そりゃ間違いないでしょ中華街なら~。そうです、そうなんですけれど、その中でも驚きや発見がありまくったお店を厳選7軒ご紹介。訪ねるのは、横浜の中華街・石川町・横浜駅西口。いざ横浜へプチ焼売トリップ、どうでしょう?
『鳳林』 @中華街
肉の甘みを引き出したこれぞ王道の肉焼売!
「おまたせしました。三元豚の焼売です」と、皿を持って現れたのは店主の李清勇さん。誇らしげに満面の笑みを浮かべるその姿は“絶対に旨いものを出すぞ”というオーラに包まれていた。
この店の創業は26年前、有名店で料理長を務めていたお父さんと清勇さんが一緒に始めたという。清勇さんは中華街の点心の名門『菜香新館』で腕を磨いたが、「同じものは出せないから」と焼売はあえて北京スタイルに変えたとか。
シウマイ(4個)825円、九州CRAFT日向夏880円
豚肉は旨みが強く脂の少ない三元豚を使用し、肉の旨みや食感を損なわないように、口の中で主張しないごく薄の皮を選んでいる。サイズも大ぶりでインパクト絶大だ。がぶりとかぶりつけば、口いっぱいに肉の甘みと汁気があふれだす。
この焼売しかり、上品に焼き上げた香港式の叉焼しかり、「できたてがイチバン」と毎日手作りにこだわっている。『石焼きフカヒレ姿煮炒飯』など石焼きメニューも有名で、おいしいを実現するための工夫を惜しまぬ職人の店だ。
[住所]神奈川県横浜市中区山下町187
[電話]045-662-2225
[営業時間]11時〜21時(20時半LO)
[休日]水
[交通]みなとみらい線元町・中華街駅2番出口から徒歩3分
『菜香新館』 @中華街
ふたつの秀逸な焼売は本場の点心師のなせる技
ひとつ、またひとつと老舗が消えゆく中華街で、連日多くのお客で賑わう老舗があるのはうれしいこと。
初代の店から数えて70年以上の歴史を持つここは、平日昼間でも並んで待つほどの人気店だ。80年代には飲茶を日本に紹介し、香港の点心師が作る本場の点心が有名となった。
店が大きくなっても初代の志を受け継ぎ、手抜きのない手作りの味を守り続けている。焼売を含む点心は、30年に渡って勤める陳さんを筆頭に10人のお抱え点心師が腕を振るう。
焼売は2種類。貝柱を加えた豚肉焼売は皮が薄く、肉の旨みはしっかり感じさせるがすっきりと端正な味わいだ。
干し貝柱入り国産豚の手包みしゅうまい(2個)420円、しいたけしゅうまい(2個)620円
個人的には、このバランスこそ焼売に求めたいもの。肉厚のどんこをキャップのようにかぶせた変わり種は、上品なダシを効かせたあんがかかっていてこれまた旨い。他にも腸粉や鶏のもみじの蒸篭蒸しなど、香港好きが手を叩いて喜ぶメニューも多彩で、変わらず愛され続ける老舗の魅力をしみじみ感じられるのだ。
[住所]神奈川県横浜市中区山下町192
[電話]045-664-3155(代表)
[営業時間]11時半~15時半(15時LO)、17時~21時半(20時半LO)、土・日・祝11時~21時半(20時半LO)
[休日]火
[交通]みなとみらい線元町・中華街駅2番出口から徒歩3分
『張記小籠包 新館』 @中華街
上海の庶民の味は肉ではなくもち米入り
店に入ると、店先のキッチンでちょうど焼売のあんに使うもち米を混ぜていた。ツヤツヤふっくらと蒸されたもち米は、エビ、しいたけ、にんじん、黒豚など五目の具が入り、そのままパクっとやりたくなるほどおいしそうだ。
「これはまだ熱いので、よく冷ましてから包みますよ」と教えてくれたのは、オーナーシェフで高級点心師の中国国家資格を持つ張さん。店の看板料理は店名からも分かる通りの小籠包。
焼売はあくまでも脇役なのだが、これが侮れないのであった。2種類ある焼売のひとつはエビ焼売。豚肉と粗く刻んだエビをあんにした大きな肉焼売で、上にのったグリーンピースがトレードマーク。
もうひとつは自家製の皮で五目のもち米をきんちゃく型に包んだ焼売。蒸すことでもち米がふんわりとし、ボリュームはあるけどスルスルと食べられる。
上海餅米焼売(6個)1210円、黒豚エビ焼売(4個)1100円
「これは上海の庶民の味。みんな大好きです」と張さん。初めて食べる上海の焼売に、未知なる中国食文化の奥深さを知るのだ。
[住所]神奈川県横浜市中区山下町146-2
[電話]045-226-4078
[営業時間]11時半〜23時、土・日11時〜22時
[休日]月(祝日の場合は翌日休)
[交通]みなとみらい線元町・中華街駅2番出口徒歩8分
『廣東厨房 鴻(コウ)』 @石川町
こんもりキノコ型のここだけのおいしさ
「目指すは父の味です」と胸を張る店主の朱さんは、ホテルのレストランで腕を磨いた。都会的な店を経て、自身の店は夫婦ふたりで営む小さな店を目指したという。
それはまさに広東省出身の父が日本で開いた店を受け継ぐことでもあり、地元で愛されたその味を再現することでもある。オープンキッチンの店はモダンな内装だが、ご近所に愛されて、常連さんがふらりとやって来る温かな雰囲気だ。
料理は昔ながらの味を踏襲しながらも、味付けや調理法に工夫を凝らしている。季節の食材を多く取り入れるのは足しげく通う常連さんを飽きさせないため。
「焼売は普通でしょう」と朱さんは笑うが、こんもりとキノコ型に盛り上がった姿には特徴がある。
焼売(4個)660円
皮はしっかりしていて、噛めばジュワッと汁がほとばしり、肉の甘みが広がる。辛子酢をつけてもいいが、そのままでも十分おいしい。思わず「お代わり」と言いたくなるが、他にも食べたい料理ばかりだから、そこは胃袋と相談で(笑)。
[住所]神奈川県横浜市中区石川町1-13-12
[電話]045-264-9861
[営業時間]11時半~14時LO、17時半~22時LO
[休日]水
[交通]JR石川町駅南口から徒歩1分
『旭酒楼』 @石川町
毎日食べても飽きない軽やかなおいしさ
外見はいたって普通のレストランに見えるが、こちらの創業はなんと112年前。中華街の始まりのころから代々続く貴重な中華料理店でもある。
現在は3代目店主と修業先から戻った4代目の息子さんが厨房を切り盛りしている。中華街から少し離れた石川町に店を構えていることもあり、観光客よりも長く通う常連さんや口コミで来るお客さんが圧倒的に多い。
シューマイ(4個)484円
料理は奇をてらわずとてもシンプル。だがどれも丁寧に調理され、素材のおいしさを見事に引き出している。粗挽きと中挽きの豚肉をミックスするという焼売は食感と風味のバランスが絶妙だ。干し貝柱や干しエビも加えているので旨みは濃いがけっしてしつこくなく、毎日だって食べたくなる。
人気メニューという「ソフトシェルの唐揚げ」や「海鮮あんかけチャーハン」も見た目よりもずいぶん軽やか。というのも油や塩分を極力控えた広東料理がベースだから。胃にもたれないから、大人が安心して食べられるのがうれしい。
[住所]神奈川県横浜市中区石川町3-108-12
[電話]045-681-6469
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時半~21時半(21時LO)
[休日]火
[交通]JR根岸線石川町駅南口から徒歩3分