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“身内”になることを許されて

西岡たかしと初めて逢ったのは1975年、ビクター音楽産業(当時)から『スープ』というソロ・アルバムを出した時だ。周囲からインタビューの難しい人と聞いていたが、自分からあまり話す人でなく、こちらから問いかけた時だけ何とか答えてくれた。

1990年代終わりから2000年代の数年間、第一興商がスポンサーをしていた「ルーツ・ミュージック」というサイトのために西岡たかしと仕事をすることになった。西岡たかしが選んだゲストと対談し、ぼくは司会進行役を務めた。対談が終わると毎回、西岡たかしやスタッフと会食をし、彼が酔いつぶれてもうホテルに帰るというまで時を過ごした。

その席での西岡たかしは博識の大阪の市井を生きる“おいちゃん”だった。何回か席を重ねるとぼくは西岡たかしの身内になることを許され、こちらの質問に何でも答えてくれる関係を築けた。彼は普通に話しているのに毎回、心に残る言葉があった。それらが西岡たかしを心の師匠とぼくに決めさせ、数々の教えは今でも心に残って人生の灯台になってくれている。

西岡たかしや五つの赤い風船の作品の数々

岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。

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