東京のおにぎり三ツ星店7選 全店イートイン&テイクアウトOK!

手作りの味の代表格のおにぎりが弁当箱や食卓から飛び出して、ちょっとしたブームになっています。そこで都内数十店舗で実食調査。ご飯、塩、海苔に具材。さらにさまざまなアイデアを握り込み、そこにしかないおいしさを提供する三ツ星店…

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手作りの味の代表格のおにぎりが弁当箱や食卓から飛び出して、ちょっとしたブームになっています。そこで都内数十店舗で実食調査。ご飯、塩、海苔に具材。さらにさまざまなアイデアを握り込み、そこにしかないおいしさを提供する三ツ星店のテイクアウト&イートインで味わえるおにぎり店を紹介します。

『おひつ膳 田んぼ 三軒茶屋店』 @三軒茶屋

精米したて握りたて。実直なおいしさが心に響く

この何気ないおにぎりに、どれだけの想いが詰まっているか。店主・岡野さんの米にかける愛は果てしない。米はさまざまな品種を全国の産地から。毎月4~5品種が順次登場する。自らも新潟県十日町市で米作りに携わり、さらには店の屋上に水田まであるというから驚く。だって、ここ三茶よ?

創業は1996年、代々木に本店を持つ。一貫しているのが、毎日精米したて、炊きたて、握りたてを供すること。「それが最善の仕立てだから」。加えて、精米の仕方が旨さの要だという。ヒビ入りや細かいものは繋ぎになってしまうため省き、省いた米は米粉にして無駄にしない。特注釜でピンと粒の立ったごはんを炊き上げる。

にぎりたて(もろみじゃこ 275円、うなぎ 370円、明太子 295円)、みそ汁 250円

『おひつ膳 田んぼ 三軒茶屋店』にぎりたて((右)もろみじゃこ 275円、(真ん中)うなぎ 370円、(左)明太子 295円)、みそ汁 250円 ここではおにぎりを“にぎりたて”という。具の鰻は鹿児島、明太子は博多から。会津のしそもろみ味噌にはちりめんじゃこを混ぜ、いい塩梅に

さらに、初摘みの有明海苔は極限まで強く焼き、伯方の塩は火を入れてサラサラに。これらの丁寧な仕事から生まれる“にぎりたて”は、涙が出るほど旨い。ほろりとほどけて米一粒ひと粒の味わいが感じられ、国産の旨いもんを厳選した具材との調和も完璧だ。「30年やっていると、当たり前の中に突き詰めたこだわりが出せる」と岡野さん。店の心がひしと伝わってくる。

【おにぎりDATA】
米:特別栽培米
塩:伯方の塩
海苔:佐賀有明の初摘み
重さ:約150g(具入り)

『おひつ膳 田んぼ 三軒茶屋店』

[住所]東京都世田谷区三軒茶屋1-29-10
[電話]03-3421-4001
[営業時間]9時~20時LO(※土・日・祝8時~)
[休日]水 ※田植え、稲刈り期は臨時休業
[交通]東急田園都市線三軒茶屋駅南口Bから徒歩約5分

『おにぎりカフェ 利さく』 @千駄木

飾らない味に宿る 丁寧な仕込みと探求心

元は店主・吉江さんのご両親が喫茶店を営んでいた場所。新たに店を始める際、家庭的なメニューをやりたいと考え、「誰もがイメージでき、なおかつ、いろいろな表現ができるのはコレしかない」と、おにぎりカフェが誕生した。米作りの匠と出会い、地域外に流通していない群馬県板倉町産のコシヒカリを産直で取り寄せる。それを羽釜で少しずつ、1日に何回も炊くので、おにぎりはいつも炊きたてで握られる。

スープセット 900円

『おにぎりカフェ 利さく』スープセット 900円 ※写真のおにぎりは(右)「豆と青のり」と(左)「深川」 左の具はアサリを炊いた佃煮。右はあおさのりに十勝産黒豆の食感が楽しい。好みのおにぎりふたつと好みのスープ、小鉢、漬物付き

その旨さを引き立てるのは、有明海産の海苔と沖縄の塩。さらに、毎日手作りされる具材が合わされば、幸せは倍増。佃煮に至るまで丹念に仕込み、和洋を織り交ぜた具材もあり、洋食出身の吉江さんにしか表現できない味わいに、ほっこり笑みがこぼれる。味噌も北海道から鹿児島まで各地の味噌を使い分けるこだわりで、「だって楽しいから」と言う。おにぎりはもちろん、味噌汁も惣菜も、全部がご馳走だ。

【おにぎりDATA】
米:群馬県板倉町産コシヒカリ(玄米は茨城県産ミルキークイーン)
塩:沖縄の海洋深層水から作られた自然塩
海苔:有明海産
重さ:約100g(玄米約90g)

『おにぎりカフェ 利さく』

[住所]東京都文京区千駄木2-31-6
[電話]03-5834-7292
[営業時間]9時~20時
[休日]水
[交通]地下鉄千代田線千駄木駅1番出口から徒歩1分

『戸越屋 渋谷道玄坂店』 @渋谷

ふんわりご飯と具の存在感の妙に溺れたい

まずは具がはちきれんばかりのこのボリュームを見て。手にすると、ずっしり重い。オーナー曰く「大塚の名店『おにぎり ぼんご』が好きすぎて、自分でも店を開きました。ぼんごインスパイア系おにぎりですね(笑)」。とは言っても、ただのマネっこじゃない。全国のおにぎりを食べ歩いて研究を重ね、素材に味にトコトンこだわっている。

おにぎり2つセット 1250円~

『戸越屋 渋谷道玄坂店』おにぎり2つセット 1250円~ ※写真は(左)「卵黄+肉そぼろ」と(右)「明太マヨ+焼きたらこ」で1450円 選べるおにぎりふたつに、だし巻き玉子、きんぴら、唐揚げ2個、味噌汁が付く。パンチが効いた「卵黄+肉そぼろ」は人気NO.1

米は山形県産つや姫。大釜を使って強火で炊き、蒸らし時間は20分。握り込まないことでふんわりとした食感に仕上げる。海苔は歯切れよく味の濃い有明産を使い、バランスよくまとめている。そして、具材の取り合わせの妙もこの店の真骨頂だ。例えば、明太子と焼きたらこがWで入っていたかと思えば、ツナにはタイのチリソースの辛さがピリッと現れ、どれも大正解のハーモニー! 個性豊かな40種に加え、月替わりのおにぎりも登場する。楽しいったらありゃしない。

【おにぎりDATA】
米:山形県産つや姫
塩:沖縄県の天然塩
海苔:有明海産
重さ:175~185g(こむすび115~125g)

『戸越屋 渋谷道玄坂店』

[住所]東京都渋谷区道玄坂2-10-4 高野商店
[電話]03-6416-1816
[営業時間]8時~22時50分(22時半LO、※土・日・祝10時~)
[休日]無休
[交通]JR山手線ほか渋谷駅ハチ公口から徒歩4分

『おにぎり浅草宿六』 @浅草

観音裏で70年、伝統を守りながら進化中

片方の海苔が凛と立つ。その佇まいは、江戸の粋とでも言おうか。「生まれた時から実家がおにぎり屋なんて、たぶん僕だけでしょ」と言う三代目店主の三浦洋介さん。1953年、洋介さんの祖母が浅草で開業した同店は東京で一番古いおにぎり屋だ。当時は浅草の酔客が呑んだ後の〆を求めて集っていたという。鮨屋さながらの檜のカウンターにはショーケースが設けられ、そこに並ぶ17種の具材は70年変わらぬまま。

あみ 319円、さけ 341円

『おにぎり浅草宿六』(左)あみ 319円、(右)さけ 341円 素材の味を生かしたあみ佃煮と焼き鮭。バランスが秀逸だ。たくあんと味噌汁が付く

大きな羽釜で米がツヤよく炊かれ、熟練の手つきで握られるおにぎりは、江戸前海苔の香りをまとい、口中でふわっとほどけていく。これがたまらない。米は毎年新米の時期に試食し、味の濃さを基準に選定。今年は新潟県産コシヒカリを使う。気候により炊き方を調整したり、米のハリ感を出すべく蒸らし時間を考慮したり。「自分が旨いと思うものを作っているだけ」と三浦さんは笑うが、情熱と心意気がひしひし!ピシッと旨く、いやはやニクい。気持ちがシャンとする。

【おにぎりDATA】
米:新潟県産コシヒカリ
塩:企業秘密(その日の気分で変える)
海苔:東京湾産
重さ:約100g

『おにぎり浅草宿六』

[住所]東京都台東区浅草3-9-10 
[電話]03-3874-1615
[営業時間]11時半~ご飯がなくなり次第終了、17時~ご飯がなくなり次第終了 ※火・水は昼のみ
[休日]日
[交通]地下鉄銀座線ほか浅草駅3番出口から徒歩10分

『OMUSUBI CAFE(おむすびカフェ)』 @代官山

やさしい三角に詰まった真心を味わう

おにぎりの味には作り手の人柄も表れるのだと思う。素朴な形に詰まったやさしさは店主の矢澤さんの真っすぐな姿勢そのもの。和食の料理人として約20年、まかないで評判だった「おむすび」に着目し、自身に子供が産まれたことをきっかけに「家族に作るように、安心でやさしい味を届けたい」と無添加のお惣菜とおむすびの店を始めた。故郷岩手の特A米「銀河のしずく」にこだわり、しっかりした粒と秀逸な旨みに合うよう海苔や塩も吟味したそう。

おむすび2個の一汁二菜せっと(選べるおむすび2個・主菜1品・副菜1品) 1560円 

『OMUSUBI CAFE(おむすびカフェ)』おむすび2個の一汁二菜せっと(選べるおむすび2個・主菜1品・副菜1品) 1560円 ※写真のおむすびは(手前)「鮭(塩麹)」と(奥)「しらす塩山椒」(+130円) しらす塩山椒は実山椒の風味が豊か。写真のおかずは鶏の竜田揚げなど

「表面はしっかり、中ふっくら」を理想として握るそれは、かぶりついた瞬間に米粒も心もほろりとほぐれるおいしさだ。約20種の具材も誠実そのもの。「特別なことはしていないんです。丁寧にダシを引くなど基本を守っているだけ」。塩麹にひと晩つけて焼いた「鮭」や鯛茶漬けから考案した「鯛の利休漬け」など全て手作りで、その小さな三角に料理人ならではの技と感性と、真心が息づく。そう、これは片手で味わえるご馳走なのだ。

【おにぎりDATA】
米:岩手県産銀河のしずく
塩:沖縄県産粟国の塩
海苔:有明産
重さ:約125g~130g

『OMUSUBI CAFE(おむすびカフェ)』

[住所]東京都渋谷区猿楽町3-7 へーベルSTAY代官山1階
[電話]03-6321-0168
[営業時間]9時~15時半(15時LO)、16時半~20時半(20時LO、土・日・祝は通し営業)
[休日]不定休
[交通]東急東横線代官山駅西口などから徒歩7分

『丸豊』 @築地

昼過ぎに完売! 魚屋発のデカにぎりに客が殺到

“うまくてにっこり、でかくてびっくり”。それがこの店のモットーだ。開業したのは今からちょうど20年前。「最初は場内で働く人がほとんどだったけど、市場がなくなった今でも昔からの常連さんはもちろん、観光客もたくさん来てくれるよ」と店長さん。1日に使う米は少なくとも40升(!)。炊き上がったばかりのツヤツヤの米をベテランのお母さん達が早朝からせっせと握って店頭へ。

おぼろ昆布(たらこ) 253円、たこ飯 253円、いくら正油 390円

『丸豊』(左)おぼろ昆布(たらこ) 253円、(真ん中)たこ飯 253円、(右)いくら正油 390円 具材はたっぷり入るが、味は濃すぎず主役の米を引き立てている

まだほの温かいそれを持てば、ずっしりとした重量感も頼もしい。具材は鮮魚店が直営するだけあって、鮭や筋子などの定番の他にも、たこ飯、穴子、焼き鯵と築地らしいおにぎりも満載。どれにも共通しているのが米の旨さだ。冷めても固くなりすぎないよう、少しだけ水分量を多く炊くのがコツだとか。具材も表面にまぶす塩の加減もおだやかで、米自体の甘みが舌にじんわり広がってくる。土地柄、インバウンド客も大勢いて買ったそばから舌鼓。この旨さ、きっと世界も認めるはず。

【おにぎりDATA】
米:新潟県産コシヒカリ
塩:粗塩
海苔:厚みや大きさ、香りを指定した専用海苔
重さ:190グラム前後

『丸豊』

[住所]東京都中央区築地4-9-9 
[電話]03-3541-6010
[営業時間]6時〜売り切れ次第終了(13時半頃)
[休日]休市日
[交通]都営地下鉄大江戸線築地市場駅A1出口から3分

『一食』 @代々木上原

味わいにも握り方にもやさしさがギュギュッ

代々木上原と幡ヶ谷の間、閑静な住宅地に、同店はある。小さな店同様に、秋田こまちを使ったおにぎりもひとつ約100gと上品なサイズ。塩は塩味よりもやさしい旨みで、海苔は香りの良さで選んだものを使い、中の具材も極力手作りを心がける。口に含めば、ご飯ははらりとほぐれ、具材の味がおだやかに広がっていく。“しみじみ”という形容がぴったりのおいしさだ。

お味噌汁セット 650円(おにぎり2個にお味噌汁のセット)

『一食』お味噌汁セット 650円 ((左の皿 奥)ルッコラ(単品 230円)、(左の皿 手前左)鮭(単品 220円)、(左の皿 手前右)葉玉葱の塩麹炒め 230円、(右の皿)カブとエビの生姜炒め 420円) おにぎり2個にお味噌汁のセット。そこに惣菜をプラス。味噌汁には秋田の麹入り味噌を使用。具材は日替わり。店内のイートインは1席のみで14時以降、利用可

「毎日食べられるもので、日々頑張っている人を応援したくて始めたお店。このおにぎりでほっとひと息ついてもらえれば」と店主・清澤さん。その気持ちは味だけでなく、「キレイな三角よりもふわっとなるように心がけています」とその握り方にも現れている。出社前、毎日おにぎりを購入していく人もいるそうで、2020年に開店とまだ日は浅いが、目指す味わいは早くも周囲に浸透している。とはいえ、ルッコラを混ぜ込んだおにぎりなど新しい味にも挑戦。小さいながら、目の離せないお店に進化中だ。

【おにぎりDATA】
米:秋田こまち
塩:百姓庵「za you zen 四季の塩」
海苔:塩釜産
重さ:100g

『一食』

[住所]東京都渋谷区西原1-7-8 ツインパレスK1
[電話]03-6873-9120
[営業時間]8時半〜17時
[休日]土・日・祝、不定休
[交通]地下鉄千代田線ほか代々木上原駅東口から徒歩8分、京王新線幡ヶ谷駅南口から徒歩8分

撮影/鵜澤昭彦(田んぼ、利さく、戸越屋、浅草宿六)、小澤晶子(おむすびカフェ)、橋本真美(丸豊、一食)、取材/飯田かおる(田んぼ、利さく、戸越屋、浅草宿六)、肥田木奈々(おむすびカフェ)、菜々山いく子(丸豊)、編集部(一食)

2023年7月号

※2023年7月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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