甘みや酸味のあるシードルは、食中酒に最適。もちろん、バーでじっくり飲んでもOK。それぞれでおいしく飲める店を紹介します。
ペアリングで美味しく飲む
蕎麦香るガレットにたこ焼き、サンドウィッチに、クロックムッシュまで。シードルがバラエティ豊かな飲み口を誇るからこそ可能な、楽しくておいしいペアリングを紹介します。
【×ガレット】『フルール ド サラザン』 @浅草
浅草発蕎麦飲みの新しいかたち
シードルの盟友・ガレットは、ペタッとした扁平型でおなじみ。しかしこの店のそれは、玉子焼きのごとき立体的なかたちを誇る。シードルが注がれる先は、蕎麦猪口(ちょこ)に似たグラス。
黒ガレット 海藻バター 680円 オリジナル(カネシゲ農園)グラス 950円
一瞬、蕎麦飲みしている感覚に陥るが、その錯覚はもちろん正解だ。店内の石臼で毎日自家製粉する、グルテンフリーの国産蕎麦粉100%使用のガレット。それはまるで十割蕎麦のように、力強い香りを放つ。
「世界一の栽培技術を誇る高品質な日本の蕎麦とリンゴ、それで作るガレットとシードルの組み合わせを浅草から発信したかったんです」と、玉越さん夫妻。
夫の幸雄さんは日本のガレットの先駆け『ル ブルターニュ』のフランス・ブルターニュ支店でキッチン責任者を務めた人。妻・友香さんは、フランスの醸造所で2年、シードル造りを学んだ。
メニューに並ぶ30種以上の国産シードルは夫妻が訪れた醸造所の銘柄ばかり。その情熱に耳を傾けつつ、新しい蕎麦飲みのかたちを体感しよう。
[住所]東京都台東区西浅草2-14-2 インパレス11階
[電話]03-6876-1851
[営業時間]11時45分~14時LO、17時45分~22時LO
[休日]不定休(公式Instagramで告知。ID:@fleurdesarrasin)
[交通]地下鉄銀座線田原町駅3番出口から徒歩5分
【×チーズ】『マルス ファンタスティカ』 @蒲田
濃厚チーズにシードルで後味爽快
アーケード商店街「サンライズモールKamata」に、今年7月に開業したバー。店名が”楽しいリンゴ”を意味するため、そのおいしさに思わず顔がほころぶような、口福を呼ぶシードルと料理のペアリングを提供する。
「まず味わってほしいのが、クロックムッシュと樽生シードルです」と、代表の畠山修平さん。これが双方の”イイとこ取り”なペアリングで、ヤミツキになる客が続出中なのだ。
チーズたっぷりクロックムッシュ 1000円 グリル野菜とチキンのタルティーヌ 1000円 テキカカシードル(もりやま園)樽生グラス 800円
まずクロックムッシュ。リコッタなどの複数のチーズとベシャメルソースが醸す、濃厚すぎる美味に満たされる。そしてこの強烈な旨みの塊をペロッと平らげさせてしまうのが、「テキカカシードル」のキレある口当たり。リンゴの風味もしっかりあって、最後の一滴まで飲み飽きることはない。
他にデザートには、ティラミスとのペアリングの提案も。スパイシーな風味のあるシードルが、甘みを爽快に感じさせる。ランチ後は16時まで開いているため、「おやつにシードル」もおすすめだ。
[住所]東京都大田区西蒲田7-64-4
[電話]03-6424-5551
[営業時間]11時~16時(~14時はランチ営業)、17時~翌1時フードLO、翌1時半ドリンクLO
[休日]日・月
[交通]JR京浜東北線ほか蒲田駅西口から徒歩3分
【×サンドウイッチ】『サイダーノート』 @渋谷
樽生サイダーに世界の料理を
「6年間イギリスに住んで、パブで飲むサイダーにハマりました」。この店を開業した動機を語る、代表の武田光さん。来訪者を驚かせているのが、樽生サイダーの数だ。日本、いや本家イギリスのパブでも、ビール数種に対してシードルは1、2タップであることが多いが、この店では約10タップが揃う。
さらなる魅力が、料理のバリエーション。フィッシュ&チップスにとどまらず、生ハムの前菜にタンドリーチキン、ブラジリアンソーセージとワールドワイドだ。
武田さんがイギリスの市場で食べて感動したサンドウイッチの味は、もちもち食感の自家製ベーグルで再現。
自家製ベーグルサンドウイッチセット(プルドポーク)1100円 グアニーズホップド・サイダー 1090円
肉汁が絡まるプルドポークの上に、すりおろしリンゴをのせる。これをフレッシュホップが香るサイダーと合わせれば、リンゴの酸味で、ビールペアリングよりも爽快な食後感。
「シードルは英国や仏、北欧など世界各国から取り寄せ、チーズやケーキに合う銘柄もありますよ」。さまざまなペアリングを試してみたい。
[住所]東京都渋谷区神山町16-4 堀内ビル1階
[電話]03-6407-8848
[営業時間]12時~22時半フードLO、23時ドリンクLO
[休日]不定休(公式Instagramで告知 ID:@cidernaut_shibuya)
[交通]地下鉄半蔵門線ほか渋谷駅A2出口から徒歩6分
【×たこ焼き】『サイダーシャック』 @渋谷
サイダーに合う気取らない料理
イギリスのパブのような外観に想像をふくらませ、メニューを眺めると「野沢菜漬け」に「黒豆枝豆」など、居酒屋のごとき料理に面食らう。極めつけは店主・土肥さんが鉄板で焼く、たこ焼き。
サノバスミス ロジック グラス 1200円(樽生) たこ焼きスタンダード 600円 たこ焼き3味タレ 700円
「これをホップサイダーと合わせるの?」。疑心暗鬼で熱々にパクつき、サイダーをグビッとやれば、柑橘の風味がよき味のアクセントに。「野沢菜漬け」や「クミンキャベツ」をもグイグイ進めてしまう、懐深き飲み口だ。
パートナーのちゃぁりぃさんがサイダーにハマったのを機に、自身も興味を持ったという土肥さん。ふたりの共通認識が「甘くてジューシーだけが、サイダーではない」だ。「甘みに酸味や苦み、渋みが加わって、厚みのある飲み口が生まれます。日常の食事にも合いますよ」。
ナチュラルワインのように、シードルをさまざまな料理と合わせてほしいと土肥さん。店ではボトルや缶の販売をしているため、自宅での夕食に合う1本を買いに寄るのもいいだろう。
[住所]東京都渋谷区東1-27-9
[電話]03-6450-5680
[営業時間]17時~24時 ※土・日・祝は14時〜
[休日]月・火(月が祝日の場合は営業)
[交通]JR山手線ほか渋谷駅東口から徒歩10分