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全店実食調査!『おとなの週末』が自信を持っておすすめするお店をご紹介します。今回は、東京・新宿三丁目のとんかつ店『王ろじ』です。1921(大正10)年創業の老舗です。

初代店主の斬新な発想が生み出した不朽の名品

ザクザク衣にジューシーかつさっぱりなロース肉。そのカツをサラッとスパイシーなカレーがけご飯の上にのせたのが名物「とん丼」だ。

半世紀近く愛されるこの料理が生まれたのは、2代目店主が小学生の時。それまであったカツ丼が、ある日突然現在の形になったのだそう。「尖った親父だった」と2代目が語る初代店主はなんと「とんかつ」という名称の生みの親でもある。

とん丼 1200円、とん汁 500円

『王ろじ』(手前)とん丼 1200円、(奥)とん汁 500円 とん丼はたっぷり野菜を使い、旨みの詰まった自家製ウスターソースも味のポイント。豚汁は洋風味噌汁のような味わい。注文を受けてから具材のベーコンと玉ねぎを炒めて作る 

初代が『王ろじ』の前身店を開く際、看板にとんかつの文字を載せたのが始まりで、のれんにある丸っこいんかつの字も初代のデザインだ。

そんな人が考えた料理はやっぱりひと味違う。焼酎漬けニンニクと焼きリンゴで、独特の香味を引き出したカレーとカツのハーモニーはハッとするほどおいしい。時代を切り開いてきた老舗の味は今なお新鮮な喜びを与え続けている。

店主が見てきた新宿の移り変わり

「今じゃ新宿は観光地化してるけど、もっと危ない街だった。昭和真っ只中の頃は何が起きてもおかしくないような緊張感があったね。実際いろいろと起きていたし」。そう話すのは『王ろじ』2代目店主・来住野正明さんだ。生まれも育ちも新宿で、1979年に20歳で店に入る前から昭和期の新宿を見てきた。緊張感があったとは!?

『王ろじ』2代目店主・来住野正明さん

「1968年に『新宿騒乱』という、ベトナム戦争に反発した学生が反戦デーに合わせて起こした暴動があったんです。駅が学生に占拠されてすごかったですよ。南口は焼かれるし、電車の窓ガラスは割られるし。僕は店の2階にいたんだけど、催涙弾が風にのってきて目がもう痛くて痛くて。

あとは70年代は街中での喧嘩も多かった。特にあるふたつの高校が天敵同士で激しくやり合っていたね。その時代は暴走族全盛期でもあったから、新宿通りが土曜の夜になると暴走族で埋め尽くされるんですよ。そういう時代でしたね」。

『王ろじ』

東京・新宿三丁目『王ろじ』

[住所]東京都新宿区新宿3-17-21
[電話]03-3352-1037
[営業時間]11時15分〜14時半、17時半〜20時※火はランチのみ
[休日]水
[交通]地下鉄丸ノ内線ほか新宿三丁目駅B5出口から徒歩2分

▶おとなの週末2024年3月号は「サクッと“とん活”」

2024年3月号

撮影/小島 昇、取材/藤沢緑彩
※2023年9月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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おとなの週末Web編集部
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