史上最高の日本シリーズラッキーボーイ
ラッキーボーイは、最初から期待の高い主力選手よりも、伏兵的な選手がシリーズの流れを変えるような大活躍をした時、より印象が強くなる。その点から独断と偏見も交え、史上最高の日本シリーズラッキーボーイを選ぶとしたら、埼玉西武ライオンズが巨人を4勝3敗で降した2008年日本シリーズの平尾博嗣をあげたい。
このシーズンの平尾は代打や守備固めとして55試合に出場。打率.255、2本塁打、9打点という成績だったが、日本シリーズでは5試合に出場し、14打数8安打、打率.571、2本塁打をマークする大活躍を見せた。
特にシリーズ終盤は、まさに神懸った活躍ぶり。第5戦、わき腹痛で負傷退場した中島裕之と交代し途中出場すると、最終回に快速球でならした当時の巨人の守護神、マーク・クルーンからアーチを架ける。翌第6戦は6番一塁手でスタメン出場し、初回二死満塁のチャンスで先制3点タイムリー二塁打、5回には2試合連続となる本塁打を放ち、チームの全打点を叩き出した。
最終第7戦も6番一塁手としてスタメン起用され、2対2で同点の8回二死一・二塁の場面で、フルカウントまで粘った末にセンター前に決勝タイムリーを放ち、勝利を引き寄せた。チャンスで打ったのはもちろんのこと、勝負どころでたびたび打順が回ってきたのは、引きが強かったというほかない。
西武は2勝3敗から逆転での日本一。ラッキーボーイの活躍が勝負の流れを変えた代表な日本シリーズといえるだろう。ちなみにシリーズMVPは14回2/3を投げ無失点と、こちらも神懸かり的な投球を見せた岸孝之が獲得。平尾は優秀選手だった。