【にしん】『石神井 こねり庵』 @石神井公園
そろり、そろりと炊き上げたニシンは ふんわり、しっとり身もだえする旨さ
にしん蕎麦といえば、かけそばにニシンがごろんと寝ているのが定番。しかしここでは別添えだ。これ、なんと5日もかけて炊いた渾身の作で、火を入れたり、冷ましたりを繰り返してゆっくり煮上げている。だから箸を入れるとほろりと崩れ、食べればジュワンと滋味が沁みる。
にしんそば 2100円
かけそばもニシンもまずはそのままを味わい、次にニシンを乗せてツユに溶けた旨みを味わう、と一杯で2度おいしい。一緒に炊いた昆布も添えられているが、これまたニシンのエキスを吸って酒がすすむアテなのだ。このほかにも中華風あり、洋風ありと、蕎麦屋らしからぬつまみが充実で楽しませてくれる。
[住所]東京都練馬区下石神井6-41-30
[電話]03-6913-3706
[営業時間]11時半~15時、18時~20時半、土11時半~20時半※日・祝は~19時半※昼、夜ともに蕎麦がなくなり次第閉店あり
[休日]水
[交通]西武池袋線石神井公園駅から西武バス荻窪行き「井草通」下車、徒歩2分
【淡雪】『蕎麦切 森の』 @本郷三丁目
この時期だけの北海道産長芋で はんなりとした淡雪蕎麦をたぐる
淡雪は卵を泡立ててかけそばにのせたもの。そこに角切りの長芋を乗せ、淡雪にもとろろを少し加え、磯の香りが鮮やかな海苔や柚子をあしらっている。実はこの長芋が決め手で、北海道産の秋掘りの新物を使うから、この季節だけの限定メニュー。『森の』ではせいろは濃口と淡口からツユが選べるが、温蕎麦は淡口ですっきり仕上げる。
北の淡雪 1850円
淡雪を食べ進むと、このツユと卵が混ざってまろやかになり、最後のひと口までおいしくいただける。また、市場から最上の素材を吟味して入れているので、天ぷらや刺身も絶品。蕎麦前に冬の味覚をたっぷり味わい、最後にこの蕎麦でさらりと〆るのも粋だ。
[住所]東京都文京区本郷2-25-1 ムトウビル1階
[電話]03-3818-9555
[営業時間]11時半〜14時LO、17時〜20時半(20時LO)、土:11時半〜14時半(14時LO)
[休日]日・祝
[交通]地下鉄丸ノ内線本郷三丁目駅1番出口から徒歩1分
【すき焼き】『向島七福 すずめの御宿』 @押上
すき焼きと蕎麦 思いがけない相性の良さに感動しきり!
冬のご馳走の王道、すき焼きに蕎麦を合わせた異色のメニュー。すき焼きの〆はうどんでは?と思うかもしれないが、意外にも抜群に合うのである。まず、割り下との相性が良い。茨城県産常陸秋そばの丸抜きを使用した十割蕎麦は香り豊か。少し濃いめの割り下に負けない風味で、互いの味を引き立て合うのだ。
和牛すき焼き鍋蕎麦 1680円(昼) すき焼き鍋蕎麦 1980円(夜)
タレに浸した蕎麦を溶いた生卵に絡めて食せば、とろろ蕎麦のような食感、まろやかな味わいに魅了されてしまう。すき焼き自体も、上質な和牛をはじめ、れんこんや長ねぎ、エノキダケ、麩などが入り、具だくさん。豪華なすき焼きと蕎麦とのマリアージュを心ゆくまで楽しみたい。
[住所]東京都墨田区向島2-15-13
[電話]03-3622-4235
[営業時間]11時半~15時、17時~21時半(21時LO)
[休日]水(年末年始は営業)
[交通]地下鉄半蔵門線ほか押上駅A3出口から徒歩12分、東武伊勢崎線とうきょうスカイツリー駅東口から徒歩8分
【釜あげ】『蕎麦前 山都(やまと)』 @六本木
熱々モチモチ 太めの蕎麦をポタージュ状の蕎麦湯と共に
湯がいた蕎麦を釜からあげて、蕎麦湯とともに器の中へ。そこに九条ねぎをどっさり。まだグツグツ状態の蕎麦を、何もつけずにそのまま手繰る。モチモチした太麺は蕎麦の風味が濃厚で、なんとも旨い。ツユに浸せばキリッと引き締まり、シャキシャキした九条ねぎ、生姜との相性もばっちりだ。
たっぷり九条葱 釜あげそば 1300円
時間が経つと、蕎麦湯が段々ポタージュ状になるのも楽しい。店名に“蕎麦前”とつくだけあり、酒肴はもちろん、肉や魚の焼き物、唐揚げ、単品から頼める天ぷらなど、居酒屋使いできるメニューが豊富。ひとしきり飲んだ後に釜あげ蕎麦を食せば、体がポカポカと温まり、心地よい余韻に包まれそう。
[住所]東京都港区六本木6-12-2 六本木ヒルズけやき坂通り1階
[電話]03-6447-1268
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)、17時半~23時(22時LO)※日・祝の夜は17時~22時(21時LO)
[休日]年末年始
[交通]地下鉄日比谷線六本木駅1C出口から徒歩6分
撮影/貝塚隆(さかき、ながえ、、芳とも庵、こねり庵、森の、すずめの御宿)、西崎進也(潮)、石井明和(山都)、取材/岡本ジュン(さかき、潮、ながえ、、こねり庵、森の)、菜々山いく子(芳とも庵)、松田有美(すずめの御宿、山都)
※2023年12月号発売時点の情報です。
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