『グランド・セントラル・オイスター・バー&レストラン 品川店』 @品川
お好みは白or赤?合い掛けで楽しむどっちの料理ショー
目の前で、スタッフが慣れた手つきで右と左からスープをサーッと注ぎ入れる。赤と白のふたつのクラムチャウダーは皿の中心できっぱりと別れ、思わず「おぉ~!」と歓声が漏れた。
NYグランド・セントラル駅構内にあるオイスターバーは世界的有名店。こちらはそのレシピまんまのクラムチャウダーが食べられる、世界で唯一の支店。
クラムチャウダーハーフ&ハーフ 1050円
クラムチャウダーは2種類あり、日本人にも馴染み深い白はニューイングランドスタイル、トマト味の赤はマンハッタンスタイル。その両方をいっぺんに味わう“合盛り”は、メニューにないいわば裏メニュー。でも誰でも注文可能だ。
「本店と同じオーシャンクラムを使うので海のエキスが濃いでしょう」と笑うのは料理長の福島さんだ。
1種ずつ味わったら真ん中で混ぜて、3つの異なる味を食べ比べたい。右、左、時に真ん中にと味わい尽くすのだ。
[住所]東京都港区港南2-18-1 アトレ品川4階
[電話]03-6717-0932
[営業時間]11時~21時LO(金・土は22時LO)
[休日]アトレ品川に準ずる
[交通]JR山手線ほか品川駅直結
『浅草マノス』 @浅草
日本の料理人の手を経てごちそうに昇格したロシアの家庭料理
「ボルシチはビーツが入っているスープの総称なんですよ。家庭料理なので、それぞれの家ごとに作り方も違う」。そう教えてくれたのは、浅草で50年以上続くロシア料理店の2代目・川村さんだ。
浅草生まれの浅草育ち、フレンチでも経験を積んだ川村さんが作るボルシチはレストラン仕様で少しリッチ。牛でとったブイヨンをベースに、じゃがいも、玉ねぎ、キャベツにビーツと野菜たっぷり。そこに上品に切った牛のほほ肉が入っている。
ボルシチスープ 900円
「父の代からのレシピを大事にしつつ、食材はその時々でいいものを選んで使います」という。
そのまま飲めば煮込んだ野菜が口の中でほどける癒しの味。上にかかったサワークリームを混ぜると、酸味とコクが立ち上がり、立体的な味に変化する。
食べ進むほどにほっとするこのスープ、まさに昭和の名店がずっと守り育てたごちそうだ。
[住所]東京都台東区雷門2-17-4
[電話]03-3843-8286
[営業時間]11時半~14時LO、17時半~21時LO
[休日]火
[交通]地下鉄銀座線ほか浅草駅2番出口から徒歩3分
『華都飯店(シャトーハンテン)』 @神谷町
一瞬のひらめきから生まれた、歴史的なベストセラー
名品とはどんなきっかけで生まれるかわからないものである。「カニ肉入りアボカドスープ」は、30余年前、テレビ番組『料理の鉄人』にて先代の料理長が即興で作ったことから世に出た。
創業1965年、半世紀を超えて愛される『華都飯店』は、中国出身の料理研究家・馬遅伯昌(マーチーハクショウ)さんが開いた。この店の料理は贅沢な食材を惜しみなく使い、食べる人の体を労わる配慮も忘れない。
カニ肉入りアボカドスープ「珊瑚ランチ」 3500円より
名物は発酵白菜を使った真冬の「酸菜火鍋」だが、今や「カニ肉入りアボカドスープ」も伝説の一品となっている。「毎朝、新鮮なアボカドをむくところから始まります」と話すのは料理長の花井さん。
鶏や豚から丁寧にとった清湯、アボカドのとろりとしたコク、ほのかな青い香りの中に蟹の旨みがじんわりと広がる。
単品でも注文できるが、ランチコースにも入っているというからありがたや(笑)。
[住所]東京都港区六本木1-9-10 アークヒルズ仙石山森タワー地下2階(しいのき坂沿い)
[電話]03-3587-9111
[営業時間]火鍋シーズン1〜3月:11時半~13時LO、17時半~20時LO(土・日・祝の夜は17時~19時半LO)
[休日]GW、お盆
[交通]地下鉄日比谷線神谷町駅2番出口から徒歩5分
『カラバッシュ』 @浜松町
母なるアフリカのスープはどこか懐かしくそして新しい
アフリカ料理と聞いて「未知のもの=ちょっと怖い」と思った人もいるかもしれない。でもそれは大いなる勘違いだ。この店の料理は野菜や豆が主役であっさりヘルシー。
人気のスープはガーナ産の唐辛子を効かせた「ペペスープ」だ。ペペとは唐辛子のことで、魚ダシのスープに、にんじんやセロリ、にんにく、生姜などが入っている。
最初のひと口目は大したことないなと油断していると、やがてシャープな辛みが押し寄せて「ヒーハー」となる。筋金入りの辛いもの好きならば、これはクセになりそうだ。
ペペスープ 600円
『カラバッシュ』は東京にあるアフリカ料理店のパイオニアのひとつ。これまでも西アフリカの料理や文化を日本に紹介してきた。本場アフリカ人シェフが作る料理は本格的だが、日本人にもなじみやすい。
音楽ライブや雑貨の販売もあって、アフロカルチャーの発信基地でもあるのだ。
[住所]東京都港区浜松町2-10-1 浜松町ビル地下1階
[電話]03-3433-0884
[営業時間]11時半~14時(13時半LO)、17時半~22時(21時LO)※土曜ランチは事前予約のみ
[休日]日・祝
[交通]JR山手線ほか浜松町駅南口貿易センター南館出口から徒歩1分
撮影/貝塚隆、取材/岡本ジュン
※2024年3月号発売時点の情報です。
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