大貫「いそね」 すぐ前は岩瀬海岸という絶好のロケーションでいただくのは、富津名物の“はかりめ”(穴子)を味わう料理の数々。富津では昔から煮方場で使われてた棒計りと姿が似てることから穴子をこう呼ぶそうだ。 煮穴子(ツメあり…
画像ギャラリー内房線も佐貫町駅を過ぎると車窓に時折青い海が広がる。条件が揃えば、東京湾越しに富士山も見えたりして、でっかい風景には何だか心が洗われる。
そんなことをつらつら思いながら電車に乗ってるのにはもちろん目的がある。1泊2日で千葉内房ならではの昼寿司を食べ尽くそうってわけだ。そこここにイキのいい魚があがる漁港が点在するエリア。江戸前とはまた違う、千葉の絶品寿司を食べに覆面調査隊がやってきました。
安房勝山「惣四郎」
真っ先に足を伸ばしたのは安房勝山。勝山港もすぐ近く『惣四郎』だ。遠方からもはるばる訪れるリピーターが絶えないというのが、こちらの「地魚にぎり」だ。
すべて地元鋸南町で揚がるという正真正銘の地魚。白身を中心に、鮮度抜群の魚は香りよく、味わい濃く、一つひとつ染みるように旨い。例えば取材当日は、サワラ、ブリ、イサキ、太刀魚、ホウボウ、タイ、スズキ、サバの8貫。焼いた小アジが入った味噌汁がまた旨い。しかも25年前から値段を変えていないという驚きのコストパフォーマンス。太刀魚は力強く、イサキは色っぽく、ホウボウはプリンプリン。 端から旨くてもう笑いが止まらない 。
大貫「いそね」
すぐ前は岩瀬海岸という絶好のロケーションでいただくのは、富津名物の“はかりめ”(穴子)を味わう料理の数々。富津では昔から煮方場で使われてた棒計りと姿が似てることから穴子をこう呼ぶそうだ。
煮穴子(ツメあり)、さわやか煮(ツメなし)、炙りと揃った穴子づくしの握りは、口の中でやさしくとろけるような穴子の旨さに幸せを感じる。ぎょうさんの穴子天と立派なエビ天に山椒を振っていただく天丼も美味だった。
館山「白浜屋本店」
ご主人は4代目。大正8年創業の老舗は店構えからして味がある。いただいたのは「地魚寿司ランチ」。江戸時代からの流れを汲むという館山の“いなか寿司”、その特徴はシャリもネタも大きいことだが、酢飯が軽いので割りとパクパクいける。
そしてやはり新鮮な地魚が抜群、旨みを引き出す煮切りの醤油もいい。例えばキンメひとつ食べても、その味の抑揚が別物。この日あった赤背ムロアジもたまらんかったな。本日の地魚にはご主人曰く「出合えたらラッキー」というメイチダイあり、黒アワビも入って大満足だった。
浜金谷「地魚鮨 船主総本店」
東京湾フェリー乗り場のすぐ近く、海岸通り沿いにある、地魚寿司が自慢の回転寿司だ。地魚5種握りあり、地キンメ食べ比べあり…米、海苔、醤油も千葉県産を選りすぐり、日によっておすすめが替わる地魚はさすがに新鮮。取材当日はコチ、イサキ、ホウボウ、キンメ、アジ。中でもアジの旨さは秀逸だった。
握りに、たたきやなめろうの軍艦、アジフライがまたよし!特によかったのが、本日のおすすめだった地アジ。新鮮で、脂がのって、余韻のある旨さ。
館山「鮨亭笹元」
沖しじみの味噌汁や水なすの握りから入るあたりに、すでに痺れる「おまかせ鮨」。旬の地魚を中心に次々に繰り出される寿司は、素材の良さにそれを引き出すひと手間があり。特に、金目鯛と黒ムツの焼き鮨は破壊力抜群。握りは小ぶりでシャリはいい塩梅にはらりとほぐれる。地元館山の地魚が中心だが、ネタの旨さの本質を見極めているがゆえの工夫が加わり、驚きの連続。
醤油不要のウニ、赤ゆずこしょうが旨みをさらに引き出すサワラ、そして圧巻の焼き鮨。塩で旨みを引き出し焼いて肉質の旨さが際立つキンメに、粒マスタードの酸味が深い旨みと余韻を開く黒ムツ。呻り続けながら終始笑顔の旨さ!思い出すだけで、口に旨みが溢れてくる。
『おとなの週末』2021年10月号より(本情報は発売時のものです)
…つづく「東京のうまい 「最強の町寿司」 ベスト7軒…高コスパ、一貫 《110円》 からで一見さん、ソロ活でも大丈夫「覆面調査隊が実食」」では、庶民価格の美味しい町の寿司店を紹介します。