ケチャップの味の強さ
菜「ケチャップって思った以上に強い味だから、途中で飽きちゃうんだよね」
武「そうなんです!それがナポリタンの最大の欠点だと思うんですが、実は食べ歩いて気づいたんです。ピーマンの存在の大きさに!!」
菜「と、言いますと?」
武「ケチャップを使っているのでナポリタンは甘い味わいです。玉ねぎは炒められやはり甘く、マッシュルームはほぼ歯応え(?)のためのもの。ベーコン、ハム、ウインナーは肉々しい旨みを与えますが、ケチャップの前では輝ききれません。
しかしピーマンはというと、見た目にも映える緑というのもありますが、あの苦味が心地よい清涼感というか、オアシス的な役割になっているのです」
菜「それは『ムチュ』の店主も同じこと言ってたな。だからピーマンは炒めの最後に入れるのが実は大事なポイントだって」
武「なるほど。あのシャクッとした食感もアクセントになるんですよね」
菜「誰でも作れる単純な料理だけど突き詰めると、とっても奥が深いんだよね。各店の工夫や技は紹介記事の中で触れているので隅々まで読んでもらえるとうれしいな」
武「ですね。リサーチ中はもうナポリタンなんて見たくないと思っていたのに3日もすると食べたくなるんです。甘くてキュートで喫茶店でも洋食屋でも、なんなら居酒屋でも、いろんな場所で寄り添ってくれるこの小悪魔に、僕は首っ丈になってしまったのかもしれません」
撮影/鵜澤昭彦(ラドリオ、La cour cafe、フェブラリーキッチン)、浅沼ノア(伯爵邸)、文/菜々山いく子
※2024年6月号発売時点の情報です。
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