苦節約8年、ようやくみなさまのお手元に届けられる日がやってきました。女優・吉田羊さんの本誌連載記事「ヒツジメシ」が1冊にまとまったのです。本書籍ができあがっていく過程で、改めて感じた羊さんの魅力を担当編集Eがお伝えします。
画像ギャラリー本誌『おとなの週末』で約8年にわたって連載している、女優・吉田羊さんの『ヒツジメシ』(講談社ビーシー/講談社)が待望の書籍化! 2022年12月1日に、全国の書店、電子書店で発売されます。
実は羊さんにとってはじめての著作。日々の食体験を通して、下積み時代から現在までを振り返ります。たくさんのお店が出てくるグルメエッセイではあるものの、羊さん曰く「吉田羊の歴史が垣間見えるクセ強めのエッセイ本」。
今回書籍化にあたり、過去約90回に渡る連載記事を振り返った羊さん。
「過去の自分と向き合ったが、未熟さと成長は一進一退。当時の感情や環境は透けて見えるし、筆が乗っている回とそうでない回もすぐにわかる。なんだかなあと思うけれど、そうやって隠しようのない自分が見えてしまうのもまた、文章の醍醐味かなとも思ったりして。」(書籍『ヒツジメシ』はじめに より)
毎月毎月誌面で読むのとまとめて読むのとでは、印象が変わってくるもの。その違いが見えてくるのも面白いものです。そんな羊さん、書籍を作り上げていく中で、こと細かにチェックを入れてブラッシュアップを図っていました。それは修正内容を見た書籍編集チームが「ここまで細かく直していくのか」と舌を巻くほど。
すべては「読者に自分の言葉を届けたい。喜んでもらいたい」。その一心なのだろうと感じていました。
もともと毎月の連載時、本誌同様覆面取材で店を巡り、感動したところだけを紹介するというスタイルで執筆されている羊さん。
本誌読者ならお気づきかと思いますが、まさに『おとなの週末』がお店を取材するにあたっての進め方とまったく同じ!
ある回では宇都宮餃子の店を8件まわるなど、本誌スタッフ顔負けの動きをして驚いたこともありました。もはや名誉編集部員とも読んで差し支えないでしょう。
そんな普段の連載から感じていたことを、今回の書籍の制作過程を通して改めて実感しました。それは、すべてにおいて全力で取り組むこと。さまざまな魅力はありますが、この実直さこそ、女優・吉田羊を作り上げた大きな要因のひとつではないでしょうか。
あ、「美味しい」ものもまた羊さんを作り上げる要素であることを書籍の宣伝としては忘れちゃいけませんね。
こうして連載時の原稿から大幅に加筆・修正が加わってできあがった『ヒツジメシ』は、全6章で構成。自分自身の原点、仕事のこと、大好きな人や街のことなどが綴られています。
連載時から文字数の多さを感じさせないリズムのいい文体が特徴的な羊さんの原稿。これが一冊にまとまったとき、どうなるかと思っていましたが、書籍担当の編集の妙も合わさって、新しい『ヒツジメシ』が誕生しました。今風にいうと“シン・ヒツジメシ”ですね。
連載を愛読いただいてる方はもちろん、「え、吉田羊って雑誌で連載やってたの?」という方、そう、むしろ、舞台、映画、テレビで見る女優・吉田羊しか知らない人にこそ読んでいただきたい!
羊さんがいざなう「美味しい」世界にぜひ飛び込んでみてください。
最後に本書の「はじめに」にある一文で〆させていただきます。
「もしもこの一冊があなたのお腹を空かせられたらこれ幸い」。
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