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おいしいとんかつを食べたい。切なる欲求を、こちらの想像以上のおいしさで迎えてくれるのが、これから紹介する店たちだ。これまで何軒も取材したスタッフたちが唸らされた、まさに三ツ星店は、皆さんをも満足させること必至。欲求の赴くまま、ぜひ一度足を運んでみてほしい。

『とんかつ けい太』 @西荻窪 淡い衣の中から泉の如くあふれるジューシーな旨み

実家・鹿児島の母兄が丹精込めて育てた黒豚

それは静かに始まった。ふかふかの衣で着飾った肉を、まるで凪のようなラードの海へスーッ。穏やかな低温にすべり込ませて十数分。はぁ、いい油だなビバノンノン♪と思ったかは豚に聞かなきゃわからんが、お次は高温でサクリと揚げ、少し寝かせてハイ調いました。

六白黒豚 特上ロース膳(200g) 3080円

『とんかつ けい太』六白黒豚 特上ロース膳(200g) 3080円 特上はリブロース。ひと口目の柔らかさの感動を感じられるよう揚げ方も試行錯誤した

桃色の柔肌がソソるねえ。歯を入れて仰天。やらかっ。湧き出る深いコクにメロメロメロ。これがめくるめく”けい太ワールド”の全貌である。旨さの要はまず素材だ。

看板は店主の実家、鹿児島で養豚場を営む母と兄が育てた「六白黒豚」。脂の甘みと旨みが濃いのが特長で、その味を強調するためパン粉の糖度は控え目に。やさしい火入れで仕上げれば豚も喜んでおいしくなろうと応えてくれる。

考えてみりゃ同じ”母”に育てられた店主が調理するんだから、豚にとっても同士な訳か(何のこっちゃ)。開業して3年。実家の強みを生かした店オリジナル豚の開発も進行中、目指すは世界進出だ!

【旨い!の秘密】さつま芋を食べて育った六白黒豚は濃厚な脂の甘みと旨みで歯切れのいい柔らかさ

『とんかつ けい太』

[住所]東京都杉並区西荻南3-10-6 中村ビル地下1階
[電話]03-5941-6627
[営業時間]11時~15時(14時LO)、18時~21時(20時LO)※土・日・祝の夜は17時~、金はメンチカツカレーのみ
[休日]月・木
[交通]JR中央線西荻窪駅南口からすぐ

『洋食・ワイン フリッツ』 @春日 細部の細部まで計算し尽くした揚げ物の理想形

フレンチ洋食店の絶品過ぎるとんかつ!

いやあ、実に楽しく学べる取材だった。聞けば聞くほど奥深きフリッツ=揚げ物たちの世界。仕込みの工夫、揚げの極意……中でもロースとんかつはそれらの技を集約した逸品だ。まあ見てくださいよ、白皿に横たわる絶景を。待ち受けにしてずっとニヤニヤ眺めていたい(やってます)。

ロースとんかつ 2000円

『洋食・ワイン フリッツ』ロースとんかつ 2000円 豚肉は脂身がしつこくない茨城の「美明豚」を使う。衣サクッの後に肉の旨みがあふれる。味がぼけないよう脂身部分は塩を強めにするなど繊細な配慮も素晴らしい

店主・田苗見さんのイメージは衣サクサク、中しっとり。書くだけなら簡単だけどね、この絶対的理想を”完璧に”実現するのは難しい。

パン粉が乾燥し過ぎるとガリガリの食感になるし(状態を見て霧吹きで補水。繊細~)。1枚の肉でも脂身と赤身で火が通る温度が違うため、揚げ方を調整したり(脂身部分は鍋に立てるように)、見せる版の美しさを考えたり(油の中で裏返さない!)。

キリがないのですよ、キリが。食べれば信頼の味。舌を巻きます。

【旨い!の秘密】胡麻油とコーン油をブレンド、肉にストレスがかからないよう一定温度で揚げる

『洋食・ワイン フリッツ』

[住所]東京都文京区小石川2-25-16 LILIO小石川2階
[電話]03-3830-0235
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)、18時~21時(20時LO)
[休日]月
[交通]都営三田線春日駅A5出口から徒歩3分

『とんかつ成蔵』 @南阿佐ヶ谷 揚げたて瞬間の至極の味わいをコース仕立てで

殿堂入り後も進化中 白い衣ブームの原点

その姿形を想像するだけで味蕾を刺激して唾液腺崩壊!となるのは私だけだろうか。否。感動体験を共有した人なら時々無性に舌が求めてしまうはず。

淡雪をまとったような不朽の名作、あの『成蔵』のとんかつである。南阿佐ヶ谷で再出発した現在も進化中で、近年は内容をコース仕立てに一新した。

まずは生パン粉の試食から幕開けだ。ふわふわの食感が揚げることでどう変化するのか。期待を胸に前菜、小鉢、サラダ……焦がれる腹をなだめて本命を待つ。さあ、選べる部位が1品ずつ供される新生”白い芸術”とのご対面~。

とんかつ定食 5000円(プルドポーク、小鉢2種、サラダ、とんかつ2品、ご飯、豚汁、衣のフレンチトースト)

『とんかつ成蔵』とんかつ定食 5000円(プルドポーク、小鉢2種、サラダ、とんかつ2品、ご飯、豚汁、衣のフレンチトースト)自家製プルドポークからデザートまでコース仕立てで提供。かつはその日の約6種類から選べる。写真は「シャ豚ブリアンかつ(手前)」と「特ロースかつ(奥)」。銘柄は雪室熟成豚など日によって変わる

断面に浮かぶ肉汁、軽快さが増した衣の口溶け、もうたまらん。「衣で旨みを閉じ込め、肉汁を逃さないとんかつという料理はどんな調理法より豚肉をおいしくする」との信念を貫くこれぞ店主の傑作。全細胞で受け止めよ!

【旨い!の秘密】腸間膜のラードを使い、低温でじわじわ揚げて余熱で仕上げる独自の手法

『とんかつ成蔵』

[住所]東京都杉並区成田東4-33-9
[電話]03-6882-5214
[営業時間]11時~14時(13時半LO)、17時半~20時(19時50分LO)
[休日]月・金、他不定休
[交通]地下鉄丸の内線南阿佐ヶ谷駅1番出口から徒歩5分

『とんかつ檍(あおき) 蒲田本店』 @蒲田 店イチオシの特ロースは迫力の300g!

激戦区を牽引するコスパ抜群の人気店

すべてはここから始まった。蒲田をとんかつ激戦区にした立役者の1軒であり、今や銀座や横浜など各地に展開する業界屈指の人気系列店、その総本山である。大田区在住の筆者も地元が生んだスターに鼻高々。

そりゃそうだよね、イチオシの特ロースなんて上質な「林SPF豚」が圧巻の約300g、ブラボーなクオリティ。しかも本店だけのサービスなら、ロース170gが1000円ポッキリの平日限定ランチだってある。うん、行列が絶えない訳だ。

特ロースかつ定食(300g) 2000円

『とんかつ檍(あおき) 蒲田本店』特ロースかつ定食(300g) 2000円 脂の甘みを存分に楽しめる「林SPF豚」特ロース。糖度高めの特注パン粉は粗めで香ばしい。仕込みに手間はかけても調理に手数をかけないのがモットー

それにしてもこの肉の分厚さ、ピンと立った衣の凛々しいこと。二重顎を三重顎にしてかぶりつけば、しっとり潤いを帯びた脂の甘みが口中にドドドッと押し寄せる。

ボリューム満点でもペロリとイケるのは上質な純正ラードでカラリと揚げているから。ヒマラヤ岩塩で食すのがおすすめです!

【旨い!の秘密】国産の純正ラードでレア気味に揚げて余熱で仕上げる。打ち粉も秘伝のブレンド

『とんかつ檍(あおき) 蒲田本店』

[住所]東京都大田区蒲田5-43-7
[電話]03-3739-4231
[営業時間]11時~15時、17時~20時
[休日]月
[交通]JR京浜東北線ほか蒲田駅東口から徒歩4分

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『麻布笄(こうがい)軒 広尾本店』 @広尾 手間暇かけたデミ...
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おとなの週末Web編集部
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