まずは七輪焼きで鳥の味を知る
『名門』を訪ねてみると、店の造りはラーメン居酒屋の頃とほぼ同じ。店に入ってすぐにL字のカウンター席があり、奥はテーブル席が並んでいる。変わったのは、七輪を使うため、かなりしっかりした換気扇が装備されたことくらいだ。
メニューはシンプルで、鳥焼肉の「おまかせコース」と「かるめコース」のふたつ。おまかせは、お腹がいっぱいになったらストップをかけるコースで、部位や内容がバラエティに富み、非常にお得な価格設定になっている。
食べた量により金額は変わるが、通常だと3000~4000円くらいになることが多いそうだ。また、鳥をさばいていく過程で出てくる希少な部位がコースに加わることもあるという。
魅力的だが、今回は初めてということで「かるめコース」を選んだ。むね、もも、手羽、砂肝、ハツなどさまざまな部位の鶏肉と野菜が8~9品盛り付けられ、これも十分お得に思える。足りなければ、単品の追加も可能だ。
ブランド鶏は扱わず、品質の良い朝引きの鶏を店頭でさばくというが、単品メニューの中で唯一といっていいのが愛媛のブランド鶏「ひめっこ地鶏」だ。
「これはおいしかったんで扱うことにしたんです」と、店長の橋本正太さん。さばく中で出てくる珍しい部位もある。この日は、「提灯」が出ていた。コース以外でも、やっぱり珍しいものは頼んでみたくなる。ちなみに、質問すれば、部位のことから焼き方まで、教えてもらえるので心強い。
タレは3種類。醤油ダレ(名店が吟味したタレなので当然旨い)、ごま塩(シンプルだけど肉の味が際立つ)、オリーブオイルとレモン(これは最初に味わった方がいい)。
最初のふたつで肉も野菜も十分おいしく食べられるので、つい、オリーブオイルのことを忘れそうになるが、これと、塩ネギの相性が抜群。さらに、焼いたトマトも潰してソースに使えば、鶏肉が無限に食べられそうなくらい味わいを増す。
鳥焼肉の楽しさは、焼き加減を自分で調整できること。皮めこんがりとか、ムネは軽く炙るだけとか、自分好みに火を入れられる。さらに、調味をいろいろ試してみると、焼き鳥とは違う、鳥の新たな味わいにハマりそうだ。