『手打ち蕎麦 吉』 @新井薬師前
昼飲みも大歓迎 商店街に隠れたわが町の社交場
「昼飲み、大歓迎です」という頼もしい言葉を聞いてうれしくなってしまった。酒場好きな店主の立澤さんは、昔ながらの蕎麦前で一杯やれる蕎麦屋でありたいという。
カウンターの真ん中で、煮込みの鍋がグツグツと煮えているのも下町大衆酒場を彷彿とさせる。「地味ですね」と笑う蕎麦前は、シンプルだけどよく考えられている。
選べる三点盛りはずらり10品以上の小鉢から。選びきれないという人にはプラス料金で1品追加もOKだ。
煮込み 720円、神亀 純米(一合) 950円
店がある新井薬師前は奥様いよりさんの地元とあって、夜ともなればご近所さんでワイワイ賑わう。そんなムードに酔いしれて、ついつまみを食べ過ぎてしまったら〆は軽く半盛りそばを。
[住所]東京都中野区上高田3-38-11
[電話]03-3386-2919
[営業時間]12時~14時、18時~22時半(天ぷらは20時LO)、日・祝12時~17時 ※蕎麦売り切れ次第終了
[休日]月、火、最終週の日
[交通]西武新宿線新井薬師駅南口から徒歩2分
『蕎麦 ひるあんどん』 @下板橋
和食譲りの端正なつまみに笑顔がこぼれる
和食で修業したという店主の高木さん。「親方に蕎麦屋になりたいといったら叱られて」と苦笑いする。それでもどうにかお許しが出て、蕎麦の名店へ話をつけてくれたという。
品書きの先頭には旬の野菜料理が書き連ねてある。とりあえずのビールで品書きを眺めて悩むのも幸せなひと時だ。日本酒に切り替えて木の芽和えに身悶えし、端正ななめろうをちびり、酒をちびりとやれば春満開。
どの料理も和食の土台を感じさせるが、ラム肉を使った揚げ出しなどアイデアは豊か。
その日のお魚のなめろう 900円、竹の子とうどの木の芽和え 500円、和田龍 登水(一合) 800円
季節の蕎麦は、刻んだふきのとうとふきのとうの香りの香味油添えという新発想。たっぷりの青い香りとともに、名残の春を惜しむとしよう。
[住所]東京都板橋区板橋1-7-6 ルアーナM1階
[電話]03-5944-2504
[営業時間]水~日:11時~14時LO、火~日:17時~21時(20時LO)
[休日]月
[交通]東武東上線下板橋駅北口から徒歩4分
『そば處 大野屋 元代々木町店』 @代々木八幡
威風堂々の町蕎麦でテキーラと蕎麦の絶妙な相性を楽しむ
創業は1948年という歴史ある町蕎麦。実はこちら、酒の充実度がバー顔負けなのだ。ソムリエや利き酒師の資格を持つご主人・大野慎介さんが選ぶ日本酒、ワイン、ラム、ウイスキーの数、銘柄に圧倒される。さらにアガベ100%の正統派テキーラが70種も!
前菜盛り合わせ 1650円、テキーラ23 1000円
蕎麦にテキーラ?と思うかもしれないが、「テキーラには植物であるアガベ由来のまろやかさがあって、和食の柔らいテクスチャーとよく合います。蕎麦の穀物の風味にも寄り添ってくれる」という。
特にスモーキーな香りのあるテキーラは、本枯節を効かせた蕎麦つゆと相性抜群。ハーブ系の爽やかさが漂うソーダ割りなら、晩春から初夏にかけてぴったりだ。
[住所]東京都渋谷区元代々木町3-10
[電話]03-3467-7513
[営業時間]11時~14時(13時45分LO)、17時半~22時(21時半LO)
[休日]不定休
[交通]小田急線代々木八幡駅北口から徒歩2分
撮影/貝塚隆、取材/岡本ジュン
※2024年5月号発売時点の情報です。
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