仕入れ直後から調理、抜群の鮮度 舌でとろける甘みが官能的!
前菜は、海老みそと白みそ、大葉で風味をつけたいせ海老のこぶ〆を、農林水産省「うちの郷土料理」にも指定されている水戸名産、紫禁梅(しきんばい)と共にいただきます。プリッとした強い弾力のある身に、大葉と梅の香りをまとった海老みその清々しい余韻がいつまでも残ります。
いせ海老塩からは、惚れ惚れするほど美しく透き通った身に海老みそを絡めていただきます。こちらはこぶ〆と対照的に、濃厚な海老みそに圧倒されつつも、生臭さは一切ありません。それもそのはず、山口楼本店では、仕入れ直後から調理するので、抜群の鮮度を保ったまま、提供しているからとのこと。
大ぶりにカットされたお造りは、舌の上でとろけるようなほのかな甘みが、なんとも官能的。いせ海老の情緒豊かな繊細さが、いつまでも後を引きます。
余すところなく使い切る“いせ海老料理の七変化”に驚く
特筆すべきは、「強肴(しいざかな)」(もう一品、強いて客にすすめる肴)としてすすめる一品「いせ海老最中」。サクッと軽い食感の皮の中に、山椒みそで和えたいせ海老のすり身がギッシリ詰まった濃密な美味しさは、食べ応え十分。相田料理長の斬新なセンスと匠の技が光ります。
運ばれてきた途端、思わず歓声を上げた「いせ海老ごはん」は、体長40センチほどもあるいせ海老を殻ごと焼いた中に、香ばしく炊き上げたおこわが盛り付けられています。豪快な見た目と共に、海老出汁を使った風味豊かなおこわと肉厚な身を頬張れば、フツフツと体内からエネルギーが湧いてくるよう。
余すところなく使い切るいせ海老料理の七変化に驚きつつ、その奥深さにすっかり引き込まれました。