茶葉の“らしさ”とシーンに合わせた淹れ方で、味わい∞
森:家でおいしいお茶を淹れるのは実はとても簡単なんです。気を付けるのは茶葉と水の量くらい。とにかく冷茶は、“置いておく”というのがポイント。
飯:それならアバウト人間の私でもイケそう。でも本当に!?
森:たっぷり作りたいときの基本の水出しは、水に茶葉を入れて待つだけ。夏なら冷蔵庫でひと晩置けば出来あがりです。水出しだと、カフェインが出にくく、苦みや渋みが抑えられますから、お湯で淹れるよりも旨みを感じながら、さっぱりと喉を潤せますよ。
飯:へえー。同じ水出しでも、玉露は淹れ方が違うんですか?
森:濃厚な口当たりの玉露は、少量を堪能するタイプなので、急須が便利です。冷水で仕込むと凝縮された旨みがぐっとまろやかに。氷水でゆっくり抽出しましょう。
飯:旨みが溶け出すのを待つんですね。茶葉の緑に氷がのった姿は、それだけで涼しげ~。
森:この状態で15分待ちます。
飯:えっと、茶葉をかき混ぜたり、急須をゆすったりすればもっと早く飲めたりとか……?
森:そこは我慢です(笑)。クリアな味を楽しむために。
飯:(15分後)口に含むと、ふくよかな旨みを感じます!これが、玉露の“甘旨み”ってやつだ。
森:はい。あと、ほうじ茶は、やかんで沸騰させたお湯で淹れるのも昔からの定番です。
飯:水出しに比べ、味わいはどこか穏やかな印象ですね。
森:コツは茶葉を入れたらすぐに火を止めること。ぐらぐら煮るとえぐみが出ますから。麦茶も同様に淹れるとおいしいですよ。
飯:ちなみに、急冷では熱湯でお茶を淹れていましたが。これはアリなの!?えぐみ出ちゃうよ?と、ドギマギしました。
森:低温で淹れると甘みが、高温で淹れたお茶は苦みや渋みがより出ます。急冷は、あえて熱湯で心地よい渋みを出しているんです。濃く渋いお茶を作り、氷でキュッと味を締めるイメージ。
飯:確かに、渋みが抽出されているせいか、スッキリとした清涼感がいい!お酒で例えるなら、水出しが日本酒感覚、急冷はビール的な立ち位置ってとこですね。
森:なので、まったりゆっくり飲みたいときには水出し、リフレッシュしたいなら急冷、という感じで。気分に合わせて淹れ方を使い分けるのもオススメです。
(抹茶の逸品・アレンジ編に続く)
『ひやかし IPPODO TEA』 @表参道
老舗が繰り出すひと夏の遊びゴコロ
日本の夏を涼やかに。そんな想いで期間限定オープンした、『一保堂茶舗』のポップアップカフェ(2024年9月23日まで営業)。老舗が誇る上質な冷茶をはじめ、パティシエ・鶴見昴さん監修のメニューが気軽に楽しめる。
アイスチャイ(冷や菓子付) 1430円
いり番茶のスモーキーさに驚く自家製チャイ、日本茶をソースに使う氷やアイスなど、老舗の新提案にシビれっぱなし。お茶に付く、ハッカ味の琥珀寒“冷や菓子”もオツだ。
[住所]東京都港区北青山3-6-26 1階
[電話]080-7583-1096
[営業時間]11時~18時
[休日]水
[交通]地下鉄銀座線ほか表参道駅B2出口から徒歩1分
撮影/貝塚隆、取材/飯田かおる
※2024年8月号発売時点の情報です。
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