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3番目の妻キャロル・ベイヤー・セイガー

ぼくのバート・バカラックへの想いは前章でも記したが、忘れられないことがもうひとつある。それはバート・バカラックの3番目の妻キャロル・ベイヤー・セイガーについてだ。1977年、『私自身(Carole Bayer Sager)』というアルバムで彼女はデビューした。名ギタリストのリー・リトナー、名ドラマーのラス・カンケル、ジム・ケルトナーなどが参加したこのアルバムをぼくはすぐに気に入った。今で言うならAOR~ヨットロック系のサウンドだ。美人で音楽的にも優れたキャロル・べイヤー・セイガーは、ぼくのお気に入りとなった。

そんな彼女は1982年にバート・バカラックと結婚してしまった(1991年に離婚)。どこでどう彼女とバカラックが出逢ったかは知らない。けれども1981年の彼女の3作目『真夜中にくちづけ(Sometimes Late At Night)』をブルックス・アーサーとバカラックは共同プロデュースしているので、この頃から関係は深まったと見られる。

音楽家としての名声、4度の結婚、94歳の大往生(2023年2月8日死去)。バート・バカラックは幸せな人だったと今は思う。これからも彼の楽曲が多くの人たちによってカヴァーされ、後世に伝わっていくのは間違いないだろう。

バート・バカラックの名曲の数々

岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。

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