伊勢うどんを食べ歩いて良い年を迎えたい
伊勢神宮の参拝ついでに伊勢うどんを食べて、濃く太く長い人生を送りたい。とはいえ、名古屋在住の私は伊勢うどんのことをよく知らない。そこで今回は強力な助っ人を呼んだ。伊勢市在住で、伊勢神宮の写真を撮り続けているカメラマンの加藤直人さんだ。
「伊勢うどんは江戸時代よりも前、農民がうどんに地味噌からできたたまりをかけて食べていたのが始まりなんですよ」と、加藤さん。江戸時代初期になると、カツオ節などダシを加えて食べやすくしたうどんを出す店が開業。伊勢神宮に向かう参拝者にも大好評だったという。
時代は平成となり、伊勢うどんを全国に発信しようという動きもあった。しかし、讃岐うどんとは対局にある、やわやわの麺に拒否反応を示す人も少なくはなかった。「潮目が変わったのは、9年前の式年遷宮ですね。記念にと多くの店がオリジナルの伊勢うどんを出しました。
『まめや』の伊勢海老うどんや『山口屋』のいせじまんがそれです」(加藤さん)なるほど、たしかに濃厚なタレが染みた「伊勢海老うどん」の天ぷらや「いせじまん」のあられも格別だった。伊勢うどんのタレは麺だけではなく、何にでも合うことがわかった。見た目も華やかで縁起物としても食べたくなる。
「ただ、私も含めて、地元の人はあまり食べないと思いますけどね。やはり、ふわふわの麺とタレのマッチングを楽しむのが伊勢うどんですよ。特に老舗の『ちとせ』はタレが抜群においしい。シンプルな伊勢うどんがおすすめです」と、加藤さん。申し訳ないが、卵と牛肉がのる「伊勢肉月見うどん」を注文してしまった。だって、あまりにも旨そうだったから(笑)。
加藤さんの言う通り、タレが旨い。少しとろみがあって、麺にしっかりと絡みつく。ダシの味と香り、辛み、甘みがうまくまとまっている。箸を持つ手が止まらないほど。いやー、本当においしい!
今回、紹介した店以外に3軒、計6軒の伊勢うどんを食べ歩いた。少し気が早いけど、来年は良い年になりそうだ。
取材・撮影/永谷正樹
※2022年12月号発売時点の情報です。
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