本誌2023年11月号の特集「ちょいと足をのばして湯とメシの旅」で岐阜県の下呂温泉の取材と撮影を担当した。ちなみに筆者が下呂温泉を訪れたのは実に10年以上も前。その当時と比べて、客層はすっかりと若返っていた。これは下呂市や観光協会、旅館組合などの努力の賜物だろう。
下呂の温泉街はSNS「映え」だらけ
多くの若者が訪れることで、温泉街には彼らをターゲットにした店も多い。筆者がリサーチ時に立ち寄った『GERO GERO みるくスタンド』もそのひとつだ。ここは飛騨の下呂牛乳を使ったドリンクやスイーツが名物。
筆者は湯上がりだったので、「コーヒー牛乳」(550円)を注文。昔懐かしい牛乳瓶に入っていて、ビスキュイが添えられている。ミルク感が強く、まったりとした甘さが温泉街を歩き疲れた身体を癒やしてくれた。
ふと、周りの客を見ると、皆、注文した商品をスマホで撮影している。そう、若者向けの店は、インスタなどSNSでの「映え」を狙っているのだ。飲食店や土産物店に限らず、下呂の温泉街は「映え」スポットが多く、思わずスマホやカメラを向けたくなる。
これは温泉街の中心地、白鷺橋にあるチャップリン像。ちなみにチャップリンがお忍びで下呂温泉へ訪れたという記録は一切ない(笑)。
下呂温泉を訪れた客たちが映画について楽しく語らいながら温泉街散策できるような”映画通り”を目指すべく、本場ハリウッドの造形アーティストに製作を依頼して完成されたものだという。
「じゃ、映画館は?」というツッコミはナシの方向で(笑)。チャップリン像とツーショット写真を撮影するのは下呂観光の定番になっていて、カップルがチャップリン像をはさんで写真を撮ると結ばれるという噂も。