ロケ地はまさかの「敵陣ど真ん中」
仕事で言うと、我々ティモンディは今年の新年度から幼少期に見ていたNHK Eテレの教育番組、天才てれびくんのメインMCをやらせてもらうことになった。
毎年色々な仕事をいただいているのだけれど、歴史ある番組のバトンが我々に回ってきて光栄な大役を任せていただいたと思う。
身の丈に合わないと思ってしまうほど歴代のメインMCたちは豪華な方々で、挙げ出したら枚挙にいとまが無い。
その流れの中に自分達の名前が入ってくると思うと、必要以上に考えてしまう。
果たして私に務まるのだろうか。
足りない能力を分かっているからこそ悩む時間も増えるのだけれど、そこら辺は慣れと努力でどうにかしていくしかない。
春の夜に、あれこれ考えながら公園を歩き回り、悩みながら頭を整理させていく。
けれど、そんな仕事に対して向き合っている時間に水を差すように、いかなる時も苛烈極まる花粉攻撃はやってくる。
考えがまとまる前に、眼球を一回取り外して綺麗に洗ってから入れ直したいくらい痒くなるし、鼻はグズグズ、くしゃみも止まらなくなっていった。
とんでもないストレスだ。
天才てれびくんでは、スタジオで収録することが多いのだけれど、たまに外でロケをすることもある。
実際、もう放送は終わったのだけれど、外で身体を動かすロケもあった。
その外ロケの時は、身体を動かして、天才てれびくんに出ているメンバー全員と仲良くなろうという趣旨だったのだけれど、そのロケ地が、オンエアを見てもらった人には分かるかもしれないけれど、まさかのスギの木が鬱蒼と生い茂る森の中だった。
なんでわざわざこんな所で……。
深夜の都内で練り歩く時に感じる痒みなんて比にならないくらい、花粉の本拠地である森の中での症状は辛かった。
カメラが止まっている時は、極力マスクをして目を瞑り、体内に花粉が流入するのを防いだ。
それでも、目は掻きむしりたくなるほど痒く、鼻は粘膜がやられて通らなくなっている。
このままでは仕事にもならない、と、強めの飲み薬をこっそり飲む。
薬剤のおかげで一気に炎症は治って、目も鼻も楽になる。
けれど、次は副作用で頭がぼーっとしてくる。
思考が鈍くなり、語彙の引き出しが開かなくなってしまう。
なんとかロケを終えたのだけれど、その日は副作用の影響で、一日中頭の回転が鈍く、薄くモヤがかかった状態だった。