卵をからませて食べる「ランボソ」は至福の味わい
個人的なイチ押しは、卵ダレにつけていただく「ランボソ」である。腰からお尻にかけての「ランプ」のすぐ横にある肉で、キメが細か。
噛みしめる度にフィレ肉のような柔らかさと、赤身ならではのうま味が味わえる。そこにまろやかな卵の風味が加われば、口の中に広がっていく贅沢な味わいに、思わず笑みがこぼれること間違いなしだ。
焼肉の締めくくりには、熟成させた「巻きロース」を。リブロース芯に巻きつくようにある細長い部位で、独特の歯ごたえとほどばしる肉汁を堪能できる。
〆の「盛岡冷麺」まで抜かりなくおいしい極上のコース
〆の「盛岡冷麺」も見逃せない。「中野製麺」の麺を使用した冷麺は、シコシコとした歯ざわりとしなやかな喉ごしがクセになる。牛骨で出汁をとったクリアなス―プは、そのまま食べるとやさしい味わいだが、ラー油やお酢を加えて途中から味変するのも乙である。
最後は、アイスクリームをサンドした「デザート」の最中も登場。肉の多彩な食感・味わいと共に、遊び心あふれるメニューを楽しめる大満足のコースであった。
インバウンドの支持も
「最高品質の厳選和牛を銀座から世界に」というメッセージを掲げ、新たな100年の幕開けを切った『銀座吉澤』。今まで足繁く足を運んでいたシニア層はもちろん、リニューアル後はグルメ好きな若者やインバウンド(訪日外国人客)からも支持を集めているそうだ。
革新的な取り組みに挑戦しつつ、伝統も大切にしながら歩み続ける同店は、より一層多くの人を魅了する場となることだろう。
■『銀座吉澤』
[住所]東京都中央区銀座1-20-8 吉澤銀座一丁目ビル
[電話]精肉店03-3542-2983、飲食店03-3542-2981
[営業時間]精肉店10時~18時、肉処11時~14時、17時~22時(L.O. 21時)、肉割烹17時~22時(L.O. 21時)
[休日]日・祝祭日・年末年始
[交通]都営地下鉄浅草線・地下鉄日比谷線東銀座駅、地下鉄有楽町線新富町駅から徒歩5分
文・写真/中村友美
フード&トラベルライター。東京都生まれ。美術大学を卒業後、出版社で編集者・ディレクターを経験後、現在に至る。15歳からカフェ・喫茶店巡りを開始し、食の魅力に取り憑かれて以来、飲食にまつわる人々のストーリーに関心あり。古きよき喫茶店や居酒屋からミシュラン星付きレストランまで幅広く足を運ぶ。趣味は日本全国の商店建築巡り。