削るように少しずつ薄く石突きを取り除きます。薄い食塩水でさっと洗って、汚れを取り除きます。表面の薄い膜は、香りを出す部分なので、取り除かないでおきます。
縦2~3mm幅で薄くスライスしたら、網にのせて炙ります。香りが飛ばぬよう“遠火の弱火”で炙る程度がベストです。
一緒に入れるつきこんにゃくは、水にさらしてアク抜きをしておきます。彩りを添えるサヤインゲンは、両端を切り落として筋をとっておきます。
今回は、親子丼を作るのに適した小鍋「親子鍋」を使って、一人分ずつ仕上げていきます。親子鍋がなければ、直径20センチ弱ほどのフライパンでもかまいません。
サラダ油をひいて、最初に中火でネギを炒めます。香りが出てきたら、つきこんにゃくとサヤインゲンを入れて、軽く塩を振って火を通します。
さらに水50ccを加えたら、上にスライスしたまつたけを数枚並べ、1~2分煮ます。その間、丼にごはんをよそっておきましょう。
味付けに砂糖、みりん、お酒を軽く混ぜ合わせて、鍋の具材を囲むようにぐるっと回し入れます。最後に、溶き卵を細く糸を引くように垂らします。
トロ~り半熟状になったら火からおろし、汁ごとご飯の上に乗せて、アツアツをいただきます。気品溢れる風味とコリコリした歯ごたえが、たまりません!
国産はわずか数%! 円安、コロナで中国産まつたけも高騰
林野庁の統計によると、まつたけの年間生産量(2021年)は、39トン。一方、高級な国産まつたけの代替として輸入された外国産が、国内流通の95%を占めています。その大半が、中国産です。
ただ、2022年は中国産が、昨年の倍近くに高騰。東京都中央卸売市場統計では、昨年8月の平均の卸値価格が1キロ当たり約9000円だったのに対し、2022年の同月は約1万7000円と跳ね上がりました。
中国では近年、まつたけの需要が高まっているところに、今期は収穫量が減少。さらに、急激な円安で輸入コストが上昇しているうえ、新型コロナウイルスの影響で日本への船便が少ないといった非常事態が重なり、日本国内で価格を押し上げています。
食欲の秋に異変続きとは残念ですが、いつも以上に大切にいただきたいものですね。
文/中島幸恵、漫画/うえやまとち
◆『クッキングパパ』とは?
福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。 週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年9月現在、単行本は162巻。