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個性豊かなクラフトシードル
弘前でクラフトシードルをつくっているのは、もちろんkimoriだけではない。実は、高橋さんは、39の個人・団体（2023年10月時点）で構成する弘前シードル協会の会長でもある。協会加盟の各社も、創意あふれるシードルを世に送り出し、ファンの支持を集めている。
今回、シードル協会の加盟業者などのシードルを、青森の食材を使った料理にあわせて、楽しむ貴重な機会を得た。味わったのは以下の通り。
・弘前シードル工房kimori「kimoriシードルスイート」
（弘前大学白神酵母を使用。無濾過・無加糖の農家のシードル）
・もりやま園「テキカカシードル」「テキカカシードルドルゴ」「テキカカシードルライチ」「テキカカアップルソーダ」
（本来摘果され、捨てられるはずだった実を8割使用し、酸味や渋味を活かしたシードル。ライチはJAPAN CIDER AWARDS 2023で五つ星獲得）
・タムラファーム「タムラシードル紅玉（こうぎょく）」
（自社農園で栽培した紅玉を使用。2017年国際シードルメッセで金賞受賞）
・弘前銘醸「弘前城しいどる/無ろ過スイート500ml」
（日本最古級のソメイヨシノの花びらから採取した酵母を使用したシードル。タムラファームでの委託醸造）
・POMME/MARCHE（ポム・マルシェ）「effrie エフリシードル」※本来は、Eとeの上にアクサン・テギュ
（ジョナゴールドと蜜入りりんご・高徳、酸味の効いた受粉用りんご・メイポールを組み合わせた。kimoriで委託醸造）
・中田農園「MOZU Nakata Orchard Cider」
（ドライながらりんごの香りや風味が豊かなシードル。GARUTSUで委託醸造）
・トキあっぷる社&シン・リンゴ酒研究会「Bramley Lab. 2023 Cider」
（鶴田町のつがるワイナリーで委託醸造。酸味の効いたブラムリーや三内丸山遺跡から採取した酵母を使用）
・CRAZY CIDER「CRAZY CIDER DRY」「CRAZY CIDER SWEET」「CRAZY CIDER Cassis flavor」
（アメリカ・ポートランド生まれのハードサイダーを手本とした、切れ味のある喉越しと、キリリとした爽快感）
・弘果物流「Hiroka Cidre Komei＆Koju」
（弘果物流専売の品種・黄明と幸寿を使用した。すっきりとした酸味が特徴。タムラファームでの委託醸造）
・JR東日本青森商業開発（A-FACTORY）「吉野町シードル 25ドライ」
（日本シードル発祥の地である弘前市吉野町に建てられた工房で作られたシードル。青森県産のふじと王林を使用した、王林の甘い香りとふじの風味を活かしたドライタイプのシードル）
数々の賞に輝く弘前発のクラフトシードル
最初に飲んだのは、冒頭で紹介した「弘前シードル工房 kimori」の「kimoriシードルスイート」。アルコール度数は低めの3％だ。
高橋さん曰く「ちょっと甘くて軽い。『あんずのしそ巻き』にいいかも」。あんずは、りんごと並んで青森県を代表する果実という。
口に含むと、確かにちょっと甘くて、軽い。炭酸の感じも、なんともやさしい。「ろ過していないので、にごっています」（高橋さん）。ビールは、IPAというホップの効いたものが好きで愛飲しているが、そのヘイジー（もやのかかったような）タイプの印象がある。にごった感じが、見た目にもおいしそう。あんずの甘酸っぱさをひきたてる味わいだ。うん、うまい。温めて飲むのもいいという。
「JAPAN CIDER AWARDS」（ジャパン シードル アワード）の 2023年度テイスト部門で5つ星を獲得した「もりやま園」の「テキカカシードルライチ」は、「JAPAN CIDER AWARDS 2023」の紹介文によると、「成熟りんご果汁とライチ果汁のみを使用しています。軽やかで甘味、酸味、渋みのバランスが良く、南国フルーツ・ライチの香りに負けないりんご感があります」という。自分には、酸味が少々勝るような印象を受けたが、純粋においしい。5つ星の評価に納得だ。
「タムラファーム」の「タムラシードル紅玉」は、2017年にドイツ・フランクフルトで開催された国際シードルメッセで金賞（ポム・ドール賞）に輝いた。同社の商品は2016年に2品が、日本のシードルで初めて同賞を受賞している。同社の田村昌丈専務によると、「紅玉」を生かした甘酸っぱさが特徴という。飲むと、その作り手の狙いがストレートに伝わってくる。甘さと酸味のバランスが絶妙だ。
