『麻布笄(こうがい)軒 広尾本店』 @広尾 手間暇かけたデミソースは洋食屋ならでは
北関東中心に厳選 銘柄豚の上質な旨み
そりゃ専門店の味もいいけれど、何というか子供みたいにワクワクしちゃうのが洋食屋さんのカツレツだ。ナイフとフォークで食べる気立てのいいルックスに、手間を惜しまないデミグラスソースなんて掛かってたりしたらその場でバンザ~イ。
ポークカツレツ 2000円
満足度100%がこれ。撮影ではあえて肉をカットしてもらったが、本来は銘柄豚のリブロースを切らずに1枚どーんと提供。洋食のカツレツは衣が繊細な店も多いが、こちらはふわっとさせるため細かくも粗めでもない中間のパン粉を使うのだそう。
8割程度の火入れに揚げた後、オーブンで焼いて余分な油を取り除き、軽やかに仕上げる。さすがだよなあ。牛スジなどの旨みを加えたデミグラスはスパイシーなカレー粉が隠し味。これが深みはあるのに飽きない旨さ。ワンパクに皿まで舐めちゃいたい!
【旨い!の秘密】基本は群馬の「せせらぎポーク」。塊で仕入れ、カツレツはリブロースを使う
[住所]東京都港区西麻布4-6-5・1階
[電話]03-3486-0118
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時~22時(21時LO)
[休日]無休
[交通]地下鉄日比谷線広尾駅4番出口から徒歩5分
『とんかつはせ川 東銀座店』 @東銀座 とんかつ愛がとこトン詰まった魂を揺さぶる味
両国の大人気店が東銀座に新たに進出
またもや心をかっさらうヤツに出合ってしまった。香ばしい衣から手招きする甘美な脂。舌にのせると華やかな香りがじゅわりとほどけ、脳ミソが一瞬クラッ……好きぃ。
「脂はあってもクドくなく、スッキリした後味を目指しています」。店主の声で我に返った。何やってんのよと言われそうだが、いやそれほど恍惚なのですよ。
厚切極上ロースかつ(220g) 3080円
豚肉は栃木の「平牧バーク三元豚」ひと筋だ。生産者、食肉加工業者、目利きの人など関係者の尽力を知るうちに虜になったとかで、交流を重ね「いい豚とは」を研究した素材が店に届けられる。
理想的に脂の量を調整した極上ロースは赤身に入る霜降りが芸術のよう。筋切りなど磨きをかけ、しっかり揚げて火を通すことで色付きも美しい衣、甘い脂、赤身のコクが共鳴する旨さに。そのバランスはまさに極上、震えます。
【旨い!の秘密】軽さとコクを出すためラードと米油の中温で揚げ、持った感覚で仕上げを見極める
[住所]東京都中央区築地1-13-11 高橋ビル1階
[電話]03-6281-5129
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時~22時半(22時LO)
[休日]無休
[交通]地下鉄日比谷線ほか東銀座駅5番・築地駅2番出口から徒歩3分
『とんかつやまいち』 @淡路町 腕利きだった先代の味わいを真摯に受け継ぐ
名人技を家族で守る 揺るがぬ人気の名店
先代の松井孝仁さんは揚げ方の名人だった。9年前の亡き後、店を継いだのは18歳から共に働いてきた妻の里絵さんだ。職人気質だった夫。生前は技を教えることはなかったため、その仕事を思い出して味を再現したという。
当初は2年だけやる予定だったそうだが、4年、8年……人気が続くのは訳がある。「主人のような味を出したい」とひたむきな姿勢で、旨さを追求し、それを守ってきたから。
かつ丼や限定の特ロースにも根強いファンが多いが、定番はロース。分厚い肉に包丁を入れた時のザクザクと軽快な音からもう、誠実さが伝わってくる。
ロース定食 1700円
胡麻油と綿実油など3種をブレンドした油で揚げる衣は、芳醇でクリスピー。ブランデーを加えた自家製ソースとも相思相愛で何だかうれしくなる。どこか懐かしくて、温かい。家族で守る尊い味だ。
【旨い! の秘密】豚肉はその時にいい状態のものを仕入れる。筋切りなどで食べやすくする
[住所]東京都千代田区神田須田町1-8-4 玉井ビル1階
[電話]03-3253-3335
[営業時間]11時~13時50分LO ※材料が無くなり次第終了
[休日]月・日・祝
[交通]地下鉄丸の内線淡路町駅・都営新宿線小川町駅A1出口から徒歩1分
撮影/大西尚明(けい太、檍、成蔵)、鵜澤昭彦(フリッツ、笄軒、はせ川、やまいち)、取材/肥田木奈々
※2022年11月号発売時点の情報です。
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