東京の立ち食い寿司3軒 仲卸直営や「八重山そば」との二刀流など個性的な実力店

令和創業の新店はより気軽に使える! カウンターの寿司屋といえば、ひと昔前は品書きに値段もなくて一体何にどれだけ支払うのやらとヒヤヒヤする店も多かった。ましてや高級な有名店なら予約半年待ちとか行動も制限されたり。まあそれは…

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過去に本サイトでも特集した立ち食い寿司店(記事はこちらから)。高級店のセカンドブランド全盛だったが、仲卸直営をはじめ、さまざまな業種から参戦している。中でも実力店を紹介!

『鮨スタンド 三六五』 @末広町

レア物まで毎日変わる 仲卸直営の確かなネタ

流行りの立ち食い寿司の中でも仲卸直営とくれば期待値がぐんと高まる。品書きは毎日変わるが、ある日のそれは小肌など馴染みの顔ぶれからヒゲダラ昆布〆にホヤの握りまでレア物もあって特別感満載。社長自ら抜群の目利きで競り落とした魚介が揃うのは最大の強みだ。

本日の五貫 1650円

『鮨スタンド 三六五』本日の五貫 1650円 ※取材時はイワシ、サツキマス、ホタテ、カツオ、エボダイ シャリはお米マイスターが選んだ「つや姫」

これらを高級店などで修業した高山店長が握ってくれるんだからまあ期待を裏切らない。ネタをしっかり味わえるようシャリは小さめ、白酢のキリッとした塩梅も素材を引き立てている。カニ味噌で和えたほぐし身がそそり立つ「毛ガニタワー」など食べ手を飽きさせない変わり種も旨し!

『鮨スタンド 三六五』基本は立ち食いだが予約すれば席の用意も

[住所]東京都千代田区外神田3-6-5
[電話]03-5809-3363
[営業時間]12時~15時(14時半LO)、17時~22時(21時半LO)※日は昼のみ
[休日]水
[交通]地下鉄銀座線末広町駅3番出口から徒歩3分

『立ち喰い鮨 ブラボー』 @池尻大橋

食感を考えつつ素材の旨みを増幅させる独自の熟成法

ふらりと旨い寿司が食べたい。そう無性に思う時、選択肢に加わる注目の立ち食い店がまた誕生した。魅力はいくつもあるが、1番は旨みと食感を考えた独自の熟成だろう。その手法は……真空で管理しつつ余分な水分を取り除き、鮮度がいい時の歯応えを適度に維持しながら低温熟成。大将の尾崎さんが自身の経験から編み出した技だ。

おまかせ12貫 6500円 ※内容は仕入れで変わる。

『立ち喰い鮨 ブラボー』おまかせ12貫 6500円 ※内容は仕入れで変わる。写真はにしん、白いか、小肌、中とろ、ゴマサバ、カツオ、鰺、甘鯛、かんぴょう巻、煮帆立、太刀魚、小柱 厚みのある中トロやゴマサバは食べやすさやシャリとのバランスを考えて三枚づけにしている

魚の種類にもよるが、基本は約1週間、長くて2週間の手間をかけるそう。これがもう舌にのせると明らかに違いを感じる豊満な旨み。味わいと食べやすさを考えた丹精な姿にも惚れ惚れだ。寿司好きよ、池尻大橋へ急げ!

『立ち喰い鮨 ブラボー』大将の尾崎さんは17歳からバイトで寿司屋に入り、高級店やホテルの和食も経験。「ふらりと寄れる店を」と今年3月に『ブラボー』を開店

[住所]東京都世田谷区池尻2-30-12 OSビル1階
[電話]非公開
[営業時間]12時~14時(13時半LO)、17時半~22時半(22時LO)
[休日]土・日・月
[交通]東急田園都市線池尻大橋駅南口から徒歩1分

『スタンド鮨サカバ 917(クイナ)』 @雑色

本格握りと沖縄そばが両方楽しめるユニークな店

こちらはちょっと変化球。なんと寿司と沖縄の八重山そばが楽しめるんだと!近くで寿司酒場を営む沖縄出身の大将が期間限定で始めた店で、赤酢の握りが130円~。定番から旬のネタ、しかも今回の取材を機になめろう風の真鯛を使った新ネタを考案するなど、やる気あふれる姿勢は実に気持ちがいい。

あじ130円、かつお350円、真鯛スペシャル500円、本まぐろ天然赤身330円、きんめだい420円

『スタンド鮨サカバ 917(クイナ)』あじ130円、かつお350円、真鯛スペシャル500円、本まぐろ天然赤身330円、きんめだい420円 真鯛スペシャルはネタの下に塩昆布と大葉入りの真鯛のたたきを忍ばせている。上は真鯛の肝。カツオは藁焼き

「八重山そば」はカツオと豚骨のダシに魚のアラを加えるのも寿司屋ならでは、滋味深き味だ。で、営業はいつまでかって?一応来年3月。その後は更新か移転か。どちらにしても継続にホッ。

『スタンド鮨サカバ 917(クイナ)』『鮨酒場嘉兵衛』の姉妹店

[住所]東京都大田区仲六郷2-21-9
[電話]070-2652‐2985
[営業時間]11時半~14時(13時45分LO)、17時~22時(21時45分LO)
[休日]日・月
[交通]京浜急行線雑色駅から徒歩4分

令和創業の新店はより気軽に使える!

カウンターの寿司屋といえば、ひと昔前は品書きに値段もなくて一体何にどれだけ支払うのやらとヒヤヒヤする店も多かった。ましてや高級な有名店なら予約半年待ちとか行動も制限されたり。まあそれはそれで今も人気だし、特別感があるけど、今回、令和の新店を回ってみてこう思ったのですよ。スタイルも楽しみ方も自由自在、敷居がぐっと低くなってない?

そもそも江戸前寿司はファストフード的な屋台が原点。思い立った時に好きなネタをササッと食べてじゃあな、が粋だった。令和の今、そんなふうに気軽に使える店が増えているなあと。つまり1貫からでもおまかせでも、ひとりでも家族や仲間とでもどうぞあなたのご自由に、的な店。

気軽とはいえネタへの情熱は本物。加えて明朗会計、大将も怖くない(笑)。それってコロナ禍で外食の楽しみ方が変化し、寿司屋にも多様性が求められているからじゃないかな。そう、キーワードは気軽さ&多様化。どんなシーンでも安心して利用できる、名付けて「明朗寿司」

以前別記事(こちらから)でもご紹介した『すし其一(きいつ)』は令和の新定番を象徴する店だろう。面白い動きだったのは開業ラッシュの商業施設内のグルメ横丁に人気寿司店の新業態出店が増えていたこと(詳しくはこちら)。数年前からいわゆる高級店のセカンドブランドの立ち食い寿司がブームになっているのはご存じだと思うが、最近の注目店はやや進化。ゆったり座れてカジュアル、おまけに〆でさくっとでもOKのフリースタイル。

『すし其一(きいつ)』(左から 穴子 480円、小肌 380円、生イクラ 480円、本鮪赤身 380円、本鮪中トロ 480円) 江戸前の仕事で仕込んだ小肌などネタは約30種

もちろん立ち食い人気も健在で、寿司と別ジャンルの料理をコラボで楽しめる店が登場するなど新展開もある。おしゃれなネオ寿司居酒屋も若者を中心に人気沸騰中(詳しくはこちら)。いずれにしても回転寿司と高級店の二極化がしばらく続いていた寿司業界もここにきて変化が進んでいる印象。選択肢が増えるのは大歓迎。さて今日はどの店にする?

撮影/小島昇、取材/肥田木奈々

2023年11月号

※2023年11月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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